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このページは、管理人が書いたPSO小説となります。
(HP小説の無断転載を禁じます。)
PSO(Phantasy Star Online の略称)は、SEGAの登録商標です。
作品の著作権は、作者にあります。
なお小説の内容は、ゲームの攻略等を示す物ではありません。
小説はオリジナル要素を、多分に含みます。ご了承の上お読みください。
ご理解頂けない場合は、ブラウザバックでお戻りください。
なお小説内に登場する企業・組織・団体は架空のもので、実在する企業・組織・団体とは無関係です。

Phantasy Star Online Destiny 本編15話pso-novel

「悪夢の一日」
 パイオニア2…総督府内検査室

 エリスが救出された当日に、そのまま総督府に「保護」の名目の元連行されていた。
まずエリスが行われたのは、血液の採取、体内の状況を検査などであった。
その検査の担当となった一人の青年が、エリスに話かけてきたのだった。
 「んふふ…やぁ、久しぶりだね?エリス=シンフォニア。」
 「あなたは…」
 「ふふふ…さすがに覚えていないかな?
 最後にあったのは君の父母がパイオニア1に搭乗する前日ぐらいだったし僕もまだ10歳だったからね。」
 「いえ、その喋り方覚えている…たしか…名前は…モン太!」
 「覚えていてくれるとは…ふふっ嬉しいね。でも、僕の名前はジャン・カルロ=モンタギューっていってね。
 ジャンと呼んでくれると…」
 「えーいいじゃん!昔通り、モンタで!」
 「やれやれ…小さい頃からのおてんばぷりは変わらないね…ふふっ」
 「へへっ」
 「さて、長話をしたいとこだが…今はそれどころじゃないんでね。
 エリスくん。まずは検査をしてから総督室にきて欲しい」
 エリスが幼少期に出会った少年は、今では立派な青年となって母星コーラルでは世界最高の頭脳を持つ
 カルス博士と並び称されるモンタギュー博士と呼ばれるまでになっていた。
 その彼が、先ほどまで笑みを消し真剣な表情で総督室へと言ってきたのだ。
エリスもその表情に、ただ頷くだけだった。


6時間後…総督室

 「うへぇ…つかれたぁ…」
 6時間にも及ぶ数々の検査の多さに、さすがのエリスもぐったりしていた。
この後、総督室でありとあらゆる取調べがあるのかと思うと、気も重くなる一方である。
付き添いという名目で観察保護監視役として、イリア=キーストをはじめとした総督府暗部の
選りすぐりのエリート集団がエリスの周辺を固めており、自由な行動をも制限されていたのである。
検査結果が出たとの報告を受け、総督室に入るとそこに待っていたのは…
 「失礼します。イリア=キーストです。エリス=シンフォニアを連れてきました。」
 「どもぉ〜。ノノっすよ。」
 「入りたまえ。」
 落ち着いた威厳のある声に促されて室内に入ると、モンタギュー博士だけでなく
エリスのよく見知ったメンバーが集まっていたのである。
 「えっ…!?なんで、ここにカノさん、ルナさんが…!」
 「エリス、驚くのは無理もないが、まずは総督に挨拶しろ。」
 「あ…あうぅ、えっと、エリス=シンフォニアと言います。」
 「うむ。私は、パイオニア2を統治する総督コリン・タイレルである。
 話も長くなるだろうから、まずはその椅子に座りたまえ。」
 「はいっ」
緊張した面持ちでガチガチとなってるエリスに、ふっと笑顔を浮かべるタイレル総督。
 「そう緊張しないでもらいたい。今回の呼び出しは、君を詰問しようと言うのでないのだ。
 君の父ロイド=シンフォニアとも旧知の仲でな。」
 「えっ!?」
 「うむ、実はエリス君。君が4歳のときあってるのだがね。さすがに覚えてはいまい。」
 「はぁ…そうですか。」
 「うむ、昔話はこのぐらいにして本題に入ろう。…モンタギュー博士。」
 ようやく出番か、といった表情でモンタギュー博士が一歩進み出て全員が見える様に
備え付けの全方向モニターを展開させエリスの様々なカルテが表示される。
 「これは…?」
 「見ての通り、君の現状の身体のデータだよ。ふふっ…それにしても、実に面白い現象だよ。
 そして、ロイドとレナが想定した最悪の進行パターンだ…」
 「……!?」
 そのセリフに一瞬にしてエリスの表情が固まると同時に、言い知れない恐怖感に、全身がカタカタと震える
 「ど…どういうこと…?」
 声にもいつもの張りもなく、震えてしまうのを感じずにはいられなかった。
 「うふふ…しかし、安心はして欲しい。今は『まだ大丈夫』だよ。」
 「いや、まったく安心できないんだけど…」
 「うん。そうだね。じゃぁ順を追って説明するよ。」
 解ったと応えるくエリスと、コクッと頷く総督とカノソ達を見てモンタギュー博士はモニターの表示を変えた。
 「ノノからの動画からも確認したけど、今の状況はかろうじて銀時計とシャトのおかげで暴走を抑えている。
 なぜ、その銀時計にD細胞なんて隠されていたのだろうね?」
 「さあ…でも、このD細胞のおかげでなんとか死ぬのだけは回避できてたんだし…なんでだろう?」
 「うふふ…的を得た回答と問いだね。」
 「………?」
 「本来は、その銀時計に入れられたD細胞とD因子を綿密に計算された配置と内部構造によって言わば
 擬似マグといった性能を秘めているのだよ。
 計算式と意匠はエリス君の母レナが、設計して擬似マグと内部構造は僕が作ったんだ。
 …うふふ。結構凄いでしょ。」
 「…え!?」
 「本来は、君の父ロイドのために作られた『近接戦闘特化型補助防具』
 銀時計にカモフラージュしたれっきとした兵器なんだよ。」
 「………」
 「ふふっ…凄い驚いた顔をしているね。この銀時計は、最大で5段階まで装着者に影響を及ぼすんだよ。」
 「銀時計が輝いて身体が軽くなって肉体が強化されたりとか、武器がより強くなったりとか…?」
 「ご名答!
 フェイズ1.装着者の身の危険に反応し肉体強化テクニックを自動的に発動させる。
 フェイズ2.フェイズ1を発動後、装着者の強靭な意志に基づき所持する武器をより強い物に変質させる。
 そして今の状態がフェイズ3。最悪のパターン。
 一拍おいて、エリスの表情を見るがなんといっていいのか解らず、エリスの目が泳ぐ。
だが、それも一瞬。覚悟を決めて続けてとエリスは答えるのであった。
 「ふふっ…覚悟は出来てるようだね?…続けよう。この先は、君のために必須なことだしね。
 フェイズ3.装着者が死に瀕した時スケープドールと同様の効果を発揮し蘇生させる。
 ここで問題が起きた。…見に覚えがあるだろ?」
 「キリーク…いや、ケルベロスとの戦闘のとき銀時計から飛び出したD細胞が、私を包み込んで…」
 「そう、本来は起こってはいけない最悪の事態に発展した。
 肉体のD細胞吸収による、強制変化…いや、強制進化が起こった。そうだね。」
 「…うん」
 ふぅーと、ため息をつきモンタギューはモニターの表示を銀時計の内部構造を示す写真と説明に変える。
エリスの首から提げている銀時計の一部と、写真の内部構造の一部を指し示す。
 「ここに配置されたD因子配列構造…その隣にある制御命令を組み込んであるD細胞が衝撃で破壊された
 ことでエリスの肉体を守るという命令にしたがい、内部にあるそのD細胞を喰らい尽くし
 肉体補正に向かう肉体を手に入れた。」
 「ふむむ…」
 「…今の状態は、その影響化にあることで常時不安定な進化を繰り返す肉体になってしまった。
 無論、最悪の事態に備えての対策はもちろん考えているんだよ。…うふふっ」
 「おー!」
 「つまり、フェイズ4へと強制進化させることでね。
 妹MIMIが、身に着けている銀時計『過去女神の戦乙女の加護(ヴァルキリエ・リーベ・ウルト)
 エリスが、現在装備している銀時計『現在女神の戦乙女の加護(ヴァルキリエ・リーベ・ヴェルダンディ)
 エリスの兄K'sが付けている銀時計『未来女神の戦乙女の加護(ヴァルキリエ・リーベ・スクルド)
 の銀時計に対応したディスクを銀時計に取り込ませる
 それによって、より強大になった銀時計の力で強引に制御下に置くこと。
 もちろんフェイズ4にシフトすることで、装着者の肉体もより強靭に強化されることになるんだよ。」
 「………!!」
 「ただ残念なことは、これはあくまで制御するのが目的であって元に戻る方法ではないんでね。
 D因子とD細胞のもつ性質上、どうしようもなかったんだ。…すまないね。」
 すまなそうに頭を下げるモンタギュー博士に、エリスはふむ…といって頷くしかなかった。
 「…完全に制御できれば、普段通りには生活できるんだよね?」
 「うふふ…そこは安心していいよ。」
 「そっか…なら、まだよかったのかな?」
 ほっとした顔を浮かべるエリスに頷き、モニターをディスクと所持者に切り替わる。
 「これは…」
 「完全制御プログラムは、この3つのディスクを合わせて完成するんだよ。
 過去を意味するウルト・ディスクはシュヴァルツァーらに奪われてしまったが…
 現在を意味するヴェルダンディ・ディスクは、カノソさんが…
 未来を意味するスクルド・ディスクは、科学研究室の方にいって夕凪室長にあってみて欲しい。
  A.N.G.E.L.S計画の性質上、一つにまとめて保存しておくにはあまりに危険だったのでね。
 とくに、あの軍部には気をつけてほしいな…。ふふっ…」
 「軍部…」
 モンタギュー博士の解説が終わると同時に、突如少女の笑い声が部屋の中に響きわたる!
 「あーはっはっはっははははは!聞いた!聞いたわよ!ははははは…クククッ」
 「…!この声は、エリス=シュヴァルツァー!?」
 「フッ…」
 鼻で笑った後、ノノが突如苦しみ始めた。
ノノの背中から突如黒い霧が吹き上がったかと思うと、シルエットのような背景がうっすらと透ける
シュヴァルツァーの姿へと変化していくのであった。
 「ご苦労、A.N.G.E.L.S計画の完成にはそれが必要だったのね。クスクス…」
 「…お前が、ノノの動画に写っていたエリスそっくりな少女か…。
 なるほど…その冷酷な瞳以外は、恐ろしくそっくりだな。」
 総督が、そうシュヴァルツァーに冷静に観察しながら喋りだす。
フンと、不敵な笑みを浮かべて総督を睨みつけるシュヴァルツァー。
 「はじめましてかしら?コリン・タイレル総督。」
 優雅な仕草で、目上の者に対する貴族儀礼めいた挨拶をするシュヴァルツァーであった。
クククッと、右側の口角を上げ不敵な笑みを崩さぬままであったが…
 「いいことを聞かせてもらったお礼に、いいことを教えてあげましょ。」
 「…なんだね?」
 「軍部は、動き出すわ。…楽しい楽しい戦争の始まりよ!
 ククッ…戦争開始の合図は、今に聞こえるわ…フフフッ」
 そう告げると、一瞬にしてノノを縛り付けていた黒い霧は一点に凝縮し黒い穴と化しシュヴァルツァーと
キリークが現れる…
 「フフフッ…」
シュヴァルツァーの不敵な笑みを浮かべ指を鳴らすと同時に、パイオニア2が揺れた!
凄まじい爆発音と共に、警報が鳴り響く。
 「…WARNING! WARNING! 火災警報…科学研究室周辺にいる一般市民は、ただちに避難用シェルターに
 退避してください。繰り返します…火災発生…」
 「…やられた!」
 「フフッ…さあ、カノソ…そのヴェルダンディ・ディスクを渡しなさい。」


同時刻…総督府・科学研究室・室長室…

 パイオニア2を揺るがす程の大爆発と、火災が科学研究室から遠方からも見える。
周辺にいた住民を避難用シェルターに誘導するハンターズと警察らが、心配そうにそちらを見守っていた。
 周辺を騒ぎをもこの一角だけは、緊張に包まれた空気の中にいた。
 「夕凪室長…スクルド・ディスクを渡してもらおう。」
 突如、室内に黒い穴が発生したかと思うと現れた黒い軍服を着たBLACK BIRD隊の襲撃によって
研究室一体は火の海と化したのである。
 「面会の段取りもなく、突然の襲撃…常識がないんじゃない?」
 「無礼は承知だ。…ディスクを渡せば、これ以上の被害はださないと約束しよう。」
 「はいそうですか、と渡すと思っているの?」
 「…交渉は決裂というわけか。」
 「…交渉とは言わないのよ。君達のは、脅迫!」
 フンと笑うランディース・ハルマーが右腕を上に掲げると急速な変化が巻き起こる。
右腕の筋肉が泡たつように盛り上がり、黒い漆黒の刃の形状に変貌したのである。
 「あいにくと変身は初めてなのでな…手加減はできんぞ?
 切り裂け…鎧を切り裂く魔剣(アンスウェラー)
 振り下ろされた魔剣の一撃は凄まじく、建物の建材をさながらバターを切るように切断してしまった。
しかし寸前に避けていた夕凪室長が放つグランツの一撃で、吹き飛ばされるハルマー大佐。
 隙を逃さず、右手から追撃のギバータで視界を完全に隠すほどの寒風を引き起こす。
放たれた一撃は凄まじく、大気の空気を一瞬で氷結させ氷の弾丸と化した氷柱が無数に襲い掛かったのだ。
 「ハッ…!ハハハハ…ククク!」
 全身に氷柱が突き刺さり倒れ付すハルマー大佐だったが、獣のような笑みを浮かべ、
ゆっくりと立ち上がる。
さらなる哄笑をあげ、突き刺さった氷柱がポロポロと抜け始め穿った穴から剣状の突起物が現れ始めた。
 「チッ…!」
舌打ちをしながらも、すばやく左手で緊急事態を告げるスイッチと防衛機能システムを発動させる
夕凪室長が右手から、渾身のラバータを放つ!
 バキバキ…と大気を凍結させる氷結の一撃は凄まじく、ハルマー大佐の全身を凍結させたかに見えたが
キン…という音と共に氷は打ち砕かれた。
 「ハッハハハハ!凄い…凄いぞ!これが…これがA.N.G.E.L.S計画の為せる力か!」
 全身から溢れ出る力の奔流に、我を忘れて歓喜するハルマー大佐に向けて防衛システムが
標準を合わせ、全方位レーザーを一斉に放つ。
 「貫け…全てを貫く槍(グングニル)
 全身から現れた無数の槍の一撃が、レーザーをも切り裂き防衛システムを完全に破壊する。
そのうちの一本の槍が、夕凪室長の右わき腹を貫き激痛に倒れこむのであった。
 「その傷ではもはや動けまい。…本命のディスクを出せ。」
 「………」
 夕凪室長の喉下に、魔剣をつきたてるハルマー大佐。
無言を貫く室長に、魔剣をつき立てようとした瞬間、部屋のドアを蹴り飛ばして警備兵の一団が到着する。
 「室長!大丈夫ですか!?」
 「ウォレント、ギーオ、フェルス=フレイン、ポンコツ来るのが遅いですよ…」
 「はっはっは、ドンマイ!…ここは任せてくださいよ!」
  苦痛に顔をゆがめながら、警備兵の皆を見る夕凪室長。
武器を構えハルマー大佐に切り込もうとするのを阻止するように、BLACK BIRD隊のメンバーが
立ちふさがる。
 「邪魔はさせないのにゃ。」
 「ということです。…赤飯の名にかけて、君達を阻止する!」
 「ヘヘヘッ…ようやく出番か。いっちょかましてやろうぜ…DIESEL」
 「油断はするなよ…ROCKY。」
 「空、こっちはディスク探しといこうか。」
 「ああ…サクラ。」
 白銀のマリス中佐と、赤い炊飯のライアス軍曹、ROCKYとDIESEL伍長がたちはだかる。
さっさと戦線離脱し、ディスク探しに動き出す空大尉とサクラ大尉。
 「おまいら、戦うのがメンドクサイからって…しっかり探すにゃよ。」
 「へーいへい。」
 2人がやる気のない返事をしながら、ゴソゴソとそこら辺を探し始める。
警備隊の方はジリジリと間合いを詰め戦闘の緊張感が、高まっていく。
その空気を壊すように、ライアスの炊飯器から炊きたての赤飯の匂いが立ち込めていった。
 「おいしそうな赤飯の匂いをさせやがって!」
 「その炊飯器の中身全部たべてやろうか!」
 「シャモジとお茶碗を用意しないとな!」
 「はっはっはドンマイ!」
 喋りながらも警備兵4人は、油断なく1:1の状況にもっていく様に動き出していたのだった。
その様子に気づきながらも、不敵な笑みを浮かべるBLACK BIRD隊。
 「いくぞ!」
 「応!」


 誰かとわからずあげた声に反応するように、戦闘が開始される。
ポンコツの放つマシンガンの連射を、白銀のマリスのブラッディークロスが全て弾き飛ばす。
 「いくにゃ…高速剣(ソニック・スラッシュ)
 目にも止まらぬ神速の連撃だからこそ可能な高等技術であるのは言うまでもない。
一気に間合いを詰め必殺の一撃がポンコツの首を跳ね飛ばしたかに見えたが、
ポンコツの頭が地面に落ちるよりも早くポンコツの身体が動きマシンガン連射を開始したのだった。
 「わわわ…!?」
 右腕で首を跳ね飛ばした体勢のまま、左腕だけでマシンガンの弾丸を弾くが何発かは命中し
大きく後ろに下がるのであった。
 「ポンコツだけに、各所がに無線で起動できるシステムにしといてよかった!(どーん」
 「はっはっはドンマイ!」
 ポンコツのドヤ顔に舌打ちをし再び走りかけたその時、
ROCKYに吹き飛ばされてきたウォレントが激突し転がっていく。
 「にゃにゃ!?」
 「計画通りってとこだな!」
 「ほんとは、偶然とばされたくせに…」
 「はっはっはドンマイ!」
 「おまいら、いい加減にするにゃ!もう本気の本気をだすにゃ!
 フォーメーションA展開にゃ!」
 マリス中佐の指示に従い、警備兵の中心に移動し始めたライアス軍曹の全身が震える。
空気をも振動させる衝撃が周囲を包み込む。
 「なっ…!?動け…ない!?」
 「ムラなくふっくらおいしく炊き上げるための秘儀…魔封波(マ・フウバ)
 ライアスの両足が振動し、人間に近いクオーツ振動による共鳴によって周囲のヒトの動きを封じたのだ。
キャストの身であるDIESELがライフルを構え、ギーオの頭部に標準をあわせる。
 「死ぬがいい…」
 DIESELのキャストボディが、黒く変色していき形状を変化していく…
両腕はマシンガン、両肩にレーザーカノン、腹部にショットガンという全身兵器と化し警備兵全員に標準を
あわせた。
 「終わりだ…全銃器最大射撃(オールガンズ・ブレイジング)
 「させんっ!トゥ!」
 ポンコツが全力で投げつける頭部の衝撃で、よろめくDIESELから放たれた無数の銃弾が縦横無尽に
乱射され、周囲を混乱に陥った。
 「うごっ!」
 「がはっ!」
 「あべしっ!」
 魔封波の影響で動けない人間達があげる悲鳴の中で、カーンという甲高い金属にぶち当たった音と
共にライアスの悲鳴が聞こえる。
 「せ…赤飯がこぼれたぁ!?」
 それと同時に、魔封波の呪縛が解除されると夕凪室長の放つグランツの一撃でハルマー大佐を
吹き飛ばし、左手から放たれた追撃のギゾンテの強烈な一撃が全身を麻痺させた。
 「はぁはぁ…」
 全身を包むほどのレスタの光によって、出血が止まった夕凪室長が肩で息をしながら、なんとか
身体を浮かせる。
よろよろとした足取りで、机の上にあるキーボードを叩きコマンドを打ち込んでいく。
SYSTEM…COMPLTEの文字と共に、ゴウン…と何かが動く気配が感じられた。
 「はぁはぁ…そんなにディスクが欲しいなら…くれてやるわ。」
 「なに…」
 「ただし、とれるものならね!」
 タァーン!と起動スイッチが押されると同時に、机を中心に無数に浮かび上がる数字の羅列が
室内全てを覆い尽くす。
 「さあ皆さん、やっちゃてください…」
 「まかせろ!」
 傷は塞がったものの出血多量の影響で、貧血に陥った夕凪室長はその一言を残し気絶した。
ようやく雷撃の麻痺が解除されたハルマー大佐が、ゆっくりと机に近づいていく。
 「…これが、なんだというのだ?」
 机に手に伸ばした瞬間、フォトン防護障壁が展開し弾き飛ばした。
ほう…と少しばかり驚いたハルマー大佐が、背後の戦闘の様子が変わるだしてるのを感じる。
警備兵の苦痛の呻きではなく、BLACK BIRD隊が押され始めている気配だった。
 「なに…?」
 先ほどと打って変わり、BLACK BIRD隊の動きを先読みしているかのように警備兵の動きが
よくなっているのだ。
 「はっははは!読める!読めるぞぉ!」
 「これが、覚醒した力ってやつかー!?それとも超能力にでも目覚めたか!?」
 「フゥー☆」
 「ヒャッハー!」
 ノリにノリまくっている警備兵のハイテンションぶりと打って変わり、BLACK BIRD隊は一箇所に
集まり防御の陣形をとっていた。
 「お…おかしいにゃ…動きが、あきらかにおかしいのにゃ…」
 「ええ…俺の赤飯まで、食べられたし…」
 「いや、赤飯どうでもよくね?」
 「そうだな。」
 「あーディスクみつかんないわー。ねえ、空めんどいから帰っていい?」
 「おい、ふざけるな。」
 焦燥に駆られる隊員に、渇をいれるべくハルマー大佐がザッ…と戦いの場に近づく。
 「なにをしている。」
 「急にヤツラが手ごわくなったのにゃ!いんちきにゃ!」
 フン…と全身から繰り出すグングニルの連撃をことごとく避け近づいてきた警備兵の連撃が
ハルマー大佐を吹き飛ばした。
 「ふむ…よめた。やはりスクルド・ディスクの能力…こちらの動きを予測か。
 まさに未来予知といったところだな。
 丁度いい。ライアス・マリス…全能力の解放を許可する。…存分に戦え!」
 ハッ!と勢いよく返事を返した赤い炊飯のライアスの全身から、蒸気が漏れ始める。
炊飯器の中から、赤飯を丸めて握り締める。
 「赤飯に秘められた無限の可能性を感じるがいい!爆裂飯(バースト・ライス)
 ライアスの投げる赤飯が空中で爆発し、無数の弾丸とかした警備兵全員に襲い掛かった。
無数の赤飯の粒がぶつかり、全員がよろめく。
 「もう一撃だ!」
 「二度も同じ技をくらうか!皆いくぞ!」
 「応!!」
 フェルス・フレイントの声にあわせて、全員が一斉に同じ動きを始める。
その動きにあわせるかの如く、飛んできた無数の赤飯弾丸が右にそれていったのであった。
 「な…!?爆裂飯が!?」
 「これぞ警備兵合体奥義!左からきた何かを右に受け流す!」
 ドーン!と胸を張りながら、ドヤ顔で応える警備兵の皆にイラッときたマリスが両手に
ブレイドダンスを構え、ゆらりと動き始める。
  「ふざけた奥義にゃ…もう怒ったのにゃ…
  本気でいくにゃ…幻影の脅威(ファントム・メナス)
 白銀のマリスの全身が蜃気楼の様に揺らめき現れたる4つの分身体。
フッ…と、一瞬にして目にも止まらぬ速さで動き、警備兵を叩きのめしたのだった。
完全に気を失い、もう動かなくなった夕凪室長と警備兵の面々を一瞥し、机に近づく
ハルマー大佐ら一行。
 「まったく…手間をかけさせる…」
 強引に、フォトン防護障壁を破壊し手に入れたディスクを空中に高く掲げる。
すると、空中からぽっかりと黒い穴が発生し飲み込まれていくであった。
 「これで、ついに戦争が始まるか…我ら軍部が、世界を救う時がきたのか?」
 黒き穴に問いかけるハルマー大佐に、シュヴァルツァーはフッと笑いかけるのみで
答えは返ってこず、黒い穴はBLACK BIRD隊を飲み込んだ。


場所は戻り、総督室…

 「フッフフフ…これがスクルド・ディスク…」
 黒穴を経由して手に入れたスクルド・ディスクが、シュヴァルツァーの手の上で球形の
フォトン障壁を発生させながら輝いている。
シュヴァルツァーが、フッ…とすくるど・ディスクを見つめた後、その腕に力を込める。
闇の力に一瞬抵抗するかのように、ディスクが振るえたかと思うと障壁が砕け散った。
 「さあ、残るは…ヴェルダンディ・ディスクのみ…早く渡しなさい。」
 「させるか!」
 カノソ達の前に、立ちはだかるエリス。
ハッ!と鼻で笑い、エリスを見返すシュヴァルツァー。
 「一撃で、倒されたくせに…学習能力がないのかしら?」
 「たとえどんな強敵であろうと、戦わなければいけない時があるんだよ!それが今だ!」
 ドラゴンスレイヤーを抜刀しながら、一気に間合いを詰め横薙ぎに剣を振るう一撃を
右片手でのみ受け止め、そのままエリスごと空中に持ち上げ叩きつけにかかる。
空中で手を離し、落下の勢いを利用しシュヴァルツァーに殴りにかかるエリス。
 「シンフォニア流拳技・疾風(ハヤテ)!」
 銀時計が光輝き、エリスの肉体を強化加速させた連撃は疾風の如き無数に打ち込まれる。
空気を何度も爆ぜさせる音の後、シュヴァルツァーがエリスの右拳を受け止めていた。
 チッと舌打ちしながら、エリスがドラゴンスレイヤーを掴み闘気を全身から漲らせる。
 「これなら…どうだ!シンフォニア流剣術中段技・桜舞(オウブ)
 エリスを取り巻く様に発生した竜巻を突き破り、シュヴァルツァーの闇の刃と貸した手刀の一閃が
ドラゴンスレイヤーとエリスの胴を一刀両断した。
 「邪魔よ…突き刺さる衝撃(ディープ・インパクト)
 エリスの上半身が地面にドンと音を立てて落ちると同時に、ゆっくりと下半身が膝から崩れる様に
地に伏した。
わずか数瞬にして、総督室の中は凄惨な血の臭いで充満する中でシュヴァルツァーは笑みを
浮かべていた。
 「貴様…!」
 カノソとルナが激情に駆られるままに、シュヴァルツァーに突っ込むのをキリークのソウルイーター
が立ちはだかる。
 「…キリーク!」
 「邪魔をするな!」
 「ククク…愛弟子が死に掛けて、激情にかられるか?ハハハハッ…」
 カノソとキリークのソウルイーターが激しくぶつかり合い、火花が飛び散る。
ルナが烈風渦巻く剣戟の間を縫うように、通り抜けエリスに近づく。
その手にしているのは、いつのまにかカノソから手渡されていた
光り輝くヴェルダンディー・ディスクの姿があった。
 「キリーク…!お前わざと、ルナを通り抜けさせたな…」
 「フッ…それに気づくとは…ククク…完全に頭に血が上がってたわけじゃないか。」
 音速を超える連撃の中を、ほぼ無傷でルナが通り抜けたのはそういう理由があったのだ。
ルナがエリスまで、残り5mへと迫ったとこでシュヴァルツアーがエリスの右腕を
左足で踏み潰す。
あまりの激痛に上半身となったエリスの口が絶叫の形に歪む。
だが、その口からは声は聞こえてこない。
耐久を超えた激痛は、人から声さえも奪うからだ。
 「無様ね…エリス。フフフ…ねえ、死ぬのが怖い?…私が怖い?」
 エリスの表情が、激痛と恐怖に歪むのを楽しむようにシュヴァルツァー。
完全に戦意喪失したエリスに微笑みかける。
 「そうね…いい事を教えてあげるわ。
 全てのディスクを手に入れ、A.N.G.E.L.S計画が完成したらあなたの家族全員…
 いえ、あなたの友人知人全て実験動物にしてあげるわ。」
 さらに近づくルナを阻止すべき、シュヴァルツァーが前に突き出した右腕から黒い穴が
出現し、祖母イヨ 兄K's  妹ミミがルナに襲い掛かるのであった。
その瞳は虚ろであり、洗脳されているのが明らかだったのである。
 「………!」
 激痛で声を出せないままのエリスの瞳が、驚愕に大きく見ひられシュヴァルツァーを
睨み返す。
 「フフフ…あなた以上に苦痛を与えて、ソロルシリーズの様に感情を殺してあげるわ。
 そして使うだけ使ったら、廃棄処分…フフフ…素敵でしょ?ハハハハハハ…!」
 シュヴァルツアーの笑い声が、エリスの表情が変化していく。
瞳は真紅に染まり真っ赤な炎をともした形状に変化していき、口は大きく裂け歯は
大型の肉食獣がもつような牙へと変貌を遂げていく。
 「………ぎ…ざ…ま"…ご…ろ"…ず…!」
 エリスの明確な殺意に呼応するように、銀時計がかつてない程に光り輝き始めた。
 「…ぬぅ!?」
 あまりの眩しさに、目を細めるシュヴァルツァーの手の中で同じ閃光を放つウルド・ディスクと
スクルド・ディスクが空中高く舞い上がり。K'sとミミの銀時計に溶け込むように吸い込まれる。
 「……ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 パイオニア2全体に響かんとするほどの、ドラゴンの咆哮がエリスの口から発せられる。
K'sとミミとは、異なりディスク自体がエリスの体内に取り込まれ急速に肉体を復元していく。
否、それ以上の変化が引き起こされ始めていたのである。
 全身を、漆黒の鱗に覆われた丸太よりも太く強靭な四肢。
分厚い鋼材さえも、容易に切り裂けそうな牙爪。
殺意に燃え滾る紅蓮の炎を思わせる瞳と髪。
その姿をもっとも異様な不吉な代物とかしているのは、骸骨を思わせる外骨格であった。
 「グルルルル…」
 ドラゴンを思わせる姿に変貌したエリスが、シュヴァルツァーを睨みつける。
 「ハッ!ハハハハハハハ!…これが、これが!A.N.G.E.L.S計画か!?
 天使の名を冠した悪魔の研究だな…クククッ…ご苦労だったモンタギュー博士。
 貴様とエリスの父母が研究していたものだったとは…フフフ」
 シュヴァルツァーが、嘲るようにモンタギュー博士を見つめ返す。
事態の急変に驚いていた全員の一斉に集まる中、モンタギュー博士の表情は変わらない。
いや、その表情はしてやったりといった含み笑いを浮かべたものだったのである。
 「ンフフ…さすがだねぇ。君達が…いや、軍部が惑星グラールで成そうとしている
 野望をしったときから、私達の研究は始まっていた…。」
 「なに…?」
 「本来の形とは違ったけど、我々ハンターズと総督府の逆転はここから始まるんだ!」
 総督が頷き、隠し棚においてあるスイッチを押す。
 「その通り…今から始まるのだ…A.N.G.E.L.S計画発動!
 その瞬間、パイオニア2全体が蠢動し始めた。


ハンターズ養成学校・校庭…

 「なんだ…!?校庭および中庭にでている生徒は、ただちに校舎に避難を!」
 HAYAMI"blue"が、授業中にコロニー全体が鳴動し始めたのをきっかけに生徒を避難させながら、
校舎全体を取り囲む様に、複数の閃光が立ち上がりパイオニア2全体にひかれている環状線道路を
走り抜けるように無数に駆け抜けるのが見えた。
 「ふふっ…。ついに始まりましたか…。皆さん、緊急事態宣言Lv5を執行します。
 第一種戦闘配備についてください…。」
 校長Dollの校内放送を受け、全教員と全生徒が大急ぎで手持ちの装備を手に取り、決められた班で
固まり配置に付き始めるのであった。
 程無くして、総督府が爆発が巻き起こった!


パイオニア2・上空…

 爆発と共に、空中高く舞い上がる影が2つ。
 「ゴガアアアアアア!!!」
 怪獣と化したエリスが、シュヴァルツァーを天空高く突き上げ追い討ちをかけるため同じ様に
天空高く舞い上がったのだった。
 「クククッ…さあ、エリス…その力を見せてみなさい?全てを貫く槍(グングニル)
 シュヴァルツァーの全身から繰り出される無数の槍の連撃を、エリスの両腕に生えている
強靭な鱗が弾き飛ばし、両腕が左右に高速に振るたびに破砕し、瞬く間に間合いを詰めた。
 「グルアアアア!」
 吼えるエリスが鋭利な牙が並ぶ口腔をあげ、シュヴァルツァーに噛み付きにかかるのに合わせて
闇の力を纏ったディープ・インパクトをエリスの口に突き立てる!
 「………っ!」
 その一撃よりも早く、シュヴァルツァーの右腕が噛み千切られる。
チッと舌打ちをし、シュヴァルツァーが離れるよりもさらに早く繰り出される左腕の斬撃が
右肩から袈裟懸けに切断される。
 「グッ…!」
追撃の右腕の一撃を、黒穴を展開し避けたシュヴァルツァーがさらに上空に現れた。
 「…これは!?」
 シュヴァルツァーが、パイオニア2のもっとも高い天蓋部に現れた事により今起きている
事態を正確に把握する事ができた。
 パイオニア2全体をひた走る無数の光が連結しあい、ハンターズ養成学校の中庭を中心に
数kmにも及ぶ超巨大魔方陣を形成し始めていたのだ。
 その真下で、ズンッ!落下し再び急加速で飛び上がり近づくエリス。
一度地上に落下した事により、魔方陣の光を全身に受けて金色に光輝く姿はさらなる変貌を
見せていた。
その姿は、金色の翼を生やした竜天使ともいえる姿だったのである。
 「フッ…!」A.N.G.E.L.S計画の本番はこれからといった所かしら?
 面白い…その全貌を見せてみろ!フレースヴェルグ(死者を飲み込むもの)
 黒炎の鷲が、エリスの全身を焼き尽くすように飲み込んだ。
一瞬の苦痛の呻きをあげてあと、エリスの口から発せられた熱線がシュヴァルツァーの下半身を
吹き飛ばす。
そして、伸ばした右腕がシュヴァルツァーの頭部を掴み握りつぶす様にしながらそのまま地上に向かって
落下を開始する。


ハンターズ養成学校中庭…

 「グルアアアアアアア!」
 校舎全体を揺るがす程の振動を立てシュヴァルツァーを地面に叩きつけ、そのまま数十mを
中庭の砂を巻き上げながら引きずった。、
もわもわと砂塵が舞う中、エリスがシュヴァルツァーに向けて熱線を放たんとした時…!
 「フン…あなたの実力はわかった。理性を無くした野獣になど、もう用はない…
 切り刻め…真紅なる絶望(クリムゾン・デスフィアー)
 シュヴァルツァーの瞳が真紅に光り輝き、全身が漆黒の闇に変貌する。
闇から吹き出る無数の刃が、エリスの四肢はおろか全身をミンチ状に砕いていく。
バシャ…と肉片とあたり一体に黒く変色した血が撒き散らされた。
闇が血を吸い上げながら、空中高く跳ね上がり再び人の形へと凝縮していく…
 「フフッ…これが真のA.N.G.E.L.S計画の力か…なるほど力が漲ってくるわ…」
溢れ出る闇の力を周囲に撒き散らしながら、シュヴァルツァーが微笑を浮かべる。
 「さあ、もう用はないわ…。軍部…聞こえるかしら?」
 『ハッ!通信状況は良好。すでに準備は完了しております。』
黒穴を通じて、軍部とのやりとりを始めるシュヴァルツァーが微笑を浮かべる。
 「ご苦労…さあ、始めましょう。楽しい楽しい戦争をね…フフフッ」
 『了解しました。』
 「いや…待ちなさい。」
 『えっ…は、はい。』
黒穴を閉じて、シュヴァルツァーがバラバラになった肉片を見つめる。
 「グルル…ガアアアア!」
 急速に…そうまるで逆再生しているかの如く、肉片が再結合し肉体を再構成していくのが
判ったのだ。
 「フン…まだ生きてるか…跡形もなく消え去るがいい…クリムゾン・デスフィアー!」
 シュヴァルツァーの右腕から、漆黒に彩られた無数の闇の刃が一斉に襲い掛かる!
それとほぼ同時に、パイオニア2全体に広がっていた光の奔流がただ一点に…
エリスに向かって迸りながら、収縮していく。
そして巻き起こる、闇と光との激突!
 ズドンッ!
 という凄まじい激突音がパイオニア2全体を激しく揺れ動かした。
聖と魔が互いに反発しあい、無尽蔵ともいえる巨大な爆発が連続して巻き起こり全てが…
そう大気…大地…ありとあらゆる生命体が、その巻き起こる超絶的な破壊の嵐に恐怖した!
 「ガアアアアアアア!」
 その爆発をも凌駕する龍の咆哮と共に、巻き起こされていた破壊の嵐が吹き飛ばされた。
その破壊力は凄まじく、パイオニア2の居住区を覆っている最大硬度を誇る天蓋にヒビが入る程であった。
人々の焦点は、ただ一点に注がれていた。
その爆発の中心に立つ一人の人物に…
そう、エリス=シンフォニアの姿に全ての注目が集まっていた。


 光の中心で浮かび上がる竜天使の胸部が開かれ、シャトとドラゴンスレイヤーを構えたままの
エリスの姿が現れる。
すると、竜天使の形状が変化を始め、ザザッ…と光の乱気流となりシャトとエリスの身体を結合させ
天使の羽へと変化を開始しだしたのだった。
同じ様に、切断されたドラゴンスレイヤーが光の粒子を帯びながら重厚な分厚い封印が施された
黒い刀身を持つ大刀『封印ノダチ』へと変わったのである。
 キッとシュヴァルツァーを睨みつけ、封印ノダチを構えるエリス。
駆け出そうとした瞬間、エリスの脳内に数々のコマンドと思われる数字と文字の羅列が流れるのを
感じた。
それもわずか数瞬…カチッという脳内でスイッチが入った様にエリスの肉体に変化が起こった。
竜天使のように肉体が変化するのではなく、骨が…筋肉が…神経が…
 体細胞の組成が急速に変化していく激痛が全身が襲い掛かった。
 「ぐっ…!?」
 『Active Next Genrate Evoluition Life Systes(常時次世代進化生命体理論) …スタート。
 大脳新皮質より戦闘データをロード完了…体神経および体細胞の変質完了…。
 知覚速度を20倍…反応速度を10倍に指定…攻撃力と防御力共に300%に指定…
 全制御補助デバイス…マグ人格シャトに固定。システムオールグリーン…100%コンプリート。』
 「なに…これ…!?」
 身体の奥底から溢れ出てくる力に、驚愕するエリスの脳内にシャトの声が鳴り響く。
 『エリス…私達の身体が完全に融合したみたいだ。』
 「シャト…!?」
 『おそらく、シンクロ率200%に達している今だからこそできるのだろうけど…今は戦闘に集中して欲しい。』
 「う…うん。」
 『細かい肉体制御は、私に任せて!』
 「わかった!」
 傍から見れば、エリスがただ独り言を言っている様にしか見えなかったがシュヴァルツァーは待っていた。
実に興味深く、面白いものを見る目で見つめていたのである。
 「話は終わったのかしら?…さっさとかかって来なさい。」
 「そうやって余裕こいてると、後悔するよ?」
 上空高くに浮かんでいるシュヴァルツァーに向かって、エリスが話すと同時に姿が一瞬にして消える。
ブンッ…という音と共に、シュヴァルツァーの背後から斬りかかる。
 「クリムゾン…」
 「遅い!」
 エリスの放つ斬撃が、右袈裟懸けにシュヴァルツァーを一刀両断したのであった。
その威力は凄まじく速く、『砕』を放つ時のごとく衝撃波を生み出し校舎に大きなヒビを走らせる。
 「な…力が…闇が消える…!?」
 斬り口から溢れ出るのは血ではなく、闇。その闇が封印ノダチから放たれる光によって浄化されていく。
その瞬間、初めてシュヴァルツァーの表情から笑みが消えうせ、凄惨な修羅の表情が現れた。
急速に膨れ上がるシュヴァルツァー…否、闇が明確な悪意をもってエリスに襲い掛かる。
 「クククッ…面白い!全てを貫く衝撃の槍(シュラーク・グングニル)!」
 ズドン!という音速を超えた衝撃波をともなった、ディープ・インパクトの破壊力とグングニルの貫通力
を合わせもつ音速の全方向攻撃がエリスに襲い掛かる。
 「シンフォニア流上段…破軍(ハグン)!」
 燦然と光り輝く恒星の如くエリスの全身から発せられた無数の光弾が、シュラーク・グングニルと激突し
連続して光と闇が対消滅する形で、爆発を引き起こし先ほどを上回る衝撃がパイオニア2に走る。
ついにパイオニア2は耐え切られなくなったのか、けたたましい警報音が各所で鳴り響き耳を覆いたくなる
ほどの大音響となって鳴り響いた。
 「くっ!このままじゃパイオニア2が…」
 「フッ…余所見するな…!」
 一瞬、警報音に気をとられたエリスに向かって黒い稲妻がエリスの胸部を打ちつけ、地面に向かって
叩きつけられる。
落下しながら、エリスが見た稲妻の正体は黒く黒く、光をも通さぬ暗黒の闇色といった全身の鱗を纏いし
巨竜の姿であった。
 「グッ…!」
 天使の羽からスラスターの様に、フォトンエネルギーを放出し落下速度を軽減化し見事に着地した所に
騒ぎの中心となるH.G.S(ハンターズ養成学校)に手練の熟練ハンターや、新米ハンターなどが援護のために
駆けつけてきたのであった。
 「あれは…K's兄ちゃん…ミミ!」
 「エリス…大丈夫か?」
 「お姉ちゃん大丈夫だった?」
 「うん…。ところで洗脳状態は?」
 「ああ、A.N.G.E.L.S計画の発動と同時に、そんなのものは解除されたよ。」
 エリスが兄妹…他のハンター達共に、シュヴァルツァーを見上げながら戦闘体制を崩さず応えた。
その様子をククッと笑いながら、シュヴァルツァーがハンター全員が見える様に黒穴を展開し映像を
映し出した…が、その映像にハンター全員に緊張が走る。
 「これは…たしかアンドロイド行方不明になった地点じゃないか…」
 「見ろ…クローズアップされて…お、おいっ!?マジかよ…」
 「ミサイル発射装置…!?」
 ゴゴゴッ…という空気を振るわせる轟音と共に、ミサイルが発射された。
その目標は…いうまでもなく、パイオニア2であった。


 「シュヴァルツァー…貴様!」
 「クククッ…ミサイル激突まで、残り300秒!」
 ドゥ!とフォトンエネルギーを天使の羽から放出し、エリスと共に飛び立つ影が2つ。
K'sとミミの姿であった。
 「能力を発動させたのは、お前だけじゃないんだぜ?」
 「お姉ちゃん手伝うよ!」
 「ありがとう!」
 「フッ…!」
 シュヴァルツァーが黒穴から、BLACK BIRD隊のメンバーとソロルシリーズを同時召還する。
シュヴァルツァーに接近する前に、大激戦が展開され始めたのである。
 「グングニル!」
 「ファントムメナス+ソニック・スラッシュ!」
 「爆砕震!」
 「バースト・ライス!」
 「オールガンズ・ブレイジング!」
 ハンターズ養成学校の生徒と熟練ハンターズを相手に、BLACK BIRD隊の猛攻が押していく。
たった7人に、総勢1000名近い人数が押されているのである。
 「いっちょ派手にあばれるぜっ!うおおおおおお!」
 気合のこもった声を上げて、ROCKYの全身の筋肉がコブの様に盛り上がっていく。
 「フッ…マッハ突き!」
 パンッ!という空気が爆ぜる音と共に音速を超えた一撃が、一人のハンターを一撃で昏倒させる。
その横で、両腕を前につきつけたままラゾンテを空中の一点に集中させ、周囲の空気を焦がすオゾン臭を
発する3m程にもなる巨大な雷球を形成していた。
 「決める!…魔弾の射手!」
 「総員…退避!」
 誰かが発した言葉を受け、回避行動を取る間もなく、ハンターズ200名を巻き込む超電磁砲の一撃が
戦況を一変させた。
 「やばっ…もうガス欠だ。私は、これで一抜けるわ。」
 「おい、バカやめろ。サクラもどれ!」
そそくさと帰り支度を始めるサクラを、空が肩をつかんで呼び戻す。
 「ええ〜…めんどくさ…」
 「しっかりやれ!」
 空とサクラが押し問答をしている間に、ROCKYとDIESELの悲鳴が聞こえる。
雷が閃くかの如く、K'sの鋭い一閃の元倒れ伏すのであった。
 「K's…貴様…!」
 「ひどいやつにゃ…!」
 「セキハンの名にかけて許さん!」
 K'sに向かってBLACK BIRD隊全員が一斉に襲いかかる!
それを余裕を持った涼しげな瞳で迎え撃つ。
 『A.N.G.E.L.Sプログラム「スクルド」…3秒先までの未来予測完了。』
 「いくぞ…シンフォニア流体術奥義…神躯(シンク)
  ゴッ!という音と共目にも映らない速さにBLACK BIRD隊を追い越していく。
振り向いたBLACK BIRD隊が遅れて飛んできた衝撃波に吹き飛ばされながら腹部から血を流しながら倒れる。
その音速を超えた弾丸は、3つ。
それが同時に、シュヴァルツァーに迫るのであった。
 「ミサイルを止められなくても…今ここであんたを止めれば…!軍部は思いとどまるはず!」
 「シンフォニア流剣術奥義…百花繚乱(ヒャッカリョウラン)
 百の花弁が開くかの如く、光の奔流が連鎖爆発しながらシュヴァルツァーに襲いかかった!
 「クククッ…もう遅い!炎による世界の破滅と再生(エクピローシス)
6000℃を超える超高温の白き炎は、百花繚乱と激突とし全てを白く染め上げた。
 ドゴオオオオ…!
 その衝撃は凄まじくパイオニア2全体を、今までにない程の激震が遅いかかる。
最強の硬度を誇る天蓋部全体にヒビが入りパイオニア2が徐々に高度を下げていっているのを
全員が感じとっていた。
鳴り止まぬ警告音…焦げ臭い煙がしだいに溢れ出てきていた。
 『WARNIG!…WARNIG!…先ほどのミサイル衝突によりパイオニア2は衛生軌道を外れ、落下中…
 一般市民の皆様は…ただちに避難シェルターに移動してください。』
 『はい…このままの落下ルートだと森エリアに着陸するものと思われます。』
 『…機関部には直撃はしていません。爆発の心配はないかと…』
 『火災箇所の消化はまだか!?』
 『被害状況を確認しろ!』
 『ええい!それよりも、無事に着地できるルートなのか!?』
 『ええ、むしろ全て計算づくでの衝突かと…』
 『くそ!くそ!くそ!』
 様々な無線が混線となって、混乱の状況を伝わってきた。
クククッ…とシュヴァルツァーだけが、うすら笑いを浮かべ上空で浮かんでいたのである。
 「そうよ…全ては計画通り。地表に付くまでの間、軍部の演説をしっかり聴いてなさい。」
 パチン…とシュヴァルツァーが指を鳴らすと同時に、パイオニア2に設えてある全てのテレビの電源が
ついたのであった。
 「さて…今お集まりの皆さんには、特別に特大の画面を用意してあげるわ…フフフッ」
 そういうなり、ブォン…と音と共に空中に巨大な人物の顔が浮かび上がった。
その顔は、宙軍空間機動歩兵第32分隊、通称「WORKS」の前隊長レオ=グラハート
つまり、今回の軍部によるクーデターの首謀者の姿であった。
 「ごきげんよう。平和ボケした総督府およびハンターズ諸君。我々…軍部WORKSからのプレゼントは
 気に入ってもらえたかね?」
 「なっ…!」
 「その寝ぼけ眼も、しっかり目が覚めただろう。…我々軍部は、総督府のちまちまとしたやり方には、
 ほとほと飽きていたのだよ。…故に、我らはここに決起する!
 来るべき未来を、よりよい物にするために!…世界を…変えるために!
 我々軍部は総督府に向け、宣戦布告するのだ!」
 レオ=グラハートの発言の前に、パイオニア2全員の顔が画面に集中し動きを止めたのであった。
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