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Bland New Tea☆Time♪

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このページは、管理人が書いたPSO小説となります。
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Phantasy Star Online Destiny 本編19話pso-novel

「繋がる過去と未来」
 エリス・シュヴァルツァーは、語る。
「全ての始まり」へと繋がる物語を…
それは、最初から決められた運命という罠…決して逃れる事のできぬ宿命の鎖であるかのごとく思わせた。


運命の起点は、現在より遡ること数百年前…

  この宇宙全体に広がる「大いなる意思」は、一つの星に注意を向けていた。
その星の名は、惑星ラグオル…。
「大いなる意思」それは、この世界…宇宙を守るもの。
人はそれを、「神」とも「因果律」と呼ぶ。
はたまた宇宙全体の調停を図るもの…「調整者」
全ての生命の母にして頂点に立ち、全てを司るもの…「超越者」
ありとあらゆる名で呼ばれるソレの意識は、ただ一点に向けられていたのだった。
その「大いなる意思」に対する究極にして絶対悪…宇宙の破壊神「ダーク・ファルス」
それが今まさに、復活の時に近づき胎動を始めていた。
 「大いなる意思」は、自ら手を下すことはありえない。
なぜなら意思であり意識であるから、何もできないのだ。
しかし、意思は「選択」し「その思いに働きかける」ことが出来る。
「ダーク・ファルス」に対抗できる者達を…そして、意思はたった一つを選び出したのだ。
ラグオル宙域に広がる、小惑星郡の中の一つ…ほんの小さな生命の宿る小惑星に働きかけた。
 自らの意思を持つように…進化を望む様に…
その生命は生存本能に則り、小惑星内部の鉱物を貪り食い増殖、巨大化をし続け
小惑星の軌道を少しずつ変化させるまでに急速に進化を遂げていた。
 しかしまた、その「大いなる意思」の思惑に反対し近づくモノがいた。
ダーク・ファルスの「邪悪なる意思」を受け継ぐ闇の存在である。
その闇の存在は、「大いなる意思」が選び取った生命に飛びつき融合を試みる。
 そして、ダークファルスの意思、「大いなる意思」を受け継いだ生命体はより進化を
求めて、遥か先にある一つの惑星の存在を感じ取り動き始めた。
 そう、そこはエリス達の生まれ故郷…荒廃の一途を辿る母星コーラルである。
「大いなる意思」のダーク・ファルスに対抗となる武器と存在になるために…
ダーク・ファルスの「邪悪なる意思」による、自らの存在の復活の糧となる
破壊と絶望を憎悪を撒き散らすために…
全ては、ここから始まったのだ…。


A.U.W3063年…

 ついに小惑星は、惑星コーラルにたどり着く。
隕石として、とある地表にたどり着いた「邪悪なる意思」はまずその身を引き伸ばし
触手として地上の物質を貪り生命体に分け与え始める。
 そして、隕石の調査隊として現れた中でももっとも知能の高そうな人物に目をつける。
そう…彼こそが、「オスト・ハイル博士」その人であった。
 慎重に研究室に運ばれ、小惑星の詳細な研究が開始され始めたとき、博士が腕を
伸ばし触ろうとする瞬間に触手を伸ばし指先からD因子と共に体内に侵入を開始する。
触手から放出されたD因子は、まず最初に行ったのは博士の脳の改造である。
自我を残しながらの脳のさらなる活性化…D因子を用いた研究を開始させるためである。


A.U.W3068年…

 D因子を含んだ生命体の武器転用の可能性が高まり、培養が始まった。
それと同時に、かねてより博士の指示の元に飛ばしていた探査衛星がある情報を持ち帰った。
 そう…その生命体が飛来してきた宙域にあると予測された惑星「ラグオル」の発見だ。
その情報をもたらされた時、生命体と「邪悪なる意思」は歓喜の感情を発散し爆発的に分裂を繰り返し、
初めて自らの「意思」を示す。
そう、この時「邪悪なる意思」は、「大いなる悪意」を広める行動を始めたのだった。


A.U.W3070年…

 意思は、オスト・ハイル博士の肉体を介し次々と「10カ国連合」の幹部との会合の時に
博士の内から触手を伸ばし、数多くの幹部に寄生することに成功していた。
 そして、2年の時を経てオスト博士とモンタギュー博士によってフォトンエネルギーを
用いた生体兵器のプロトタイプ「マグ」が完成。
マグの体内に、隠れ潜む形で「邪悪なる意思」は未だに残り続ける。
 邪悪なる意思は、10カ国連合の幹部の意思に働きかけ、未知の惑星「ラグオル」への移住計画を
立てさせることに成功。
その計画は「MOTHER計画」と名づけられる。
 オスト博士とその助手らの精神の大半を乗っ取ることに成功した「邪悪なる意思」は、
ある計画を立ち上げるのだった。
 それは未知の惑星ラグオル及び荒廃した母星コーラルの劣悪な環境でも耐えられる新人類の創造計画…
そう、惑星ラグオル全体を使った「巨大な実験場」を模索し始めたのだ。
極秘の計画は、世界に祝福をもたらす事を願い「A.N.G.E.L.S計画」と名づけられる。
 計画のあまりの危険さと、計画実験による数多くの被験者が苦しみ狂いながら死んで
いくのに嫌気がさしたエリスの母レナ=シンフォニアは、ロイド=シンフォニアと脱走を計画。
 10カ国連合を束ねる軍事国家パルマに、「A.N.G.E.L.S計画」の実行停止を求める告発するためであった。
この計画の大元となるデータを飛来してきた「最初の生命体」をマグに詰め込むと共に、
計画の根本的なデータを時限式のウイルスを用いて消去し脱走。
 「惑星移住計画」を揺るがす程の大事件であるが、エリスの父ロイド・シンフォニアの上司…
当時かなりの重役についていたかつての英雄ヒースクリフ・フロウウェンが、
裏で手を回し事件のもみ消しに翻弄してくれたおかげで事なきを得た。
それから、しばらく立ちエリス=シンフォニアが生誕したのだった。


A.U.W3071年…

 エリスの父ロイド母レナは、軍事国家パルマに対して告発をしていなかった。
否、告発できる状況には置かれていなかったのだ。
 当然、10カ国連合もとい惑星移住計画そのものがご破算になりかねないため必死に
パルマは秘密理に、各国へ捜査の範囲網を広げ調べていく。
しかし…1年の歳月をかけても見つけることはできなかった…。
家族・親戚・友人・知人は行方を知らず、世界規模での捜査でも無理だったのは何故か。
 そう、二人が隠れていたのは木を隠すなら森の中。
10カ国連合によって作られた研究所の奥の奥そのさらに空間を捻じ曲げた奥にいたのだ。
 その空間への入口を守っていたのが、「オスト・ハイル博士」に並ぶ稀代の天才
ジャン・カルロ・モンタギュー博士」の研究室である。


A.U.W3072年…4月9日…

 2歳になったエリスが、風邪で38.9度の熱を出し寝込んだ。
その時、母レナが持ってきたソルアトマイザーに目をつけた「邪悪なる意思」は触手を伸ばし
転ばさせることに成功する。
 その拍子に零れ落ちるソルアトマイザーをかぶった「ラグオルから飛来した原初の生命体」が
宿るマグは、自らの本能に従い肉体を変化…否、進化させることに成功するのだった。
 進化したマグの中に宿る「生命体」が、もった新たなる感情…
邪悪なる意思」が求め続ける進化への渇望以外の感情…
エリスに傾ける「母性愛とも父性愛ともとれる慈しみと愛情に、「邪悪なる意思」は不快感を示した。
 そう、時を同じくして「邪悪なる意思」も新たなる感情に芽生える。
いわば、「憎悪」  「破壊衝動」 「凶気」あらゆる負の感情の発露。
その果てに生まれたのは「漆黒にも似た悪意に染まった自我」であった。
「自我」は、寄生している全ての分身に指令をだし命令を下した。


A.U.W3072年…4月10日…午前10時

 「10カ国連合共同調査機関」なる新たな部署が、急遽創立された。
 今まで各国が独自に研究した項目を統合し「惑星移住計画」のために役立てようというのが
表向きの理由であり、 今までは機密情報保護の目的で各国の研究室を公に訪れ研究成果を
見るということが阻まれていたのを撤廃し、各国協力し情報を提示し技術の発展に貢献しようと
いう目的であった…
 しかし、裏の情報を握っているもの達には別の視点から危機を感じていたのだった。
各国がそれぞれの思惑を成し遂げるために、休戦中という微妙なバランスで保たれている
現状を壊したくないためもっとも簡単かつ迅速な発展方法である共同作業を行わなかったが…
 他国はおろか自国の調査機関でさえ調べられないという実態で、今まで隠れおおせて
いられたのがついに出来なくなったのだ。
 そう、裏の目的はただ一つ。
 エリスの母レナと父ロイドが持ち出した「A.N.G.E.L.S計画」の研究を再開させるためであった。
そう進化した「邪悪なる意思」は、わずか1日で寄生した人物の感情をあやつり
「10カ国連合共同調査機関」を立ち上げさせたのであった。


A.U.W3072年…4月10日…午前11時

 「10カ国連合共同調査機関」の発足のあと、 会場にいた
ジャン・カルロ・モンタギュー博士の言葉が、再び放送を見ていた人々の視線を集めた。
 挨拶の終わった後、博士はその場で重大な発表をしたのだ。
全世界に向けて生体兵器「マグ」の進化理論、戦闘における有用性を公表し注目を浴びる。
 その際、「情報漏洩の危機があったため、やむなく逃亡という形をとりモンタギュー博士の下で
研究を続けていたレナ・シンフォニア博士及び、ロイドシンフォニア氏の協力の下できた」との
コメントを残し会場を後にしたのであった。
 レナとロイドが逃げても逃げられないなら、先手を打つ手段にでたのだ。
 機密漏洩と「惑星移住計画」ならびに、10カ国連合さえも瓦解してしまうのを恐れたパルマは
レナ達の暗殺計画を立てていたことを、軍部所属の英雄ヒースクリフ・フロウウェンからの
情報提供を受け、再び脚光を浴びさせ有名になる事により暗殺から身を守ろうとしたのだった。


A.U.W3072年…4月10日…午前11時30分

 報道が終わってすぐ「10カ国連合共同調査機関」が、モンタギュー博士の下に訪れ状況の説明を
求めに現れた。
 (んふふ…ここまで主要な人物が訪れるとは、すでに目星はつけてたって事だねぇ。
 下手に隠し事し続けるよりいっそ、本人達をよんで説明させたほうがいいねぇ。)
 モンタギュー博士が、その顔ぶれを見て研究室奥からレナとロイドをよび、事の次第を説明し始めた。
 マグの研究の事…「A.N.G.E.L.S計画」のより高度な運用方法及び研究成果について。
そう、実際に彼らは研究を続けていたのだ。
計画を発展させるためではなく、正しく運営されるために日夜研究を続けていた。
そしてまた、「A.N.G.E.L.S計画」そのものを阻止するための研究をも…。


A.U.W3072年…4月10日…午後2時

 「10カ国連合共同調査機関」への説明が難航の様子を呈してきた。
研究内容に対しては多いに評価できるが、問題となるのは「逃亡」という形をとった事への
責任追及であった。
 そこへ、風邪も治りおなかを減らしながらも、研究室奥でじっと聞き耳を立てていたエリスが飛び出してきた。
 「君達には、相応の罰が与えられるのは避けられない。
 死か、「A.N.G.E.L.S計画」の実験体となるか…
 それとも…ラグオルへのパイオニア1に乗り研究員になるかだが…」
 調査機関の幹部が野太く低い声で、選択を迫る声にいてもたってもいられなくなり勢いあまって
飛び出してきたのだ。
 「お、おかあさん、おとうさんを、ころさないで!」
 怒りと悲しみが混じった泣きそうな表情を浮かべ、エリスが幹部に向かって突進する。
突進した勢いのまま股間に、頭突きが見事に命中し幹部が悶絶し怒りを顕わにして
エリスに平手打ちを食らわし吹き飛ばした。
 「くっ…こ、このガキ…なんてことを…」
 2歳児の軽い体は、壁まで飛ばされ口の中が切れたのか血をたらしながらその幹部をにらみつけた。
よろよろと立ち上がり、泣きそうになるのを必死におさえながら再び突進をかける。
幹部を守っていたボディーガード及び、エリスの父母が止めに動き出した。
 エリスの怒りに感応したマグが光輝き、粒子をエリスの体に纏わせ始めたのだ。
その瞬間、恐るべき瞬発力を見せボディーガードをすり抜け幹部に一撃を食らわせたのだ。
 「お…お…」
 幹部が、今度は拳でエリスを殴ろうとしたときマグが盾となって守ったのだった。
それとほぼ同時に母がエリスを止め父が間に入り、その幹部を殴りつけた。
 「いいだろう。実験体でもなんでもするがいい。…だがな、俺の娘を傷つけた事は許さん!」
 「グッ…いいだろう。よろこべ…貴様は、実験体第一号だ。ロイド=シンフォニア!連行しろ!」
 「と…とうさん…だめ!だめっ!だめーっ!」
 エリスの絶叫と共に、マグに新たな変化が訪れる。
漆黒の塊がマグから、飛び出すと同時に神速の速さで塊から飛び出した針が研究室にいた幹部達の頭部に
つきささったのだった。
 そして蚊が血を吸うように、どくんどくんと何かを吸収しだした。
一人の幹部の体が、まるで風船がしぼむように縮んでいくのが見えた。
そして塊は、そのまま変化を続け人の形状に変わっていくのだった。
その姿は、まさにエリス=シンフォニアそのものの姿であった…
 「いやいや…これは驚いたね…。ふふっ…面白い。」
 「フッ…驚きよりも、興味を示すとはさすがモンタギュー博士ね…。」
 「いやはや、君はいったい何者だい?」
 「私…?そうね…ただの意識生命体…そのマグに寄生しこの惑星に侵入に成功した
 「邪悪なる意思」そのものよ…。」
 「なるほど…実におもしろい。…少し、調べさせてもらえると嬉しいのだけどね、ふふっ」
 「ククッ…冗談はよしなさい。」
 「やれやれ、残念だねぇ。 ところで、君のことはなんと呼べばいいのかな?」
 「私…?」
 「そう、君の名前だよ。」
 「私…いや私達の存在は、我というモノが存在しない。私達の創造主たる神の末端であり
 神そのものであるから…名前という概念自体がないのよ。
 もし私の名があるとするなら、そこのエリスの精神を苗床に成長したからエリスでいいわよ。
 黒きエリス。エリス=シュヴァルツァーとでも名乗ろうかしら。」
 「エリスちゃんね。それにしても神ねぇ…で、その神様とやらにも呼び名がないのかい?」
 「おしゃべりな博士ね。神の名は、ダーク=ファルス。話は終わりよ…」
 シュヴァルツァーが指先をモンタギューに向け針のように高速で伸ばす。
脳天を貫くかと思われた瞬間、体を包むように光の壁が出現したのだった。
 「んふふっ…なるほど、これはA.N.G.E.L.S計画阻止のための実験第一段階成功ってことかな。」
 「ちっ…」
  目を輝かせながら、その様子を見守るモンタギュー博士。
舌打ちし、塊から変化したシュヴァルツァーがにらみつける。
ただ3人だけが針に貫かれるのを阻止できたのは、モンタギュー博士とレナそしてエリスだけであった。
その首にかけられた「戦乙女の加護(ヴァルキリエ・リーベ)」の効果であった。
製作の期間の短さゆえにできたのが、たった3つだけだったのが災いした。
自らの身よりも、娘を守るために持たせたロイドが頭部に針を打たれたのだ。
 その様子に、エリスとレナが声もでず驚愕の表情を浮かべたまま固まっていた。
 「安心しなさい…ロイドは殺していない。ただ知識と戦闘技術を貰っただけよ。
 まあ、そこのエリスを殴った幹部は肉体形成の役割に食べただけ…
 大した問題ではないはずよ。」
もう用済みだと言わんばかりに、嘲るような瞳でロイドを一瞥し視線をレナ達に向ける。
 「レナ=シンフォニア博士、モンタギュー博士。
 私は、あなた達を「A.N.G.E.L.S計画」の実験台にはさせない…。
 惑星ラグオルにたどり着き、やって貰わないといけないことがあるから…。」
 「なん…だと…!?」
 「今回の件については、あなた達がパイオニアの乗組員としてラグオルへ行くという形で
 逃亡の罪を帳消しさせることにする…感謝しなさい。」
 「………。」
 「決してこの運命からは、逃れられない。ふふふ…はははははは!
 そう決して、私の…エリス=シュヴァルツァーの仕掛けた罠からね!」
 哄笑とともに、暗い塊は完全に漆黒のローブを纏った少女へと変化してその瞳が妖しく赤く光り輝く!
 「魔眼発動…この部屋での記憶よ…消え去るがいい!」


A.U.W3072年…4月10日…午後2時5分

 「10カ国連合共同調査機関」の幹部達が、虚ろな表情でモンタギュー博士の研究室から
一人の少女を連れて出て行くのを確認後…
 午前中に報道した内容についての報道陣が駆けつけた。
そこには、呆けているモンタギュー博士らの姿を確認。
事情を聞くが、全員がその場であった事を覚えていないとの一点張りでうやむやに終わる。


A.U.W3072年…4月11日

 「オスト・ハイル博士」の元で、エリス=シュヴァルツァーは数多くのハンターズを食らい
力と知識を手に入れ始める。
それと同時に「A.N.G.E.L.S計画」の発展系…ラグオル全体を使った巨大な実験計画。
「第二次MOTHER計画(真・A.N.G.E.L.S計画)」のプランが進められ始めた。


A.U.W3073年…

 10カ国連合による数多くの実験計画を打ちたて、様々な準備が進められる。
そして、もっとも早く台頭してきたのは軍事国家パルマであった。
周囲への影響力が高い軍部「WORKS」の存在が、各国首相及び官僚達の地位を脅かし始めたのだった。
その影には、エリス=シュヴァルツァーが自らの分身を埋め込ませた傀儡達の働きが大きく影響していた。
全ては、「第二次MOTHER計画」を推し進めるためであった。


A.U.W3075年…

 もう我慢が出来ない各国幹部が手を取りあい、ある計画を打ち立てる。
 「未知の惑星の探査のため、最高の人材達を送り最大限の成果をあげる」という名目の元軍部「WORKS」が
所有する世界最大戦力の半分をパイオニア1に乗せる計画だ。
各国への影響を減らし、自らの地位を守るためというのも裏に隠されていたのは言うまでもない。
 そして厳選された選抜メンバーのうちに表記されていた名前は…
旧世代の英雄「ヒースクリフ・フロウウェン
フロウウェンの弟子にして現世代の英雄「リコ・タイレル」通称「レッドリング・リコ」
全世界の誇る科学者…マッド・サイエンティストと名高い「オスト・ハイル博士
数多くの著名な科学者、ハンター達が名前を並べる中に
エリスの父と母ロイド・レナの名が連なって書かれていたのだった。


A.U.W3076年…

  そして出発の日の朝…
 3人の子供達専用に、銀時計の内側に様々なカスタマイズ強化した「戦乙女の加護」を
手渡し、レナとロイドがパイオニア1に乗り込む事になる。
 それを満足そうにパイオニア1の研究室から覗き見るエリス=シュヴァルツァーの姿があった。


A.U.W3077年…

 発進より1年後、「パイオニア1」はラグオルに到着。
移民団は周辺調査を行い安全を確認後、本格的な居住のための開発を開始。
生活の拠点となる「セントラルドーム」の建設のためパイオニア1を分解し始める。
 その後、地下に繋がる洞窟を発見。
洞窟最奥に流れる地下水脈を発見後、「オスト・ハイル博士」の指示の元
解体したパイオニア1の材料を流用し「坑道」を作り始めるのであった。
 その坑道内部では、数多くの「D因子とD細胞を用いた数々の実験」つまり…
原生生物を使った「A.N.G.E.L.S計画」を始めるのであった。
その実験の果てには、実験体としてβシリーズ…通称「デ・ロル・レ」などが生み出された。


A.U.W3082年…

 周辺地域の環境整備が成るとともに、生活の拠点となる「セントラルドーム」が完成。
本星「コーラル」と連絡をとり、移民船第2陣を召集。
すでにその頃には、「A.N.G.E.L.S計画」もある程度形を成し人体実験への段階に進んでいた。


A.U.W3084年…

  そして運命の日が訪れる…。
パイオニア2が衛星軌道上に到着した時、惑星ラグオルの地下で重大な事が起きていた。
神の復活への幕開け…それを止めるべき戦いの果てに訪れた悲劇。
そう、セントラルドームの爆発をもってこの物語は動き始めたのだ。
仕組まれた悪意は、さらなる悲劇への幕開けを呼び寄せる…!


 エリス=シュヴァルツァーの語りに全員の顔が凍りつく。
その様子を、冷ややかな瞳で見回しながら続ける。
 「フフフッ…ほんとにご苦労様。ロイド…レナ。
 あなたが惑星ラグオルに降り立ってからも、数々の困難を振り払いながら裏でコソコソと行動していた事…
 そして、レナの心臓に植えつけられたD因子…研究の失敗だと思っている様だけど違うのよ。
 最初から…お前達が、そのエリスの天使の羽に変質している存在…シャトになる前、マグの時には
 既に私の一部に侵入させてもらっていたのよ…クククッ」
 「…なん…だと!?」
 「そう…私がロイドを洗脳する前に、既にゆっくりと身体が変質していったのよ。
 全ては神を…私自身を復活させるために、レナの脳を活性化させてあげたりもしたんだから感謝して
 欲しいくらいだわね…
 そうそう、ロイド…あなたの筋力とかも私のおかげよ?あなたの戦闘経験をD因子を介して
 私の体内にも流れていってたのよ…フフフッ…」
 「………」
 ギリッと奥歯を噛み締め、ロイドの瞳に炎が揺らめく。
サンゲヤシャを構えたと思った瞬間、一気にシュヴァルツァーの背後に回り込でいたのであった。
 「シンフォニア流…究極奥義…千紫万紅(センシ・バンコウ)
 奥義・百花繚乱を遥かに超える千…いや万といった様々な花の色と形をした爆発が連鎖的に引き起こされる。
それはまるで無数に飛び交う花火の群れといった有様で、見るものを魅了した。
ドドドドドドドドドドッドドド…
 「大気を震わす心臓の鼓動が、復活の予兆か?
 長々と話ながら復活をまっていた様だが…止めてみせる!」
 爆発を伴う斬撃を、シュヴァルツァーに浴びせながら吠えるロイドが見たもの…
ニィ…と目を見開き、片頬のみをあげた狂気と侮辱を込めた笑みを浮かべた顔であった。
 「もう遅いのだ…炎による世界の破滅と再生(エクピローシス)
6000℃を超える超高温の炎が、万を超える爆発を飲み込み空を全て白に染め爆ぜた。
凄まじい熱風と爆発の中シュヴァルツァーの声だけが、聞こえてくる。
 (これは…精神感応を利用した声か!?)
 「さあ…舞台と役者は揃った…終幕の始まりだ!」
 ソロルを除いたBLACK BIRD隊も同時にその場から消え失せていた。
ドックン…ドクン…ドクン…ドクン…
ただ…不安をさらに掻き立てる様に、天を震わしていた心臓の鼓動は、鼓動の早まりと同時に
大地を振動させていくのであった
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