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Bland New Tea☆Time♪

Bland New Tea☆Time♪

このページは、管理人が書いたPSU小説となります。
(HP小説の無断転載を禁じます。)
PSU(Phantasy Star Universeの略称)は、SEGAの登録商標です。
作品の著作権は、作者にあります。
なお小説の内容は、ゲームの攻略等を示す物ではありません。
小説はオリジナル要素を、多分に含みます。ご了承の上お読みください。
ご理解頂けない場合は、ブラウザバックでお戻りください。
なお小説内に登場する企業・組織・団体は架空のもので、実在する企業・組織・団体とは無関係です。

Phantasy Star Universe Concert 本編06話pso-novel

「Empty cicada-shadow of Confrontation(空蝉ノ影-対立-)」
  繰り返される終焉(おわり)の無い綻びは、小さな傷さえ癒す事はなく…
遥か遠い記憶の果てに失われたはずの友の面影に見るは、目覚めなき永遠の夢。
終わりなき戦いの果てに、幾度となく剣を交えれば望む明日は訪れるのか?

かつての記憶…惑星ラグオル・ガルバタル島…地下プラント

 「エリさん…」
 亜麻色の髪を下げ少女は、自らの胸を押さえ忘れがたき過去を思いだす。
惑星ラグオルでの出来事…その胸に、今だうっすらと残る傷跡…
 D因子による破壊衝動…自分が自分で無くなっていく心に染み込んでくる闇の意思…
心が…体が…壊れしだいにしだいに変貌していく恐怖。
 ヒトである事から、全てを失い魔物へと変わる最後の瞬間、胸を貫くは一つの閃光。
友を、家族を、自らの大切な人を切り裂き殺そうとする、まさにその刹那の一撃。
真の絶望により、心が完全に砕けちる寸前の一撃だった。
 最後はヒトのままで死ねた…。体は救えなかったが、心は救えた最後の一撃。
自らも死に掛けながらも、泣きながら悲しみに耐えながら絶望に震えながらの一閃。
 「のえちゃん…ごめん…ごめん…。私は…私は君を救えなかった…私は無力だ…。」
心臓を完全に破壊し前のめりに倒れるノエルを、絶望に震える手で支えるエリス。
 「ううん…えりさん…。あなたは…あなたは、最後に…心を救ってくれた…。」
そっと血に塗れた手をエリスの頬にあて、最後の微笑みを浮かべ命が尽きた。


惑星ニューデイズ・ミズラギ保護区…

 「…エル…ぶか?」
 「ノエル!?大丈夫か?」
 レミ=デュナミスの呼び声に、ハッと現実に戻されるノエル=ノヴァリース。
 「…あの時の事を思い出したか?」
少女ノエルの憂いを秘めた瞳は、しだいに決意の光を湛えた瞳へと変わる。
 「うん…。もう…大丈夫。」
 「そうか…ならいい。」
 「だね!・w・」
彼女らに宿る、揺らぐ事なき決意の光に輝く瞳は何を奥底に隠すのか…?


惑星ニューデイズ・ミズラギ保護区、謎の結界区域…

 「ぐはっ!?」
 突然名前を呼ばれた方向に気をとられた瞬間に、オルアカが突進しエリスが吹き飛ばされる。
ゴロゴロと大地を転がり、さらにオルアカの追撃が迫る瞬間…
 「こ…のっ!」
近くに落ちていた木の枝をひっつかみ、炎のフォトンエネルギーで包みこんだ突きを放つ。
するとどうだろう!周辺のフォトンエネルギーが急速に集まり爆発となる。
ドオオオオオン!!という鼓膜をやぶる程の爆発音は突風を巻き起こし周囲を荒れ狂う。
 「へ…!?」
予想以上の自体に思わず口を開け、ポカーンとした顔を浮かべるエリス。
突風は原生生物はおろか、花や芽を開花させるSEEDのバリアを剥がし枯れさせていた。
 「さすがエリス。すさまじい屁の威力だな…」
 なんでやねん!とリフルの頭を小突くエリスだったが、突然の激痛に呻く。
オルアカの突進を喰らったせいなのか左腕が折れていた。
 「さすが私の石頭。エリスの腕を折ってしまうとは…。」
さすがに今度は、ツッコミを蹴りで行うエリスであった。
 「今のツッコミはさすがに痛すぎるぞ?140億個ある400PHz(400ペタヘルツ)CPUが
  傷ついたらどうすんだ!?(140億個=大脳の神経細胞数とほぼ同数)」
リフルが涙目になりながら、抗議する。
 「CPUとOS<ABYSS>はレリクス産なんだぞ!?☆15の激レアなんだぞ!?」
ジトーと恨めしそうな目でエリス見つめるリフル。
 「ボディーは中古だけど、頑丈なヤツだからだいじょぶだってww」
ハッハッハと笑いとばすエリス。
そしてブツブツと文句を言うリフルに、エリスがそっと耳打ちをする。
 「リフル…全員を一発で回復させれる?」
 そういいながら、エリスが視線を向ける先は…
恐怖に逃げ惑う教団の警衛兵と異なり、明らかに違う空気を身に纏う三人を注意深く見る。
 (彼女らが、無線の警衛兵が言っていたテロリスト…?)
ギリッと奥歯をかみ締め、エリスは感覚を研ぎ澄ます。
 (原生生物のレベルと明らかに違いすぎるフォトンエネルギーを内部に秘めている…)
背中のナノトランサーから、握り拳程の黒い固形物を取り出し飲み込むリフル。
 「もぐもぐ…エリスこの能力使うあと4回しかつかえんぞ。」
 リフルが飲み込んだものはナノマシンの集合体。
自身の能力以上のアプリケーションも内臓されているリフルは、ナノマシンを使用する事で
使用可能になるアプリの1つである。
  リフルのOS<ABYSS>が精神感応するナノマシンを操る。
このナノマシンは、ある程度は分子構成を変える事ができ場合によっては麻酔薬や
生体賦活剤としての役目も果たす。
 テクニックに当てはめると「ギ・レスタLV80」と同等の性能を持っている。
 <アプリケーション…「ルシファー」(光を帯びたもの)発動…>
 リフルの両肩・肩甲骨・スカート・肘・膝の装甲パーツが開き、光を帯びた翼が生える。
六対12枚の光の翼を生やしたリフルは、一度羽ばたき光を解き放つ。
光の粒子と見えたのはナノマシンである。体内に侵入したナノマシンはギ・レスタ同様
負傷者の傷口に触れると瞬時に消毒・傷を塞ぎ、一定時間自動回復状態にする。
 (よし…動く…。)
 エリスの折れていたた左腕も瞬く間に修復し、健全な状態になる。
左手を握ってはあけ、左肩をグルグルと動かし自由な状態を確認し終えた時騒ぎだす声に
視線を向ける。
 「ふははは!そこの小娘達礼を言うぞ。この場におれば原生生物も襲ってこんわ
  テロリスト共も、原生生物も纏めて倒してくれるわい!!」
先ほどまで慌てふためいていた警衛兵が、突然自信満々な態度を取り出す。
 「………」
 注意深く見守りつつ、エリス達は警衛兵・レミ達とは若干距離をとる。
 「mei、ここに何かあるの?」
肘でmeiをツンツンと叩き、小声で聞く。
 「あれ?エリスは、ここがどういう所か知らないんだっけ?」
コクッとうなづくエリスに、目をキラリと光らせるmei
 「ねぇ〜?meiどういう事?」
 「マリア、『聖地星霊集束地結界域読本』の234ページ覚えてる?」

 『聖地星霊集束地結界域読本』…グラール教団の信仰の対象である星霊(フォトン)が極端に
集まる地点が、グラール太陽系には極少数だが存在する。(大概聖地や危険地域と知られる
 フォトン濃度が異常に濃いため、通常のヒトはその地域に入るのを無意識的に嫌がる。
 神社や仏閣などに流れる一種独特な神聖不可侵な空気に似ている場所もあれば、
あまりにフォトン濃度が濃すぎるため、訪れた者に状態異常を引き起こす場所も存在する。
 (この症状は、フォトン酔いとして知られ症状の軽い者は酔っ払った様になったりする。
  重度の症状は、目眩、動悸、頭痛、吐き気、手足のしびれ、意識不明など命に関わる場合も
  あるため非常に危険な地域は、『立ち入り禁止区域』に指定される。)


 「え…?じゃあ、ここがそうなの?」
 「うん…」
 話している間に、カッと光りが前方で起こり、巨大な火の柱が立ち上がる。
 「見ろ!フォトンが急速に集まるおかげで、原生生物どもも一撃だ!!」
 警衛兵の唱えるフォイエが、巨大な爆発となり原生生物達を一掃し始める。
余裕が出てきたのか、フォトン酔いが始まったのか警衛兵が狂喜乱舞しながらテクを放つ。
 「余裕だ!ざまぁみろ原生生物共め!!仲間の仇をとってやる!!!」
 「ふははは!!やってやる!やってやるぞー!!」
 警衛兵達は理性を失い始めたのか。その目は血走り、捕らえた原生生物を虐殺し始める。
それを面白くなさそうに見つめるは、エリス達とレミ達。
少し離れた所からエリス達は、テロリストと思わしき3人が行動を始めるのを確認した。
 (戦闘音がひどくて声が聞こえない…何をする気?)
 少しずつエリス達も動き、距離を詰め動きだす。


惑星ニューデイズ・ミズラギ保護区、結界区域外…

 「…ノエル、フィル。」
 ん?と2人が蒼髪長身のレミ=デュナミスを見上げる。
 「ここだ。SEEDを滅ぶすための必要なヒントは、ここにある!まずは周辺サンプルを採取して
  フォトン結晶を発見をしろ。」
コクッと頷き3人が動き始めた時、制止する様に警衛兵上官の怒声が響く。
 「待て!待て!待てえええええいい!!」
ドン!と手持ちの槍を大地に突き立てさらに声のトーンを上げる。
 「貴様ら、この場所が目当てだったのか?ここが『聖地星霊集束地結界域』と知って言って
  いるのか!?」
 「…知らない(・・」
 「知らないね・w・」
ノエルとフィルの言いに地団駄を踏み、さらに怒りを強める警衛兵上官。
 「いいか!?よく聞けーい!!『聖地星霊集束地結界域』というのはな…あべしっ!」
レミ=デュナミスの放ったゾンテが、上官に当たり倒れた。
 「聞く必要ないな…」
上官を倒したレミに向かって、他の警衛兵らが怒りを顕わに襲い掛かる。
 「フン…上官の仇を討つためにかかってくるか?」
片手で軽くあしらうレミ達。
 「ぬぅ…貴様ら…。」
倒れふしたまま警衛兵上官がうめく。
 「ノエル、フィル。早くしろ!」
一撃で警衛兵を3人纏めて吹き飛ばしていたフィルとノエルが頷く。
 「フォトン結晶は、集めれるだけ全種類・w・?」
 「ああ。」
その言葉に反応した警衛兵上官が立ち上がり、叫ぶ。
 「読めた!貴様らの考えがよめたぞ!!」
あ?と胡乱げな目でにらみつけるレミ。
 「貴様らテロリストの考えがなー!ふはーははははははははははははははははは!!
  世界を救うだと?笑わせるな!貴様らの考えなど、まるっとお見通しだ!」
 「ほぉ?」
 目を輝かせ、上官が饒舌に喋りだす。
 「貴様らはSEEDの襲来によって引き起こされた、太陽系全体の破滅大災害を利用する!
  それによってグラール教団及び、GRM・モトゥブ通商連合、ガーディアンズ、同盟軍総てが
  事態の究明・打開に向けて動き出す中…SEED被害に怯える人々のストレスがピークに達し
  暴動・治安悪化、逃げ惑う者それらの影響によって治安悪化…
  無論、それは各惑星組織にも広がり、事態は急速に悪化していく!」
息をあらげながら、上官がレミ達を睨みつけながらさらに続ける。
 「貴様らはそれを逆手にとり、自らが先陣を切りSEEDを破壊消滅させていく…
  そうやって人々の心を自らに集め、そして世界のあらゆる軍事・企業・医療すべてにパイプを
  作り…世界を救う偉業を成し最終的に、自らの理想の世界を作ろうとしているのだろう!?」
高笑いをしながら、警衛兵上官は確信した目で最後に声高々に告げる。
 「一見、世界の危機を救う英雄の様だが!それが罠なのだよ!SEEDは…SEEDはな…!
  貴様らが呼び寄せたのだ!! 総ては貴様らがしくんだ罠なのだ!」
しらけた目で上官を見つめ、鼻で笑い飛ばすレミ。
 「フン…少ない情報からよくそんな妄想じみた事を言えるな?」
 「なにっ!?…ならば貴様ら何を考えているのだ!!」
 ザッザと歩き、『聖地星霊集束地結界域』に足を踏み入れるレミ達一行。
 「ならば、教えてやろう…。」
 全員に緊張の糸が走る。


惑星ニューデイズ・ミズラギ保護区、謎の結界区域…

 (あいつら…何を考えている?)
 エリスは目配りし、マリア・mei・リフルに武器を持ち用心する様に促す。
そして声が聞こえる様にかつ、適度な距離を保ちながら木の裏から言葉を聴く。
 「お前達も知っているだろう?この世界の現状を…この太陽系は今現在危機が迫っている!
  今こうして話している一分一秒という時間さえ惜しい程にSEEDの侵食は進んでいる。
  奴らの侵食速度は時間を置くたびに速く、範囲を急速に広げていっているのだ!」
事態を飲み込めているのかを確認するかの様に全員の目を見るレミ=デュナミス。
 「この世界は今まさに着々と滅びへの道を歩いている!太陽系のヒト総てが力を合わせ
  立ち向かわなければならない。だから、だからこそ我レミ=デュナミスは、率先してSEDD根絶
  の打開策を講じるため、どの組織よりも早く解決策を見つけようとしているのだ。」
警衛兵上官が、疑問の目でレミを睨みつけ抗議の声をあげる。
 「ええい!!太陽系全体が危険なのは、赤ん坊だろうと分かっておるわ!
  なぜだ?なぜ、どの組織より率先してお前が解き明かさねばならないのだ!?」
理解していると、その言葉に頷きレミは言葉を続ける。
 「警衛兵上官、君の言い分はもっともだ。組織に入ってやればそれだけ大きく解決できる。
  だが組織に入るという事は同時に、組織に縛られるという意味も持つ。それではいけない。
  それではいけないのだ…。太陽系全体に迫る危機だからこそヒトは手を取り合わねば!」
 (………)
レミ=デュナミスの言い分を聞くにつれ、警衛兵の目を気にせず自然と前へと出るエリス。
 (気になる。奴の顔を見てやる…)
本能が告げていた。今ここでアイツと顔を合わせておけと…。
 「おわ!?」
 「お、おい?押すなよ…」
 「うわ?なんでこんな所に一般人が…?」
 ザワザワと警衛兵が騒ぎだし、その騒ぎの中心から飛び出す1つの影。
その影の正体こそエリス・シンフォニアだった。
その姿に、一瞬懐かしい面影を見た様に、優しそうな悲しそうな表情を浮かべるレミ。
しかしそれは一瞬でしかなかった。口元に僅かな微笑を浮かべ再び元の真摯な顔に戻る。
 その少しの変化に気づいたのは傍にいたノエルとフィル、そしてエリスのみ。
 (……?)
 うろんげな瞳でレミを見つけるエリスを無視し、レミの演説は再び始まる。
 「人々がそれぞれの所属する組織で自らの使命を成し遂げ、世界の危機を救おうとしている。
  しかし組織とは複雑なモノでそれぞれの思惑もあり、太陽系を救うという一つの目標さえ
  成すには困難を極める。思考の対立、利害関係、組織の対立、ありとあらゆる思考が困難の
  壁を作り上げている。…だからこそ、だからこそ我は世界を纏めあげ理想の世界を作りあげる
  ため1300年もの長きに渡り、世界を導いてきたのだ!」
遥か遠き過去からの歴史を思い出すかの様な瞳を浮かべるレミ。
 (1300年…そんな長きに渡り生きていたヒトなどいないぞ?)
 エリスが疑わしい目でレミを見つめる中、リフルの声が辺りに響きわたる。
 「レミ=デュナミス…。1300年…。ビンゴだ!」
 「は?リフル、どういう事…?」
リフルが頷き、空気の層を操りプロジェクターの様にして空中に映像を移す。
  <アプリケーション…「マクスウェルの悪魔」発動。>
 分子運動を制御できるアプリケーションである「マクスウェルの悪魔」は様々な利便性を持つ。
空中にプロジェクターを創世したり、別のアプリと平行起動すれば擬似テクニックも発動可能。
 「趣味で過去にあった事例を調べていた時に、気になった事があったんでな。
  同盟軍、グラール教団、ローグスの機密ファイルまで調べた事があったんだよ…
  奴の存在を証明する資料が…これを見ろ!」
 空中に浮かび上がるのは、多数の古い写真、ファイル、歴史書など…(小説1話
 「これは…本当なのか…?」
 「え〜?」
 「ほー」
 「な…なんだってー!?」
 エリス達、警衛兵達それぞれから感嘆とも驚愕ともとれる声が上がる。
そして、自然に視線はレミ=デュナミスに集まる。
 全員の視線が十分に集まったのを確認し、レミは頷き静かに続ける。
 「 世間に公式発表されている大まかな情報は全て消したつもりだが、
  軍部や有力な組織とのパイプために残しておいたの機密ファイルまで盗み出してくるとはな…。
  まあいい、そこのキャストが言った通りだ。俺は1300年、グラール太陽系を見守り導いてきた。
  500年に渡る17回にも及ぶ大戦…あの頃から、いや1000年前からこの太陽系全てに対して
  迷っていた…。本当に、この太陽系は幸せな理想の世界に成れるのか…。」
深い思慮に沈み込むかの様に見えたレミであったが…
 「俺は、SEED襲来をキッカケに最後の決断をする事に決めた。」
ゴクッと全員が唾を飲み込み、次の言葉を待った。
 「導き手がなければ勝手気ままにする貴様ら、ヒューマン、ニューマン、ビースト、キャスト
  お前達を導いてやろう!我が世界の表に立ち太陽系全てを…理想の世界創造のために!」
レミの宣言に、その場にいる誰よりも早くエリスが声を荒げる。
 「お前は…お前はいったい何を!」
自らの宣言と共に、くすぶっていた火が一気に燃え上がる様にレミの瞳に宿る。
 「覚えるがいい!世界のありとあらゆる組織を壊滅させ世界を救済する者の名を…!!
  我が名は、レミ=デュナミス!!知るがいい。世界を統べるは我々『真聖イルミナス』と!」
 まるで空気が凍りついた様に静まりかえる世界…。
しかしそれを打ち破るが如く、激情の紅蓮の炎を纏し少女が一歩前に出て叫ぶ!
 「レミ=デュナミス!あなたは間違っている!!世界はやっと愚かな戦争を脱し歩み始めた。
  一人だしし始めた世界を見守る事ではなく、壊そうとするあなたは間違っている!!」
 感情に呼応するようにフォトンの炎が激しく渦巻き、エリスの瞳がレミを睨みつける。
自らの揺ぎ無き信念を持つレミの瞳は、エリスの瞳と真っ向からぶつかり合う。
 「理想の世界へ導こうとする俺が間違っていると…?ならばどうするというのだ?
  話し合いで辞めさせるなど、甘ちょろい考えなど通用せんぞ。」
 スッとまるで光を失ったかのようにレミの瞳が冷酷な色を帯びた時…吹き荒れるは突風。
ゴォ…さながら台風の如き裂帛のレミの闘気が、周囲に突風と化し吹き荒れる。
木々をなぎ倒し、飛ばされる原生生物まで出てくる。
 「無論…お前を倒してでも、その野望はくい止める!!」
エリスが掲げる右腕に、急速にフォトンエネルギーが集まり始める。
 「マリア!リフル!mei!やるよ!!」
 「我ら警衛兵もお忘れなく!!」
エリス達4人と生き残りし警衛兵146人がレミの前に立ちはだかる。
 (今使える、奥義この一撃でし止める!)
手持ちのツインセイバーをナノトランサーにしまい、フォトンエネルギーを右拳に集中する。
 「桜華皇神流・拳技奥義・裂華(レッカ)!!」
 鋼拳奥義ボッカ・ズッパを遥かに上回る攻撃力・飛距離を得た奥義・裂華。
フォトンエネルギーを後方に噴射しながら放つ一撃は、さながら疾風のごとし。
その一撃は全てを貫き、全てを砕くかに見えた。
 攻撃が当たる瞬間、レミは左足を一歩踏み込むと同時に、エリスの右腕を手刀で叩き落とす。
ゴガァ!!という凄まじい破砕音と共に、地面が数mに渡って抉れる。
 「…ぺっぺぺ!」
口に入った土と砂を吐き出し、レミを抉れた穴から見上げる。
 「いかな必殺の一撃であろうと、あたらなけれ意味はない。」
 そういい捨て、視線を向かってくる警衛兵に向けるレミ。
 (あんにゃろ…!)
 エリスは、足にフォトンエネルギーを集め爆発させる事で数十mの驚異の跳躍力を見せる。
そのまま上空でくるりと回り、落下速度と回転速度を合わせた右足の空中踵落としを放つ。
 「大雑把な攻撃なども一緒だ。」
 スッと体を左に捻るだけで、エリスの攻撃がかわされる。
それとほぼ同時に左から警衛兵の鋭い槍の突きが、レミに向かって放たれる。
ギイイイン!と金属がぶつかる音がしたかと思うと、槍の穂先が空中を飛んでいった。
レミの手刀が槍を切り裂き、吹き飛ばしたのだった。
 「なっ…!?」
 驚く警衛兵に向かってレミの右拳が向かおうとした時、エリスの足払いが邪魔をする。
着地の衝撃をフォトンの逆噴射で和らげ、着地の態勢から放たれた左足払いだった。
半円を描いた足払いはそこで止まり、両腕の力だけで放たれるは炎のフォトンを纏いし右蹴り。
レミは警衛兵に向かっていた右拳で、エリスの蹴りを受け止めにかかるが…
 「吹っ飛びやがれ!桜華皇神流・蹴技 聖爆(セイバー)!」
エリスの咆哮と同時に、フォトンエネルギーが爆発し10mほど空中を飛ばされる。
 「今だ!」
フォルテクターである警衛兵30名とマリア、meiがそれぞれ得意とするテクニックを放つ。
 「「レミ!!」」
 ノエルとフィルが叫ぶ。
 「…クリムゾン・デスフィアー!」
全方位から放たれた全てのテクニックが、光り輝く赤き竜巻によって霧散し消滅する。
 「おいィ?何をしている、早く集めろ!」
 ハッと、レミに言われた事を思い出し結界区域奥深くに走り込むノエルとフィル。
 「リフル!アレをやるよ!」
 「おしきた!」
 リフルが投げつけたのは、雷属性のツインセイバー。
受け取るエリスの全身が、電気を放つかのごとく明滅し放電を開始する。
 <アプリケーション…「ドッペルゲンガー」発動。…対象者:エリス・シンフォニア>
 対象者の戦闘方法、知識、性格など必要な情報を集める事で発動可能なアプリケーション。
これによって極めて正確に、対象者の動きや思考をトレースできる。
エリスとリフルが、まるで合わせ鏡の様に同じ構えをとる。
 「「…いくぞ!」」
 目にも止まらぬ2つの疾風は、一瞬で10mの距離を0にすると同時に放つ斬撃。
右からのエリスの横なぎの一撃は首に、左からはリフルが胴を薙ごうと放たれる。
ヒトの反応速度を上回る攻撃を止める事は、物理的に不可能かと思われた。が…
当たらない。反応速度を上回る速度で放たれる疾風の連撃を避け続けるレミ。
 (これは…どういう事…?)
 まるで終わらない悪夢を見せ続けられるかのごとき現実。
 実に怖ろしい事であるが認めざるを得ない。彼女は、レミ=デュナミスはヒトを上回る速度で
避け続けている事実を、認めねばなるまい。
 「まだお前らは、フォトンを操るという事実を正確に理解していないという事だ。」
 焦るエリスの表情を読み取ったのか。心を読み取ったのか。一瞬の驚愕の隙をつきレミの
一撃でエリスとリフルが吹き飛ばされる。
 「「…っ痛!?」」
 <アプリケーション…「ドッペルゲンガー」強制終了。>
 殴られた左頬を押さえながら、エリスは今だ驚きの表情を隠せずにいた。
 (今のは…今までの動きは…体の各部からフォトンエネルギーをジェットエンジンの様に、
  噴射させる事で避ける事も攻撃も出来るなんて…!?)
 それは今までのエリスの戦い方と一線を画す、戦闘方法だった。
 (なるほど…面白い…そういう戦い方もあるのか…
  私も先ほどの戦闘で、わずかであるが無意識で出来てた…。なら、意識的に…)
 驚愕から、理想的な戦い方を自らの中で確立させていこうという矢先の出来事である。
現実に引き戻すかのごとくエリスの頭上が暗く曇る。
 (…!?)
 リフルの首をひっつかみ、両足のフォトンエネルギーを爆発させその場から一気に離れる。
 「げぇーほ、げほげほ!エリス?おま、殺す気…!?」
 リフルが咳こみ抗議の声が、空から降りかかる巨大な影によって阻まれる。
 それはあまりにも巨大であった。優に6mはあろうかという大きさに、その背丈の3倍はある
翼をもった巨人である。 その恐るべき巨人が降り立ったのだ。
 大地を振るわせる程の衝撃と、大気に激しく振るわせる咆哮。
 「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
 人の頭ほどもある巨大な瞳が、警衛兵をひと睨みし3mはあろうかという巨大な腕を振るう。
さながら暴風のごとき破壊力を秘めた一撃は、大地をえぐりつつ数十人纏めて吹き飛ばす。
 「う…うわー!!」
 「ちくしょう!ちくしょう!!とんだ貧乏くじだぜ!!」
 「助けてくれー!オンマゴウグが出るなんて…ヒィー!」
 警衛兵がパニックになるのも無理もない。彼ら警衛兵所かニューデイズ市民が恐れる生物。
ミズラギ保護区に存在する原生生物の中でも最強の名を欲しいままにする"ゴウグ属"の王
オンマゴウグであった。
  巨大な悪鬼を思わせる風貌、圧倒的破壊力と凶暴性を秘めた巨躯前にヒトは無力だった。
その腕が一振りされるたびに原生生物も警衛兵も、まるで紙クズのように吹き飛ばされる。
 警衛兵複数がその巨腕に捕まれ、オンマゴウグに食われた。
ボキボキ…メキメキ…ゴリゴリ…くちゃくちゃ…ブシュ…
肉を血が噛み砕かれすり潰される音と共に、食われた警衛兵の声が消えていく。
 「うあああああああああああああああああああ!?!?」
  一人の警衛兵が恐怖の前に自我を失い叫び、走り出す。
それが張り詰めた緊張感を破綻させるきっかけとなった。
 人々は、恐怖のあまり武器を投げ捨ててまで逃げ出そうとするまで現れる。
巣を潰された蟻が、四方八方に逃げ出そうとする中で、果敢に挑もうとする人影がいる。
 「うろたえるな!あなた達は、ニューデイズを守護する警衛兵だろう!」
 エリスが、声をだせる限り精一杯張り上げる。
 「今ここで逃げ出してどうする?今あなた達は逃げてはいけない!ここが逃げずに戦わねば
  ならない正念場だから…。武器をとって!勇気をもって戦わないと!」
 ザッと足を踏み込み、オンマゴウグに向かって進みでる。
 「あなた達が立ち上がらなければ誰が、家族を、恋人を、友を、守ってあげれるというの!」
エリスの説得が効いたのが、警衛兵達が勇気を取り戻し武器をとり戦う姿勢を見せる。
 「おお…」
 「そうだ…そうだ!」
 警衛兵が武器を掲げ、勇気を奮い起こそうと声をはりあげ、士気が上がる。
エリス達、警衛兵達とは違う目で周囲を見つめるは、レミ=デュナミス。
 「フン…。小娘の説得が無ければ戦えぬとは有象無象の集団か…。愚かな民衆は我が
  導いてやらなければな…。」
冷ややかな目で警衛兵を見つめていたレミが、エリスの横に立つ。
 「一時休戦だ。オンマゴウグも原生生物もまとめて一掃するぞ。」
そのレミの提案に、一番驚いたのはエリスであった。
 「どうした?大事なモノを護るのため戦うのであろう?」
 「うん!」
 レミの言葉に、最上の笑みで答えるエリスであった。
 (ああ…。こいつは本当にエリスに似ているな。惑星ラグオルで共に戦ったかつての友に…)
 レミも微笑で答え、絶対的敵対者SEEDとの全面戦争のキップは切られたのだった。
 「レミ!見つけたよ・w・」
 「この奥1km先に、巨大なフォトン結晶体!(・・」
 フィルとノエルの報告に、ニヤリと笑うレミ。
 「全員、助かりたければ俺の言うとおりに動け! 目標は、巨大フォトン結晶。 
  そこまでいけば先ほどいったSEEDを殲滅するための方法を見せよう。
  さあ、選らべ!我らを信じずここで無駄死にするか。信じて、助かるための道を選ぶか!」
 選択など最初からなかった。全員は、信じる道を選んだのだった。
天をつんざく程の全員の怒声と共に、進軍が始まる…


18時間が経過…

 むせ返る程の血の海の中、戦い続けていた。
死屍累々…数万の原生生物の死骸と見た目すら分からなくなった警衛兵の死体。
 戦闘は凄惨を極め、地表を削り抉られ元あった風景の欠片すらなかった。
地獄のごとく、見えている地表はすでになく死体の上にさらに死体を積み上げる様である。
 「ぜぇぜぇぜぇ…生きている?」
 息をあらげながら喋るはエリス。立っているのはヒトなのか原生生物か分からない程である。
立つ姿は、血を血で洗うかのごとくべっとりと血まみれで見分けがつかない。
 「な…なんとか〜?」
 「う…うん。」
 「ああ。」
 口数少なく答える声にホッと安心する。
 (マリアちゃんと、meiとリフルは生きている…。)
 「ほう、生きているか。経験が生きたな。」
 「だいじょーぶ・w・」
 「血まみれで気持ち悪い(;;」
 まだまだ余裕の口調で喋るのは、レミ、フィル、ノエルであった。
 (…まだ余裕あるのか。他は…?)
 息を切らせながらも、レミ達以外のヒトの姿を探すが…
周辺にまだ残るシルエットは、どうみても原生生物だけだった。
 「警衛兵連中は、全滅か…。」
スッと前方を指差すレミ=デュナミス。
 「あと200mだ。行けるな?」
 「ああ!」
 生き残りしは、エリス達とレミ達の僅か7人。
全員が一丸となって突き進む。
あと数十mと迫りし最後の壁は、オンマゴウグと2000匹の原生生物。
それはさながら槍のごとく、迫りくる原生生物を一刀の元に倒し先を急ぐ。
オンマゴウグは羽ばたき、空中から雷撃を唱え始める。
 「それやっちゃだめ〜!」
 マリアが詠唱に入ると、変化が起こる。
フォトンが杖の球形部分に集まらず、歪な形で法撃魔法陣が形成される。
 「あ…」
 マリアがテクニック詠唱を失敗したのだ。通常であれば、そこで詠唱が中断され発動しない。
だがしかし、マリアの場合は違うのだった。
発動せず霧散するはずフォトンエネルギーが集まり続け、暴発する。
 「うげっ…」
エリスが、リフルが、meiが暴発による爆発に巻き込まれ空中高く放りあげられる。
 <アプリケーション…「アインシュタイン」発動。>
 エリスとmeiを両手でつかみ、空中で制止するリフル。
 「おま…おも…」
 「リフルいいから、オンマの羽部分におろして!」
ほいさ!といいながら、エリスとmeiを羽に向けて放りなげる。
 「おいィ?オンマゴウグはお前達には、荷が重すぎるんじゃないのか?」
レミがエリス達に走りながら声をかける。
 「だいじょーぶ!足止めぐらいなら余裕!」
 エリスがソードを高く振り上げ叫ぶ。
 「ノエル、フィル。エリス達が致命的な致命傷を受ける前にやるぞ!」
 「りょーかい(・・」
 「うん・w・」


惑星ニューデイズ・ミズラギ保護区、謎の結界区域中心部…

 「おいィ?あんまりにもでかすぎるんだが?」
 レミ達は、その巨大な岩とさえ覚えるフォトン結晶を見上げる。
 「フィル、ノエル、武器を出せ。SEEDを消滅させる武器を完成させるぞ!」
フィルと槍やセイバー、ノエルの鞭や杖を元にガチャガチャと分解し始める。
それに先ほどの巨大フォトン結晶を合わせて、銃のような外見のものが出来る。
 「よし、出来たぞ!名づけてフォトン・イレイザーだ。」
 結界区域に侵食してきたSEEDの芽に向かってフォトン・イレイザーの光を当てると芽を覆って
いたバリアが消滅し枯れ始めた。
 「これで、SEEDを枯れさせて根っこから潰していくんだね・w・?」
 フィルが、確認のために聞く。
それと同時に巻き起こる地震。
 「どうだ!!」
 エリス達がオンマゴウグの羽を両翼破り、地面に叩き落したのだった。
 「受け取れ。フォトンイレイザーだ!これでSEEDを消せるぞ!」
投げ渡されたフォトンイレイザーを見つめるエリス。
 (レミ=デュナミスとかいう奴…。短時間で、こんな物が作れるなんてただものじゃない…。)
 レミ達を、心の中で要注意人物として認識を改める。
 「さあ、やるぞ!」
 レミの声と同時に、倒れふしていたオンマゴウグが立ち上げり左肩にのっていたエリスが体勢を崩す。
肩にのったハエを振り払うかのように、伸び行くオンマの右腕。
背中に転がり落ちる様に、エリスは動きその攻撃を避ける。
地面につくと同時に、エリスの全身が燃えあがり横薙ぎの一閃がオンマに向かって閃く。
 「桜華皇神流…大剣技が一つ…『破旋衝(ハセンショウ)』!」
 紅蓮の炎と衝撃波がオンマゴウグの両足を切断し咆哮と共に、地響きを立てて倒れ付す。
さらに追撃の手が、オンマの前に立ちふさがる。
 「終わりだ…」
 冷酷な笑みを浮かべるレミを叩き潰す様に上空からオンマの右腕が迫る。
 「…クリムゾン・フィアー(真紅なる恐怖)!」
 トン…とまるで触れるかのごとく差し出されたレミの左手と、右腕が触れ合った時破裂音が響く。
パアン!とまるで風船が割れるかのごとくオンマゴウグの腕が、破裂し空中に浮かび上がる。
空中で回転し血の雨を周囲に撒き散らす中、レミはわずかに微笑するのみだ。
 「グゴオオオオオオオオ!」
オンマゴウグの咆哮があげると、羽が再生され空中に逃げ出そうとする。
 「「終わりだ!」」
 エリスとレミが同時に叫び、繰り出す両者の一撃。
エリスは「桜華皇神流・拳舞奥義・裂華」を…
レミは「クリムゾン・フィアー」を放つ事で、オンマゴウグが消滅した。
 全員が、息を整えている間に周辺の空気が一変してきた。
今まで降っていた雪では雨になっていた。
サアア…と今までの血で流れた体を洗い流すかの様に雨はおだやかに流れる。
正常な状態にもどった『聖地星霊集束地結界域』に降る雨は、癒しの雨とかなったのだ。


30分後…

 「周辺SEEDは、消滅させたよ(・・」
 「こっちもOK・w・」
タタッと周辺を見回っていたノエルが、レミに駆け寄ってくる。
 「ああ。ありがとうノエル、フィル。」
一仕事終えた様に、ゴキゴキと肩をならしエリス達に視線を向ける。
 「フッ…」
 (寝顔まで、同じか…)
 その姿に、今は亡き昔の友の面影を見るように微笑を浮かべるレミ。
雨を避けるように木陰で、穏やかな顔で疲れからかいつの間に眠りについていた。
 「この子達をどうするの・w・?」
 「いくらなんでも殺したりしないよね(・・;」
 フィル、ノエルがそれぞれレミに質問をぶつける。
ポウ…とレミの右腕にフォトンエネルギーが集まる。
 「フン…殺しはしないさ。少し記憶を消去させるだけだ。」
 レミの答えにほっとするノエルとフィル。
 (抹殺すればこの後の支障はないが…ノエルに過去を思い起こさせるわけにはいかんしな…。
  俺達に不利な情報だけ消しておけば、『真聖イルミナス』の活動に差し支えはなかろう。)
 エリス達に向かってその右腕を向け、光を放つ。
 「これでいい…。今後の動向だが、ノエルは引き続き、調査部でガーディアンズ内部調査。
フィルは、モトゥブでローグスで仲間を集めてくれ。他に、質問は?」
フィルが手をあげ質問する。
 「レミは、これからどうするの・w・?」
 うむ、と頷きレミは答える。
 「俺は、プロヴォアシティ跡地とレリクス調査。それと、ガーディアンズ装備開発課所属の
サクラに今後の指示を出さないとな。」
 「サクラとのコンタクトは、あたしの出番ね(・・」
 「ああ、まかせた。」
 頷く2人に満足したレミ達一向は、そのまま姿をくらまし暗躍する事だろう。
彼女ら『真聖イルミナス』が、表舞台に立つのはもうしばらく後になる。

それから、さらに数時間が経過…

 SEED襲撃から数えるとすでに1日以上が経過していた。
 「なにこれ…」
 むせ返るような血の臭いに、顔をしかめる少女。
彼女が高台から見下ろすは、血の海と死体の山が築かれた地獄のような一帯…。
ガーディアンズに所属する少女、フィー・イェルハルトが吐き気を押さえ周囲を見回す。
 (SEEDが枯れ果てているし何なの…?)
この奥から伝わってくる救難信号を元に、血の海の中を死体をかきわけつつ進む。
 (…それにしても、生きているのかしらね?)
 状況から考えれば生きている可能性は万に1つもないだろう。
 だからといって、救いを求めるものを見捨てておくわけにはいかない。
彼女フィーは、困っているヒトを放っておく事ができない善良なニューマンであった。
 それゆえに、本来ならばニューデイズでは名の知れた有名企業である財団を取り纏める
名門イェルハルト家の令嬢でありながらガーディアンズに入隊したのである。
どれほど歩いたであろうか。いいかげん疲れを感じつつあったフィーであるが…
 「…ここは、『聖地星霊集束地結界域』…?」
 足を踏み入れた途端に、降りしきる雨がフィーの疲れた体を癒し始めた。
救難信号音が一段と高くなり、対象に近づいた事を告げている。
さらに奥に突き進むと、巨大なオンマゴウグの死体が数多くみられた。
 (………ひどい。)
戦闘の凄まじさを表す様に惨たらしい警衛兵達の死体に、心の中で黙祷をささげ先を急ぐ。
 「いた!」
 救難信号は足元に落ちていた機械がなっていた。
おそらくレミ達が、残していってくれた物だろうがフィーもエリス達も知る由もない。
 (でも、生きてるのかしらね?)
 そう思うのも無理はない。エリス達の体は血にまみれ自身の血なのか返り血なのか見分けが
つかないほどであったし、衣服もボロボロであった。
スッと首筋に手を当て、脈拍と息をしているのを確認する。
 (ここから一番近い病院は、イェルハルト総合病院ね。)
 イェルハルト財閥所属の総合病院。ここはガーディアンズが運営する総合病院より設備が
整っており住民からの信頼も厚い。
すぐさま、ナノトランサーから特殊使用の衛星通信できる携帯電話で執事にかける。
 「じい?今すぐ救急用PPTシャトルの用意を。場所はGPSでわかるわね?」
 「お、お嬢様!?今いったいどちらに?お父様も心配しておられま…ブッ…ツーツー」
 執事の小言を無視して、携帯を切る。
ゴソゴソと身元の証明となる物を失礼を承知で確認する。
 「…あった、あった。えーと…ちょwww」
フィーは驚きを顕わにする。保護した少女こそ、探していた少女エリス=シンフォニアだった。
 「それに、あとのキャスト以外の2人は、マリアとmeiよね…。」
 富豪層同士というのは、横のつながりも大事にする。
グラール教団の令嬢であるmeiとマリアとも、過去の披露宴であった事があるので覚えていた。
 「さてと…これから先、忙しくなりそうね…。」
 エリス達の足元に落ちていた謎の銃器。
とっさに、地面から生えてきたSEEDの種子にむかって放つと枯れた事実。
銃の謎もさる事も、ソロル達の身柄について事実証明など数多くの問題が控えている。
それを考えると頭が重くなるフィーであった。
 「むにゃむにゃ…ちんじゃおろーす?ぱーくぱくー♪むにゃみゃ…」
 フィーの心配をよそに幸せそうに寝言を言うエリスを、恨めしく思うのだった。
 かくして、エリス達、レミ達、フィー、ソロル各者が僅かの時間の間にめぐり合う。
これから運命の歯車の紡ぐ糸は、どのような運命の版図を描くまだ誰にも分からないのだ。
終わりなき戦いの果てに、幾度となく剣を交えれば望む明日は訪れるのであろうか…?
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