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Bland New Tea☆Time♪

Bland New Tea☆Time♪

このページは、管理人が書いたPSO小説となります。
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作品の著作権は、作者にあります。
なお小説の内容は、ゲームの攻略等を示す物ではありません。
小説はオリジナル要素を、多分に含みます。ご了承の上お読みください。
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なお小説内に登場する企業・組織・団体は架空のもので、実在する企業・組織・団体とは無関係です。

Phantasy Star Online Destiny 本編18話pso-novel

「未来への布石」
坑道エリア最奥…中央管理室

 ゴゥン…ゴゴゴゴ…
重たい物が動く、地響きにも似た振動をあげて薄暗かった中央管理室の全電源が入る。
 ブウウウン…
 全面に張り出されたモニターが、全室内の様子に映し出されていた。
刻一刻と移り変わるモニター画面の向こうには、各々ハンターズが各地で軍部基地に襲撃をかけ激戦を
繰り返している様子が見て取れた。
 「…これは、どういうことだ?…親父。答えろよ。」
 「………」
 「何をしているのかわかってるのか!親父!」
 「グルル…」
 K'sの問いに、無言のまま無表情のまま見つめ返す、エリス達の父であるロイド=シンフォニア。
怒気を放ちながら、ロイドに一歩近づくと獣じみた笑みを浮かべ襲いかかろうとした。
 「…お前はそのまま、エリスを捉えていろロイド。」
 「グルルル…」
 ミルズウ=グラハードに答える様に頷き、エリスの両足をも切断するのである。
そして腹の上に乗せていた足をどかした瞬間、金属同士がぶつかり合う激しい激突音が響いた。
足をどかした一瞬を見逃さずK'sが「神躯」を使い、エリスを救出に向かったのである。
しかしそれも一瞬…ぶつかりあった反動を利用し、ミルズに向きを変え一気に迫る。
同じく「神躯」を用いた高速移動で、runaがミミを回収し、K'sの一撃が胴を、カノソの一閃が首を
跳ね様と放った首筋に当たらんとした瞬間…
 『跪け』
 ミルズ=グラハードのたった一言で、その場にいたミルズ以外の者が強制的に跪いたのであった。
なっ…と驚きながら、そのままの態勢のまま足首を切りつけにかかるが、トンッと軽やかに後方に回避し
さらに、ミルズが告げる。
 『頭を垂れよ』
 ドサッ…と全員が倒れこむように、強制的に従わされたのである。
さすがに、二度も続けば不審な目でミルズ=グラハードを睨みつけるカノソ達であった。
 「何をした…いや…これも、BLACK BIRD隊と同じ能力か?」
 「フム…ご名答。これが俺の能力が1つ。絶対なる言霊(アブソリュート・ワード)
 グググッ…意思と反して頭を垂れようとするのを、無理やり耐えながらミルズを睨む。
オオオオオッ…!という怒声と共に、爆発するかの如く足腰のバネを使い斬り上げる。
それを寸前のとこで一歩下がり避けたミルズの表情が、一瞬固まる。
 ギイイイイイン…!
K'sの感情に共鳴するように銀時計が激しく発光し、ミルズの言霊を解除したかと思うと一気に襲いかかる。
振り下ろした一撃が、金属質の物に当たったかのようなキィーン!という音ともに弾かれたのであった。
 「クククッ…。これが…俺の能力が2つ目。帝王の器(エンペラー・キャパシティー)
 ミルズの外観が、見る見る変化していく…。
ROCKY伍長の様に、皮膚が金属のように硬質化を開始し始め…
空少佐の如く、筋肉が肥大・強化されていく。
そして、白銀のマリス中佐の圧倒的なまでの反応速度をもって、K'sを吹き飛ばした。
激しく吹き飛ばされたK'sは、ミミを運んでいたrunaとぶつかりエリスの方まで転がっていく。
 「フゥゥ…久しぶりに能力開放したが…これほど俺の力が上がるとは…素晴らしい…まだだ…
 まだまだ能力が湧き出てくる様だ…フフフフ…いいぞ、いいぞ!」
 自らの肉体から沸き起こる、さらなる力に歓喜し喜びミルズは、K's達の様子を忘れたかのように
力の衝動に酔っていた。
 ミルズの髪が伸び、巡るましく形状を変えながら武器の形をとり始めた。
それは、まるでDIESELと被検体1096ソロルの能力そのものである。
 「いい…実に、愉快だ!今までの鬱屈していたモノが取り払われたかの如く、頭がクリアだ。
 実に、実に清々しい!これが力を得るということか!ハハハッハ…アーハハハッ!」
 さらに髪の量を増やし、全身を覆う外骨格と3対の腕を生み出したミルズ=グラハードはニ周りほど
巨大な身体に変化した、阿修羅そのものと化したのであった。
 「目の前の相手も忘れて、力に浮かれてんじゃねえっての!」
 神躯からの高速移動後、側面に周りながら放たれた百華繚乱を前にしながらも、ミルズは余裕の笑みを
浮かべる。
 『霧散せよ。』
 破壊のエネルギーの奔流が、ミルズを取り囲む3mの円形を中心を取り囲むかのように押し迫りながらも
尽く花びらが散るかの如く霧散していく。


 「……!?」
 突如、身体が軽くなるのを感じたカノソは、ルナ達に視線で合図を送った。
その動きを察したBLACK BIRD隊とカノソ達と再び激突するのであった。
 『ひざま…』
言い終わる前に再び迫る百華繚乱の前に、飛び退くミルズを見てK'sがニィ…と嗤う。
 「なるほどな…お前は『絶対なる言霊』を同時に2つ以上発動できない。
 それか、発動途中で変えることができないってとこだろ?」
ギリッと歯噛みするミルズの表情から、確信と見てとったK'sの目つきが変わった。
 「決めるぜ…シンフォニア流…体術奥義が壱…練硬武神(レンコウブシン)
 バンプアップしたK'sの左腕が、空中にあるミルズの右足を掴むとそのままタイルの上に叩きつける。
ガハッ…と肺の中の空気を全て押し出されて苦しむ間も与えず、k'sの斬撃がミルズの首を跳ね飛ばす。
 ゴトンッ…という鈍い音を立て首が転がり…いや、明らかに異様な速度で首が転がり出していく。
そう…首は加速しながら転がっていくのだ!
 「………!?」
 K'sが不審に思い、首に駆けようとした瞬間、先ほどのミルズが身体が黒ずみ溶けた。
否、闇へと変貌した身体は首の元に集まり、再び身体を形作っていくのであった。
 「ロイド!BLACK BIRD隊!命をかけてでも、ヤツラを足止めしろ!
 予定より早いが…第三次MOTHER計画を発動を開始する!」


身体を元通りに再生し終わり握り締めた拳を天高く掲げ、彼は告げる。
 『ハンターズの時代が終わり、全てを支配管理する時代が来たのだ…いでよ、ボルオプト!
 ゴウン…ゴゴゴゴゴ…
鳴動しながら中央管理室の天井が開き、ボルオプトと言われるコンピューターの巨大な身体が現れた。
 「な…母さん!?」
 K's達の表情が、驚きと戸惑いの中動きを止め、己の母親レナの変わり果てた姿を見てとった。
ボルオプトの中心にある透明な強化ガラスの中で、口にはマスクのような吸入器がつけられ様々なパイプが
全身を覆い尽くす形で絡まっていた。
さながら、重病人のための生命維持装置であるかのようにみえた。
 「母さん…!やっと会えた…今助ける!」
 「マ…テ…」
 動き出そうとするK'sを呼び止めたのは、ロイドの声であった。
先ほどの前後不覚とした洗脳状態とは違い、わずかばかりの理性を取り戻しつつあるかのようだった。
 「ハッ…ハハハ…そうだK's…よかったな父親に止めてもらえて…ククッ…もう少しで母親を殺すとこ
 だったのだからな…よかったな…ククッ」
 不審さを顕にしながら、ミルズを睨みつけるK's。
ザッとミルズに向きを変え、今にも襲いかかろうとするが…左から襲いかかる影の一閃に動きを止められる。
 「オヤジ…!?」
 両手のサンゲヤシャの連撃が、K'sの反応速度を超え両足を切り落としエリスの方にまで蹴り飛ばし、
そのまま神躯からの加速を利用し、runaとミミごと同じく投げつけたのであった。
 「クククッ…お前達の母親レナはボル・オプトと直結させられているのだ。
 どういうことか解るか?」
 「………。」
 「レナは、エリスと同じくD因子の影響であらゆる内蔵に不具合が生じたのだ…。
 放置しておけば、心臓が無尽蔵に肥大しポンプとしての役目を失う。
 それだけではない他の臓器もガン化というべき症状が発生したのだ。
 つまりボル・オプトは、生命維持装置を兼ね備えた機械であるということだよ。」
衝撃の事実を告げられ、一瞬の沈黙の後、矛盾点に気づく。
 (いや待て…なら、A.N.G.E.L.S計画で阻止なり予防ができるはずだ!
  銀時計をかけたまま助け出せば…)
 「ククッ…どうせ銀時計を付けたまま助け出せばいいと思っているだろう?
 出来るかな?ほんの少しでも壊せば…母親は肉塊と化すぞ?
 このまま、我らの第三次MOTHER計画のために役立ってもらった方がいいと思わんかね!」
 ニィ…と笑みを浮かべ、指を鳴らすと同時にボルオプトの中心にいるレナが呻き、
両耳のピアスと胸にかけられた銀時計が光り輝く…
ゴゴゴゴゴ…という音と共に、中央管理室が光で包まれた!


同時刻…各軍部施設

 「な…!?」
 突然、装備中の武器と鎧のフォトンが消え失せ戸惑うハンターズ一行。
しかしパイオニア2に反抗を示した軍人達のフォトンは消えることなく、解き放たれたフォトン弾が容赦なく
各ハンターズを打ち抜いていく。
 フォトンという特性を失った武器は、殺傷能力の無くなった棒や鈍器にしか過ぎなかった。
ましてや鎧に至っては、上着を1枚羽織った程度の防御力でしかなかったのである。
 高レベルハンターともなれば、軍人の武器を逆に奪い取り反撃に転じようとするが…武器を手にした瞬間
フォトンが消え失せ、無用の長物と化してしまう始末であった。
 「ちくしょおおお…どうなってやがる!」
 残る攻撃手段は、鈍器と化した武器で殴るか、肉弾戦に持ち込むしかない悲愴的な展開しかなったのである。


パイオニア2…

 「な…なんだこれは…」
 人々は驚愕していた。
 かつてのエリスに起こったA.N.G.E.L.S計画発動の瞬間と同じようにパイオニア2全体が鳴動していた。
しかし市街地を回るモノは、かつて見た黄金色に光り輝く光ではなく、紫と黒が入り交じった闇…
その闇は再現するようにハンターズ養成学校に集まり、爆発を起こすことなく消失した。
 「ふふっ…やってくれたね…せっかく、シュヴァルツァーの施した洗脳を解く方法が出来たというのに…」
 「クッ…」
 モンタギュー博士と、総督が歯噛みしながら、モニターを睨みつける。
パイオニア2の全機能を軍部が掌握の文字が出現した後、全システムが停止したのであった。
 そして…両者の瞳は、新たなる異常に目を向けた。
 「フフッ…パイオニア2を復活させ、母星コーラルを救う方法があるんだけどどうかしら?」
漆黒の穴を現出させ…シュヴァルツァーが笑みを浮かべながら囁くのである。
明らかな罠であると、本能が告げるのを押し殺しながら問うしかなかった。
 「…何を考えている?ハンターズを助けてもお前たちに利益はないだろうに…」
 「そう…軍部にとってはね。でも、私にとっては利益になることよ?」
 「………。」
 胡散臭いといった表情を浮かべる総督に向かって、シュヴァルツァーが黒穴を10m程の巨大さに広げ
映し出される光景に目を疑う。
それは、映し出された人物達にも同様であった様である。
何故なら、それは遥か彼方…パイオニア2がワープを繰り返して7年もかかる母なる星…コーラル。
しかも、10カ国連合の軍事国家パルマの首脳幹部連中であった。
 「まさか…」
 「フフッ…どういった手品かな?面白いねぇ。」
 「な…なんだね。これは…コリン・タイレルと…モンタギュー博士?」
 「まてまて!何だこれは…ハッ!これは、エリス=シュヴァルツァー様!?」
 「な…敬礼!これは…どういった事でありますか!?」
 「フン…黙っていなさい。」
 シュヴァルツァー以外、全員が驚いている。
これが、手の込んだ手品ならイタズラがすぎる、しかし…手品だと言うのならオカシイ事がある。
匂いがある…パルマ特産の花の匂い…
かつての記憶が、同時に思い出されるのであった。
 「さて…パイオニア2を修理する部品は、地下坑道にあるわ…それは気づいているでしょ?
 パイオニア1とパイオニア2は、設計はほぼ同じだし部品は残っているはずよ。
 そして…もう1つ。惑星パルマの問題よ。」


 そう…総督達が目にはいったのは、パルマの情景と匂いだけではなかった。
首脳幹部達の目であった。
それは、パイオニア2を降り軍部に降っていた連中と同じく洗脳された者達と同じ瞳であたのである。
 「フフッ…洗脳を解く方法はあるんでしょ?どうするのかしら。
 私の手助けを借りるか…差し出す手を振りほどき、救いのない絶望に浸るか…選びなさい。」
 「待て、答える前に1つだけ答えてくれ。これはお前にとって、何の利益がある?」
 「答えは簡単…私が…否、我が求めるのは絶望だけでない。怒り、嫉妬…ありとあらゆる負の感情のみ
 絶望だけでは、何も生まれんのだ。」

 声音に潜むは、シュヴァルツァーの少女めいた声ではない…深き闇の深淵から響き渡るかの様な
人間の本能に植えつけられた恐怖を揺さぶり起こすモノが潜んでいた。
 「どうするのだ…?我の気が変わらん内に決めろ。」
 「…私が、パルマの人々の洗脳を解くために行きます!」
 足を震わせながらも、声をあげたのはイリアであった。
手渡されたディスクを受け取り、進み出るイリアとシュヴァルツァーを飲み込み黒穴が閉じられる。


坑道エリア最奥…中央管理室

 レナに呼応するかの如く同時にエリス、K's、ミミ…の銀時計『戦乙女の加護(ヴァルキリエ・リーベ)』が
激しく明滅を繰り返す。
それだけではなく、ロイドの右目にはめ込まれた義眼の形状をしたマグ、左腕の防具カザミノコテに収められた
マグ…そして同じく胸に光り輝く銀時計…全ての銀時計の明滅が徐々に合わさる様に変化していく。
 「ああああ!」
 「ぐおお!?」
 「ううう…」
 「エリス…ケイ…ミミ……タ…エロ…」
エリス達だけでなく、ミルズ=グラハードとBLACK BIRD隊も同時に激痛の中呻き声を漏らす。
 「カノ…これって…」
 「何が起こっているか判らないけど…これはチャンスだよ。全員立て!」
 『ウッス…』
 「究極奥義でミルズ達BLACK BIRD隊を消す…それで軍部の戦力を大幅に減らせる。
 皆…全部のフォトンを私に集めて!」
カノソの号令の元、ルル達全員が立ちあがり手をつなぎ合わせ、フォトンをカノソに集め始める。
 (やっぱりだ…フォトンが使えないのは、武器を使った場合だけ…)
 「いくぞ…シンフォニア流…体術奥義が壱…練硬武神(レンコウブシン)
 そして…カノソ流…極限奥義…真・黄泉凶月(シン・ヨミノマガツキ)!」
 全員のフォトンが急速に、上空にもっていかれ巨大な髑髏の顔が浮かび上がる満月を形成した。
カラカラと骸骨が骨を噛み合わせて笑ったかと思うと、
その圧倒的質量と破壊力を伴ってゆっくりと前進し始めたのであった。
ベキベキ…バキン…とタイルがひび割れ押しつぶされながらミルズ=グラハードとBLACK BIRD隊に迫る。
 「やめろ…!このまま進めばどうなるか解っているのか!?
 エリス達の母レナごと押しつぶすことになるのだぞ!…おい!まて!やめろ!止まれ!」
 ミルズの表情に焦りが見え不遜な態度な消え去る…骸骨は進むたびに満月が展開し骨格を形成していく。
そして、全て展開し終わると…死神の姿となっていたのである。
 「何…消え去るのはお前達だけ…ちゃんと操作できるのさ。」
 「や…やめろおおおおお!」
 ミルズの喉が張り裂けんばかりに、絶叫をあげる。
その瞳に映る絶望は、死神の振り下ろさんとする鎌の一点にみ集約されていたのだった。
 「これで終わりだ!」
 カノソの動きに連動するように振り下ろされた右腕と共に、死神の鎌が命を刈り取るかのごとく放たれた!
 「そこまでよ…」
 ボキッ…という骨が折れる音と共に、カノソの右腕が外側に曲げられる形に折られた。
突然の自体にも悲鳴を上げる事なく、視線は背後に向けられる。
黒穴から腕を出し、今まさに姿を表さんとするシュヴァルツァーに向け折れた右腕を強引に向ける。
 「…オオオオオッ!」
 凄まじい絶叫が黒穴の奥より木霊する…身を隠すよりも早く、死を告げる鎌が黒穴を穿ったのであった。
黒穴が急速に円形状に膨らみ、爆ぜた!
凄まじい破壊のエネルギーの奔流は、中央管理室の壁はおろか…天井と床に凄まじい亀裂を生み出した。
脆くなった天井より吊り下げられていたボル・オプトの本体が落下し床に致命的な一撃をもたらした。


 「クソッ…クソッ…なんて事をしてくれる!
 第三次MOTHER計画に支障が出てしまう…ボル・オプトはどうなっている!?
 ハハッ…半壊してはいるが、まだ動くな。よし…ソロル。ソロル生きているか?」
 「…はい。」
 いまだ続く激痛の中、ミルズ=グラハードが真っ先に瓦礫の上にはい出てきて叫ぶ。
ガラッ…と瓦礫をどかしながら、同じ様にソロルだけでなく全員が出てきたのである。
 「命令だ。BLACK BIRD隊と、ロイド達のA.N.G.E.L.S計画の全てを手に入れ、俺に還元せよ。
 第三次MOTHER計画のための被験体が、ここまで生かしておいてやったのはこのためだぞ。
 失敗はするなよ…」
 「…はい。」
 シュルッ…と細い糸上に変化したソロルの髪が、その場にいる全ての者の全身のツボに突き刺さった。
トクッ…トクンッ…ドクン…ドクンッ…
心臓の鼓動に合わさる様に、全身から力が奪われていくのが解る。
 「ハハハハッ…あとは…集めたこの力を、ボル・オプトを経由して惑星ラグオルを駆け回せばいい。
 全ての武器も、防具も、全てが完全に管理された理想世界の完成までもうすぐだ。
 我らの理想を阻もうとするハンターズも、洗脳化に治めることにもなる…クククッ
 今に見ていろ…俺を馬鹿にしたハンターズめ…母星コーラルの無能な高官共め。
 ハハハハハハハハッ…」
 まさに夢想の世界が、現実へと変わろうとする瞬間に昂揚とした独白を持ってミルズが、激痛を堪えながら
一歩一歩ボル・オプトに近づいていく。
進むたびに、ミルズの表情には激痛というより笑みが浮かび上がる。
いままさに、理想を手に入れんとする狂気といった笑みであった。


 「くそっ…なんとかしなくっちゃ…動け…」
 銀時計の激しい明滅が一層増し気を失いそうになる激痛と共に、エリスの全身が激しく震える。
全力で四肢を再生しようとするのを、なぜか阻害されているのである。
 「畜生…!」
オロチアギトを突き立て、失われた両足のかわりにして無理やりにでも立ち上がろうとするK's
その前に立ち上がる一つの影…ロイドの姿であった。
 「親父!目を覚ませ!アンタがこんな事を望んでやる男じゃない!親父!」
 「ハハハッ…無理だよ。ソイツの意思は、私が念入りに壊しておいた。
 今は、ソロルと同じく命令に従って動くだけの人形にしか過ぎん!」
 ボル・オプトに触れ、ようやく余裕を取り戻したのかミルズ=グラハードの表情に笑みが浮かぶ。
そして、レナの銀時計を握り締め、自身の闇の力を流し込んでいく。
 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 レナの悲鳴と共に、闇の力が壁に張り巡らされたケーブルを介し、あらゆる方向に流れていった。
ドクン…ドクン…ドクン…
 ソロルに吸収される速度が心臓と鼓動と重なり、周囲に聞こえる…
闇の力が周囲の空間を捻じ曲げ、溢れ出る力が雷となり降り注ぐ。
それと同時に、レナの銀時計と両耳のピアスが反発するかの様に光が最大にまで輝き反発する。
ドクン…ドックン…ドクン…
 「親父!母さんが、どうなってもいいのかよ!?おい、おや…」
 K'sが最後の言葉を飲み込んだ。
それは、ロイドに突然手渡されたモノ…あと2つも、エリスとミミにも投げ渡されたモノ…
それに気づいたのである。
そして、ゆっくりとソロルに向けて歩を進めるのであった。
 「さあ、第三次MOTHER計画完成まで、97…98…99%…ハハハッ!さあ完成だ!
 ソロル…よく頑張った!褒めてやるぞ…ハハハハハハッ!」
ゴオオオオオッ…
 闇が光を飲み込み、溢れ出る力が天に衝き立てる牙の如く噴きでたと思うと、天も地上をも飲み込んだ。
真っ赤な血にも似た真紅と闇の力を示す黒と紫のまだら模様が全てを包み込んだのである。
ドクン…ドクン…ドクン…
心臓の鼓動にも似た音が、木霊する…空からでない…地上から…否、この真下から聞こえてきた。
 「ハハハッ…素晴らしい闇の力が溢れ出てくる…これが、シュヴァルツァー様が言っていた
 第三次MOTHER計画の副産物か!いい!実にいいぞっ!フハハハ!」
 「いや、お前達は終わりだよ。ミルズ=グラハート…」
 「なに!?」
 「俺達の希望が…息子と娘達と俺達がここで出会うのが布石だったんだよ。
 すまなかったな…ソロル。これでお前も救ってやれる。」
 完全に意識を取り戻したロイド=シンフォニアが、能力を使い果たして倒れているソロルを守る様に
サンゲヤシャを構えていた。
 「ハハハッ…何を言っている!?
 第三次MOTHER計画が発動中は、我が認めた相手以外フォトンを使った武器は使えん!」
 「フッ…忘れたのか?そのシステムを作ったのがレナだと言うことを…
 A.n.G.E.L.S計画を元にして、作られたシステムは全フォトンを使用する武器のマスターコントロールを
 強制的に、ボル・オプトとあと2体のホストコンピューターに接続されて支配下に置かれる。
 しかし発動条件は極めてシビアな設定であったの覚えているだろ?」
 「ああ…発動条件を満たすための膨大なフォトンを所有できる被験体が必要だった…
 そのための存在が、我らBLACK BIRD隊とソロルシリーズ…」
 「それを満たして、システムを破綻させるモノがあったらどうかな?」
 「貴様…!まさか…!」
 「そうだ!お前達の計画は、これで完全に無効かさせれる…終わりだよ。」
 ロイドが、ニッと微笑むと同時に、光の奔流が溢れ出る。
 ゴオゥッ…!
 エリス…K's…ミミの全身から、眩い金色の光が解き放たれる。
ボル・オプトに囚われていたレナの銀時計と2つのイヤリングも空中に浮かび、エリス達の銀時計に
溶ける様に吸い込まれる。
そして、髪を通して精神とリンクしているソロルも光り輝き始めるのであった。
 エリス達から放出される3つの光の柱が、ソロルに集中して天高く放たれる!


 エリス達の苦痛の呻きと共に、異変は起こった…。
 「グッ…!?」
 「っつ!?」
 中央管理室を埋め尽くす槍の群れが、タイルを粉々に砕き、全員を身体を貫きながら凄まじい速度で
天井を…その上にある洞窟の岩盤さえも穿ちながら地上にまで噴出する。
 ゴガガガ…ドドドドドド…
 その異変は、遥か天高く宇宙から見ている者…神がいるとすれば、目を見開き驚愕した事であろう。
惑星ラグオルの地表を食い破る大異変を…高まりゆく鼓動に耳を済まし、恐怖に慄くのは間違いない。
それはまるで、地下深く眠っていた大蛇が怒り狂い全てを破壊しようと暴れているかのようであった。
 『オオオオオオオオオオオ…!』
 地上の全ての生ある物達は、恐怖に我を失い逃げ惑う。
動けぬ植物は、巻き起こる嵐に身を縮こませ震え怯えていた。
天を震わす巨大な悪意に…吹き荒れる嵐は目覚し息吹…荒れ狂う雷鳴は歓喜…


地上…森エリア…

 「クソッ…何が!?まさか…封印が…遅かったのか?」
 腹部を貫く槍を苦痛に目を覚まし…五体がしっかりあるのを感覚で確認するロイド。
その瞬間、身体を覆っていた光の膜が弾ける。
 (A.N.G.E.L.S計画の効果か…なら、他の皆も助かっている可能性があるな…)
 「グッ…」
 身体が動くのを確認しつつ、身体を起こし腹部の槍を抜きながら周囲を確認した瞬間…
奥歯をギリッと噛み締める。
 全員が重症を負いながら命を取り留め、エリス達から発せられる光が少しずつ回復させていた。
しかし当の本人達は、今なお激痛に顔をしかめていた。
これは傷の痛みではなく、肉体が変質していく痛みであったのである。
 「ケイ…エリス…ミミ、無事か。その痛みは、A.N.G.E.L.S計画の最終段階の症状だ。
 それさえ終われば、D因子による闇の侵食を完全に防げる…しばらくすれば収まる。」
その間に、意識を取り戻したカノソとルナがロイドを見つめる。
 「…すまん皆。予想より早くヤツが、目覚めるとは…」
 『ハハハハッ…』
 空中から…否、身体を貫いていた槍の群れからの声であった。
その声は見知った声…シュヴァルツァーの声であったのである。
 突如として、槍の群れはバラッと1mほどの小さな個体に別れ、頭部からプロペラのような突起物をだし
思い思いの方向に飛び去っていく。
その中心部分から漆黒の空間が現れ、シュヴァルツァーは空中に浮かんでいたのであった。
 「ロイド…よくやってくれた。軍部の計画だけでなく…私を…いや我が本体を封印しようと考えていた
 とはね…クククッ…何を思いながら企てているのか面白かったわよ。」
 「………計画通りだってわけか?否、復活のために放置してたのが正解だろう?
 嘯くなよ…全てはお前を滅ぼすための計画さえ、楽しんでいたくせにな!」
 睨みつけるロイドに、微笑みで返すシュヴァルツァー。
その2人を見つめるエリスが、困惑の表情を浮かべて問う。
 「………どういう事なの!?」
 「フフッ…そうね。いい機会だし、昔話をしましょう。」
 ニッ…と、道理の解らぬ子供に言い聞かせる様に、寝物語を読むかの如くに優しい声で…
子供が仕掛けたイタズラが、思惑通りいったかの様に喜び表情を浮かべていた。
しかし、その瞳にとびっきりの悪意が込められていた…
その表情が物語る様に、話は過去に遡る。
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