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Bland New Tea☆Time♪

Bland New Tea☆Time♪

このページは、管理人が書いたPSU小説となります。
(HP小説の無断転載を禁じます。)
PSU(Phantasy Star Universeの略称)は、SEGAの登録商標です。
作品の著作権は、作者にあります。
なお小説の内容は、ゲームの攻略等を示す物ではありません。
小説はオリジナル要素を、多分に含みます。ご了承の上お読みください。
ご理解頂けない場合は、ブラウザバックでお戻りください。
なお小説内に登場する企業・組織・団体は架空のもので、実在する企業・組織・団体とは無関係です。

Phantasy Star Universe Concert 本編10話pso-novel

「Battle of purge section(粛清課の戦い)」
ガーディアンズコロニー・クライズシティ4F・宇宙船発着所…

 フィー達がスヴァルタスを迎え撃とうと身構え、戦いの前の静寂が辺りを飲み込む。
限界まで引き絞られた弓が、軋みほんのわずかな出来事で放たれるかのごとく緊張感だけが膨らむ。
一秒が一分に、飲み込むツバの音さえ周りに大きく木霊してしまうかのごとき極限にまで張り詰めた
緊張を破るものは、常に突然やってくる。
 「ウフフ…フふフ…ふハハは…うふフ…」
 音程のずれた笑い声をあげながら、ゆるゆると体を揺らしながら立ち上がる姿は幽鬼を思わせた。
絢爛と輝くその瞳は、焦点が定まらないのか激しくギョロギョロと動き凄惨な笑みを浮かべている。
 それは、普段の被検体1096ソロルとは似ても似つかない姿をした別の生命体を思わせ見る者の視線
を決して離そうとさせない絶対的なまでの狂気を周囲に振りまくのであった。
 「…うそ。」
 「…な。」
 もっともよくソロルを知るフィーとアルには、心を大きく揺さぶる程の衝撃だったのだろう。
次の言葉を繋げれず、ただ呆然とソロルを見つめていた。
そしてそれは他のガーディアンズも同様であり、一同の視線がソロルに集まる。
 おお!もし、この中にソロルに注目せずフラーテルと双子のソロリスを見つめる者がほんの少しでもいたならば
同じくその視線をはずす事が出来なかったであろう。
それはソロルと同様、狂気に満ちた笑みを浮かべていたのであるから。
 「…さア、楽園に帰りマしょ? フィーお姉サま。」
 先ほど同様音程のずれた笑い声をあげながら、ソロルは右腕を振り上げるとフォトンで作られた複雑な
魔法陣が形成されしだいにそれは、一つの形状になっていく。
それは月光の雫が一つに固まったかのごとく、銀色に煌く一振りの刃と化していた。
 『OS<Ark>起動…プロテクト解除コード<十戒>入力…「第一コード:主が唯一の神であること」…成功。
  LV1プロテクト解除…アプリケーションの合成発動の許可。
  
<神の肉体>…知覚認識10倍…身体制御5倍に設定…処理待ち…
  <神の宝剣>を発動…合成開始…
 
<神の宝剣><神の肉体>を合成し<神の尖兵>を発動。』
 笑みを浮かべ笑いながら、ソロルは黒い弾丸と化しガーディアンズへ襲撃を開始する。
その瞬間を待っていたかのごとく、スヴァルタスも動きだし戦いは始まりを告げた。


 一気に間合いを詰めたソロルが、引きつった笑みを浮かべ<神の宝剣>を振り下ろす。
驚き戸惑うガーディアンズだったが防衛本能が働き、受け止める事に成功したかに見えたが…。
フォトン同士がブツカリあうバチッと一瞬の火花が上がったと思うと、無音の爆発が起こり周辺の人間ごと
吹き飛ばしていた。
 同じく空中に高く吹き飛ばされたソロルだったが、左手から横なぎに熱線をガーディアンズに向け発射し
負傷する者が続出し、戦線が崩れ混乱慌てふためく様の中にスヴァルタスが襲い掛かる。
 「うおお…!くるなくるんじゃねぇ!」
 「ちくしょう…足が動かな…助けてくれ…うわぁぁ!」
 「なんでこんな事に…くそくそくそ!死んでたまるかぁ!」
 混乱に混乱を極め、事態の収縮を迎える事なく瓦解するかに思われたガーディアンズであったが、
誰かの助け声よりも、怒声よりも大きく、一喝する声がなり響くと全ての人々はシーンと静まりかえった。
全員が一斉に振り向き視線を一点に集める声の主こそ、フィー・イェルハルトその人であった。
 「しっかりしなさい!私達が、コロニーを守らないで誰が守るっていうの?
  あなた達のその両肩には、大切な者を守るため…世界の平和が掛かっているんだからね。」
 「そ…そうだった。」
 「俺達がやらなきゃ、誰がやるっていうんだよ…。」
 「いくぜ…。やってやる!」
 全員の士気があがり、再び立ち上がるもの。泣きやみ決意をあらたにする者。
全ての思いが一つに集まり動く時、それは時代を動かす原動力を成りえる。
フィーはその姿を見て、ニッコリと微笑んだ後、フラーテル達を睨みつけるのだった。
 「総員、一時的に私が指揮をとります。文句はないわね?」
全員が頷き、士気を高めるべき叫び声をあげる。
 「アンチディメンションを持つ40名とハンター職は前面に集結。
  フォース職は、中距離より援護。ガンナー職は、遠距離より支援攻撃。
  計170名は、フラーテル達を撃破に専念。
  残る30名のうち20名は入口を死守、負傷者の搬送と、本部に連絡をとり救援要請。
  残り10名の3名はアンチディメイションを所持し、ソロルちゃんの捕縛に専念。
  鶴翼の陣形による第五種戦闘体制を維持し、決してコロニー内部に入れさせず、サクラの保護と
  ソロルちゃんの捕獲を成功させるのよ!」
 先ほどまでの混乱が嘘であるかのように、またたく間に陣形を整え戦闘態勢を整えるガーディアンズに
口笛を吹き、感嘆の表情を見せるフラーテルであった。
 「ふっ…小隊編成による個別任務を得意とするガーディアンズにしては、統率がとれていますね。」
 「あら?褒めても何もでないわよ。」
 「僕はサクラとソロルさえ貰えれば、ご褒美なんていりませんよ。」
 「だが断る!(キリッ」
 「ふふっ…なら、強引にでも貰っていきますよ。」
 「…出来るものならね。」
一瞬の沈黙のあと、フィーとフラーテルの叫びが同時にあがる!
 「「戦闘開始!」」
 うおおおおおお!という怒号と共に押し迫る両軍勢。
戦いの火蓋は、今まさに切って落とされたのだ。


 圧倒的スピードで増えるスヴァルタスの群れ…ガーディアンズの3倍の軍勢でもって駆逐しようと迫る
が、真に驚嘆すべきはフィーの的確な指示のなせる技か…ガーディアンズの連携力か。
三方向から迫りくるスヴァルタスにアンチディメンションで動けなくし、壁としてそれ以上の進行を阻止
した上で、その隙間を抜けしだいにフラーテルとの間合いをつめていく。
フラーテルが舌打ちし、自らも戦闘に参加しようとするがすでに時は遅し。
 「王手!これでどうかしら?」
 フラーテルを囲む様にハンター職が迫りくる。
<神の拒絶>の効果範囲外から、アンチディメイションとフォースとガンナーが攻撃の構えを取る。
 「わずか数分で、ここまでとはね…さすがです。」
  追い詰められたはずのフラーテルとソロリスの表情には、余裕の笑みが浮かんでいた。
怪訝な顔をしながら、フラーテルにセイバーで切りかかるアルベルト。
 「その笑みは一体…何を考えているのです?」
 「ふふっ…。いやぁ〜さすがですね。ガーディアンズの皆さん。
  どれほどの統率力と実力をもっているか試してみようと思ったけど、予想以上ですよ。
  さて、なぜ僕が余裕の笑みを浮かべているかと問うたね。考えてごらんよ。」
 そう言われ、周囲を見渡せば動けないスヴァルタス達。
そして中心にフラーテルを囲む形でガーディアンズが押し迫る。
 「まだ気づきませんか…?」
 現状において、不自然なまでのフラーテルの笑み。
そうまるで、罠にうまく呼び寄せてひっかかるのを待つ子供のような笑顔だった。
 「何をするつもりかしらないけど…先手必勝よ。一斉攻撃開始!」
 フィーの怒声と共に、ハンター達の間を縫うようにあらゆるてくニックと銃弾が一斉に放たれる。
フラーテルの表情がより一層邪悪に歪み、右腕を高々と振り上げる。
 『OS<Ark>起動…プロテクト解除コード<十戒>入力…「第ニコード:主が唯一の神であること」…成功。
  LV2プロテクト解除…単一アプリケーションの複製発動の許可。
 
<神の拒絶>の連鎖発動…過負荷率60%に上昇。』
 「遅い。半径120m、<神の完全なる拒絶>!!」
 ガーディアンズの攻撃が当たるよりも、先にフラーテルの指がパチンと鳴り響く。
 ドン…ドドド…ドドドドドドドドドドドドドドドドドガガガガガガガガガガ!!
それはまるで大地震の様に激しく鳴動し、大津波のように発着場のありとあらゆるパネルをタイルを
破壊し全てを飲み込んでいく。
 「きゃあああ!」
 「うわあああああああ!!」
 もっとも遠くにいて、全体を指揮していたフィーでさえ激しく吹き飛ばされ何度も何度もタイルの上に
たたきつけられボロ雑巾のようになりながら衝撃を抑えきれず転がり続ける。
ガッ…と何かにぶつかった所で、ようやくフィーが止まった。
 「う…グッ…」
 (激痛で体の感覚が…四肢は…ちゃんと付いてるわね…左腕は…こりゃ折れてるわ…。)
 そこでようやくフィーが目を開け、自分を見下ろす者と周囲の状況に愕然とさせられていた。
 発着場のパネルは完全に破壊され、下の階層も見えるほど完全に穴と化してていた。
そして、見上げれば返り血を浴びているのかホホを血に染めながら笑みを浮かべるソロルの姿。
どうやらフィーがぶつかったのは、ソロルの体だったようだ。
 「…ソロルちゃん?」
 フィーの呼びかけに、ソロルは口の両端を吊り上げ歯をむき出しにし目は剣呑と光り輝く。
さながら、獣のような鬼を思わせるゾッとするような笑みだ。
 「ウフふふフ…楽園に帰りまショ?フィーお姉さマ。」
 あいかわらず音程のずれた笑い声をあげながら、手の中にフォトンの刃が形成される。
 『OS<Ark>起動…アプリケーション<神の宝剣>を発動…過負荷率30%に上昇。』
 激痛で動けないでいるフィーの胸に向けて、無情なまでにソロルの刃が振り下ろされるのだった。


その20分前…イェルハルト家・訓練室…

 「ハアアアアアアアア!!」
 エリスの気合のこもった掛け声と共に、突き出した手を中心に周辺のフォトンが集まり始める。
それはしだいに突風のように激しさを増し、渦巻きエリスを中心に竜巻のごとく吹き荒れた。
 「きゃっ!?」
 「んぉ?」
 「にゃ〜!?」
 「んぅ〜」
 立っていられない程の突風の中で、転びそうになるマリアをリフルが支える。
そして横を見れば、神条摩樹奈(かみじょうまきな)とエリス嬢が転がっていった。
 「ちょ!?おま…エリス、ストップストップ!」
 リフルが慌てて大声で、エリスに制止を呼びかけるが聞こえないのかより一層激しく轟き、訓練室を
ギシギシと軋ませ悲鳴をあげさせていた。
 「リフル〜、エリを止めないと訓練室自体壊れそうだよ?」
 「ああ。そうだな…。」
 マリアを支えながら一歩を踏み出そうとした瞬間に、足をすべらせ転倒し転がっていった。
訓練室が限界を迎えるかと思われたその瞬間、突風は吹き止み周囲の変貌に全員が驚く。
先ほどまでの訓練室とは、うって変わって漆黒の空間が広がる…。
否、ただの漆黒の空間ではない。またたく星々の煌き。見慣れたグラール三惑星が広がっている。
 「え…?エリ〜なにしたの?」
 「いや…うちにもさっぱり…」
 「にゃ〜…フローリングの手ごたえを感じるから、訓練室から宇宙空間に移動したわけではなさそう
  ですにゃ!」
 「んぅ〜…じゃぁじゃぁ、祭典の時見せてくれた巫女と同じ、幻視ってこと?」
 「んだな。」
 遥か天空の彼方から見る神の視点のごとく、しだいに幻視は変化を見せる。
わずか数瞬の幻視であったが、全員の表情に険しさが増していく。
怒り、驚き、悲しみ、を全員に感じさせるには十分な内容だった。
 「これは…。」
 リフルがゴクリッと唾を飲み込み、幻視に驚き戸惑っていた。
5人全員が、戸惑いを現す中でいち早く立ち直る者がただ一人。
 「リフル、幻視の結果は保存しているよね?解析を急いで!」
 「まきにゃん!今からシャトルを出せる?」
 「はいにゃ!20分で移動できますにゃ!」
 「10分で!あと、幻視の結果が本当なら、シールド発生装置か攻撃手段のあるシャトルを!」
 「はいにゃー!」
 「えりちゃんは、ガーディアンズ本部に連絡を。クライズシティ4Fにある宇宙船発着所に
  本部にある防衛用マシナリーの配備と、SEED撃退用の戦闘用シャトルの配備を急ぐように言って!
  ああ…後、同盟軍にも言って20分以内に戦闘配備および出撃準備の要請も!」
 「んぅ〜…同盟軍に要請はしてみるけど、あんまり期待はしないでね?
  大規模なSEED対策に、三惑星全部に借り出されているし動かせる回せる人手が足りないかも。」
 パタパタと走っていく神条摩樹奈(かみじょうまきな)とエリス嬢であった。
奥歯をギリッとかみ締めながら、遥か天空の彼方コロニーのある位置を見やるエリス達。
 「フィーちゃん…無事でいて。」


同時刻…ガーディアンズコロニー・クライズシティ4F・宇宙船発着所…

 「ウフふふフ…楽園に帰りまショ?フィーお姉さマ。」
 音程のズレた笑い声をあげながら、被験体1096ソロルが激痛に苦しむフィーに向けて
フォトンの刃を振り下ろす。
 フィーは、カッと目を見開き最後の力を振り絞って体をねじり、フォトンの斬撃を避けてみせる。
発着場のタイルに刃が触れると、フィーとソロルを巻き込んで無音の爆発を起こした。
タイルはその衝撃で、粉々に砕け散り音速に近い速さで破片がフィーとソロルの体に突き刺さり
何度も何度も、その身を跳ねさせ転がすのだった。
 度重なるダメージの蓄積と、あまりの激痛に、視界がぼやけ意識を失いかけるフィーであった。
<神の宝剣>によるフォトンの刃を形成しゆっくりと近づくソロルを見つめることしか出来ずにいた。
 「アハはは…ウフフふふフ…はハハハ…」
 ソロルの脳から、限界を告げる警報アラームが鳴り響くがかまわずソロルは笑い続け、
フィーをじっと見つめた後、もっとも凄惨な笑みを浮かべ刃を振り上げた。
振り下ろされると同時に、鳴り響く銃声…ソロルは吹き飛ばされていた。


 ミニアが発射した銃弾が、ソロルの肩に当たりタイルの上を転がるように、二転三転し転がっていく。
 「わっ♪当たった当たった♪フィーちゃんに当たんなくてよかった〜><」
 ミニアが喜びながら、ぴょんぴょんと跳ねうっかり引き金を引いてしまい、ゲオルギウスの頬をかすめる
様に銃弾が飛び出してしまった。
 「わっわっ><」
 「ミニアくん、初めての狙撃命中で喜ぶのがいいが銃の安全装置はしっかりしときなさい。」
 「ふぁ、はぁ〜い」
ミニアの頭をポムっと優しく叩いた後、フィーの方を見て微笑みを浮かべるゲオルギウス。
 「やぁ、フィー君。」
 「…なによ…?」
 「人前で、ソロル君とイチャイチャするのはどうかと思うのだがねぇ?」
 「ちょwwちげえwww洗脳…されたのか…わかんないけど、ソロルちゃんに…襲われていたのよ!
  襲われるなら…ベットの上の方が…ハァハァ」
 「はっはっは。それだけ軽口を叩けるということは、まだ大丈夫だな。」
 ゲオルギウスがフィーをちゃかしていると、突如ミニアが驚きの声を上げ指を指し示す方向に
全員の視線が向いた。
 ゴロゴロ…とソロルが転がっていき、先ほど開いた大穴に吸い込まれる様に落ちていった。
  「わっわっ!?ソロルさんが、落ちちゃった!早く助け出さないと!」
 駆け出そうとするミニアを、ゲオルギウスが肩をつかみ静止させる。
えっ…?と振り返るミニアを無視しフィーに視線を向けたその表情には焦りの表情が見て取れた。
 「フィー!狙われているぞ!はやく動け!」
 まだ激痛の最中にあるフィーは、自身の下から断続的に聞こえる爆発音と笑い声を聞きながらも
動けずにいたのだった。
 「くっ…そ。」
 フィーに向かってくる爆発音が聞こえるのと、ゲオルギウスが駆け出すのはほぼ同時であった。
一歩踏み出すごとに加速し距離を一気に詰め、数瞬のうちにフィーを掴みあげるのと爆発が地表に達し
フィーとゲオルギウスが吹き飛ばされたかに見えた。
 「きゃぁ!?」
 最悪の事態を想定したのかミニアが悲鳴をあげて、顔を覆い泣きそうになっていた。
砂煙が巻き散らしながら、笑い声が聞こえてきた。
 「うフフ…フふフフふは…アハハははハ…」
 「フフ…クハハハハ…よくやったソロル。フィー達をまとめて殺ることが出来たよ。
  さあ、僕らの『楽園』を作るための第一歩を踏み出そう…
  フフフ…パルムの首都タルカスシティにコロニーを落とすんだ。
  現文明の終焉への『狼煙』を…僕らの『楽園』創造への祝砲と成さんがために!」
 「はイ…わカりマシた…お兄様。」
ソロルが祈りを捧げる様に、両手のひらを胸の前であわせると全身が光り輝き始める。
 『OS<Ark>起動…<十戒>LV2プロテクト解除…<神の崩御>の連鎖発動…過負荷率95%に上昇。
  
<神の完全なる崩御>…発動。』
 光り輝くソロルから、無数の光の腕が出現しウネウネとのたうち回りタイルに触れた箇所がまるで砂の
城が崩れおちるかのごとくサラサラと消えていった。
 「ハッハッハ!…ふはぁはははははははは!
  現文明にしがみつく者達は消え、ついに『楽園』の扉が開かれる!
  終わりだ…消え失せろガーディアンズ諸君!」
 両腕を広げ勝ち誇り、邪悪に両目と両頬を吊り上げ嘲笑をあげるフラーテル。
 ゴゴゴゴ…ガーディアンズコロニー全体が、微細に揺れ始める。
埃が舞いちり、少しずつ揺れ大きくなり各所で警報機が鳴り響くのが聞こえ始めるだった。


 「ふむ…君達をここで止めれば、何も終わらないと思うのだがね。」
 「ゼェゼェ…そう…よ…!あんた…達を…止めて、ソロル…ちゃんを元に戻す。」
 聞こえてきた声に、肩眉を上げ不愉快そうな表情を浮かべフラーテルがその方向に顔を向ける。
フィー達は、先ほどゲオルギスらが入ってきた入口近くまですでに戻っていたのだった。
 「…いつの間に、そこまで戻れたのか知らないのか判らないけど…
  ふふ…コロニー落下まで、残り10分。ソロリスも加われば、実質3分もないですよ?
  出来るとでも思うのですか?」
 「コルトバヌードル作れる時間はあるって事かね。
  ふむ、久々に粛清課全員でラーメンを食べるのもいいな。」
 「何を言っている…馬鹿にしているのですか?ゲオルギウス・シュナイゼル!」
 「そういうつもりはないのだがね。3分もあれば色々と出来る事はあるのだよ。」
 「フン…ならば、見せてもらおうか!」
 フラーテルが右腕を振り上げ、ゲオルギウスに向けて<神の拒絶>を放とうとした時ゲオルギスの姿が
瞬時に消えうせたと思った瞬間…銀の烈風が駆け抜ける。
それからわずかに数秒遅れて、フラーテルの首、右腕、腰から下がドサリと体から離れて落ちる。
 「な…?」
 フラーテルが技を放つよりも、ゲオルギウスが抜き放った一撃の方が遥かに早かったのだ。
そのまま追撃に移るかと思われた瞬間に、激しい爆発が引き起こされる。
 いつの間にか左右に分かれた被験体1097、1098ソロリスが、フラーテルごとまきこんだ
<神の裁き>
の熱線を放ったのだ。
  「「ゲオルギウス…よくも…よくも…お兄様を!!」」
 烈火の如く怒りに燃えた双子のソロリスが叫び、追撃を放とうとする手が止まる。
 爆発の衝撃で、もうもうと沸き立つ埃の中を駆け抜けるニつの疾風。
左の被験体1098ソロリスが、せまりくる物体に向けて再び『神の裁き』を放とうとしたが、驚き戸惑った。
向かってきたのは、ボロボロになった被験体1076フラーテルであったのだ。
 「なっ…!?」
 そのままの勢いで上半身だけになったフラーテルと激突し、ゴロゴロと転がっていく1098ソロリス。
その一方で、右に向かったゲオルギウスがヤシャの峰で1097ソロリスの後頭部を殴り気絶させた。
 「なっ…な…なんてこと…を…!ゲオルギウス!」
 「ハッハッハ、そんなに名前を連呼されると照れるじゃないかね。お嬢ちゃん?」
 ウインクをして余裕を見せ付けるゲオルギウスに、ギリッと奥歯をかみ締め睨み付ける1098ソロリス。
怒りに燃え立つ1098ソロリスは、両腕を高くつきあげ空中に球体上の巨大な星霊紋を発生させ
その内部に急速にフォトンエネルギーが凝縮していく。
 周辺を歪ませる程の強電解によって形成された球体の表面に浮かぶ星霊紋が、火花を散らしながら
時計の内部で複雑に噛み合う歯車さながらにグルグルと動き始めた。
 「ゲオルギウス…あなたがどんなに早く動けようと光速の99%に達する
  この『神の光臨』は避けられない…」
 「おいおい…君の姉妹がここで倒れているのに放つのかい?」
片手でひょいと、被験体1097ソロリスを掴んでブラブラとさせる。
 「くっ…」
 「怒りに任せて、大事な事を忘れて失ってしまうのは良くない事だと思うのだがね?
  そうだろ…フィーくん?」
 えっ…と振り返る1098ソロリスの首に、ゴキッと打ち込まれる手刀の一撃。
その一撃で気を失った1098ソロリスが、倒れ付すと同時に浮かんでいた星霊紋が霧散し消えうせた。
激情に周りを見渡せなくなった1098ソロリスの背後を突く形で、フィーが背後に回っていたのだ。
 「ええ…その通りよ。…ったく、人使いが荒いんだから。」
飲み干したトリメイトを捨て、フィーが骨折した左腕をかばいながら文句を言い始める。
 「君がトリメイト飲みながら、動いていたのが見えていたのでね。
  優秀な部下を持って私は幸せ者だな。」
 「ったく、そう思っているなら給料を上げなさいよ…」
 「君の有能な働きぷりは、しっかり報告してあるがねぇ。
  文句があるなら、もっと上の人間か人事・労務課にいってくれたまえ。」
 「もぉ〜…」
 顔をプクッと膨らませて、不満そうな表情を浮かべるフィーであったが…
突如足首を噛み付き睨みあげる被験体1076フラーテルに、その表情に緊張感を強めたのであった。
幽鬼さながらの憎しみと狂気に囚われた瞳で、フラーテルは音程のはずれた笑い声をあげる。
 「ふフ…フふア…フハハハあああアアアア…あふはははハハハハはは!!」
 「何がおかしいのよ…」
 『OS<Ark>起動…<十戒>LV2プロテクト解除により<神の呪縛>連鎖発動に成功…過負荷率80%に上昇。』
 「捕まえた!捕まえたぞ!!半径180m…<神の完全なる呪縛>!!」
 フラーテルの全身が青白く光輝くと、その発光体から細い無数の鎖が現れフィーを絡みとりタイルの
上に叩きつける。
だが、それだけに留まらず波のように無限に現れゲオルギウスはおろかミニアさえも飲み込んだ。
 「な…なにこれぇ、動けないよ〜…」
 ミニアがじたばたと動こうとしているが、巻きつく鎖の量が増えると完全に動けなくなった。
完全に勝ち誇った顔でフラーテルは笑い続ける。
 「これで粛清課は動けないどころか、ここに入ってこようとする人間さえ絡めとる<神の完全なる呪縛>
  の前に等しくひれ伏しガーディアンズコロニーが落ちる様を見るがいい!!
 ゲオルギウス…3分まであと40秒…持たなかったな…ククク…ははハハハ!!」
ゲオルギウスの悔しがる顔見たさに、鎖をたくみに動かし首だけになったフラーテルが向きを変えたが
そのゲオルギウスの表情に怪訝な顔を見せる。
 「なんだ…その笑みは…」
 「いや何、君たちの戦闘データを取りながら画策するのも中々面白いものだね。」
 「判っているのか?お前達は終わりなんだよ!粛清課も、ガーディアンズも!」
 「やれやれ…まだ何もわかってないのかね。
  SET!355m/s 45度2−5−10! 355m/s 25度11−43-14 355m/s 75度8-35-22…」
出たらめの様に、次々とゲオルギウスが襟首についた小型マイクに言い続ける。
 「何をいっている?何をしようとしているのだ!ゲオルギウス!」
 「まあまあ見てからのお楽しみといこうじゃないかね。…初弾命中後に、各自順にFIRE!」
 ゲオルギウスの叫びと共に、次々とフラーテルが空けた大穴から発射されるなぞの物体…。
バシッと壁に当たると球形の重力場を発生させる。
そこに、また別の物体があたると反射し別の地点に重力場を形成するのだった。
 「貴様!まさか…アンチディメイションを使って…」
 「ジャスト3分…チェックメイトだ。」
 そうゲオルギウスが出した指示は、入射角、反射角を綿密に計算されたアンチディメイションによる
ビリヤードだったのだ。
フラーテルとソロルが重力場に捕らえられると同時に、<神の完全なる崩御><神の完全なる呪縛>
効果が消えうせフラーテルは悔しそうな顔を浮かべ睨む。
 「クソ…全ては、計算づくってことか…」
 「ご名答…戦闘データは、もう十分とらせてもらったよ。
  あとは、『エンドラム機関』『イルミナス』について、じっくり取調べ室で聞かせてもらうよ。
  『王』とは誰だ?同盟軍の一組織であるエンドラム機関の誰かではあるまい。
  イルミナスのリーダーか?」


 しかし、その程度で諦めるフラーテルではない。
 「さすが…さすがだよ!恐るべきかな!フィー!ゲオルギウス!!
  わずか3分で、ここまで追い詰めるとは!!しかも、私の発言だけでそこまで想像できるとはな…
  だが…まだだ!まだおわらんよ!!」
 『WARNING!WARNING!WARNING!WARNING!過負荷率…100%…エラートラップを発動…
 深刻なエラーを後処理に回す事に成功…OS
<Ark>起動…プロテクト解除コード<十戒>入力…
 
「第三コード:主の名をみだりに唱えてはならない。」…成功。
 LV3プロテクト解除…オーバークロックによるアプリケーション合成数増加許可。
 
<神の箱舟>による「Ark研究所」の遠隔操作許可申請…成功…。
 
<神の導き>による時空間転送システムの起動に成功…。
 
<神の箱舟><神の導き>を合成し<神の遺産>を発動。
 LV3プロテクト解除により、LV2プロテクト内容の発動申請許可…成功。
 
<神の遺産>の連鎖発動…過負荷率100%に上昇。
 
<神の完全なる遺産>…発動。』
 「ははは…ハハハ…来い!」
 <神の完全なる遺産>により空中に描かれた巨大な星霊紋が浮かびあがり、
複数のゲートが誕生し、出てきた者達。
 それは、5人のフラーテルであった。
同じ顔、キャストボディを着込んでいながらわずかな違いを探すとすれば、そのキャストボディに
描かれた被検体1071から1075までの数字だけであろう。
 「さあ…第二幕の開始だ!」
 発動限界を迎え、頭痛がする様な苦痛な表情を浮かべながら笑う被験体1076フラーテル。
<神の拒絶>によりアンチディメイションを解除され、1075フラーテルが頭だけの1076フラーテルを
抱き抱える。
そして、4人のフラーテルが同じ動作をし始めたのだった。
 OS<Ark>起動…<十戒>LV3プロテクト解除…合成可能プログラム数を3まで許可。
  アプリケーション<神の肉体>…知覚認識10倍…身体制御5倍に設定…処理待ち。
  <神の眼>…3秒先までの確立予測演算開始…処理待ち。
  <神の宝剣>…フォトン刃の形成完了…合成開始…。
  <神の肉体>…<神の眼>…<神の宝剣>を合成し<神の操り人形>を発動。』

  フラーテルから吹き出るフォトンエネルギーが、両腕を広げた女神の姿になりその細長い手から
糸が伸び、フラーテルの全間接に巻きつき、吊るされた人形のような姿となる。
フラーテルがニヤリと笑い、女神が指を動かすと恐るべき速さで4人のフラーテルがフィー達に迫った。
フィーに1074フラーテルが立ちふさがり、ゲオルギルには1072と1073が襲い掛かる!


 「クッ…!」
 1064フラーテルの斬撃をよけざま、カウンターぎみにフィーのムチの一撃が胴を薙ぐべき放たれるが
加速するフラーテルの頬をかすっただけでしかなった。
さらなる追撃の手をやめず、<神の宝剣>がフィーの肩にむかって振り下ろされる!
だが、その一撃はミニアの放った銃弾が触れると同時に無音の爆発と共にフィー達を吹き飛ばした。
 「痛っ…ミニっち、助かったわ(=ω=)」
 「あは、えへへ♪」
 よろめきながら再び立ち上がるフィーが、1074フラーテルに視線を向けると他の一点に集中してるのが
目に入り、わずかにその向けている視線の先に見たモノに、ギリッと歯を食いしばり睨みつけた。
 「ははハ…フふフ…ふハハははは…」
 1071フラーテルが、サクラを取り押さえ笑い声を上げていたのだ。
そして次の瞬間、金色に輝くフラーテルの左手がサクラに触れるとまるで吸い込めるかの如く消える。
 『OS<Ark>起動…アプリケーション<神の導き>を発動。…対象:サクラの転送に成功。』
 「さア…ソロル…ソロリス…目を覚マせ。目的は、達した。
  ガーディアンズ・コロニーを叩き落すトきが来タのダ!」
 眼を血ばらせた1076フラーテルが、音程のずれた声で怒声を上げる。
 「1071から1075僕ノ元に集まレ…始めルぞ…!」
 フラーテルが集まり、複雑巨大な立体型星霊紋が、ガーディアンズ・コロニーの上空に形成され始めた。
ゴゴゴ…と、空間を振るわせるほどの濃密なフォトンが集束していきコロニー全体を揺さぶり人々の視線
をその立体型星霊紋にイヤでも集中させたのだった。
 「滅べ…そして新たナる再生の果てニあル楽園を今こソ作りたマえ…」
 フラーテルの呟きと共に、立体型星霊紋が割れ歪んだ空間が現れた。
それを見た者全てが、あの悪夢の祭典を一瞬にして思い出させたのだった。


 「だめ…お兄様…あの時と一緒の過ちは…もう繰り返しては…」
 ソロルの呟きが、流れ片手で頭を抱えながら、立ち上がる。
虚ろな瞳は、いまだ覚醒しておらず夢の中をさ迷っているかのようだった。
 「ソロルちゃん!?」
 「………」
 フィーの言葉にも、返事を返すことなくふらふらとただ上空を眺めていた。
しかしその視点は定まらず、ゆらゆらと動くのみであった。
 「まだ、意識が混濁してるのね…。」
 「…フィー…姉さん。お兄様を…止め…て…あげて……」
 それを面白くなさそうにフラーテルが見つめ、不愉快そうにコメカミをひくひくとさせていた。


 「あいたたた…やっと、あがってこれましたよ。あれ…?」
埃まみれになりながらも、下の階層に落とされていたアルベルト達が状況を飲み込めず口をポカーンと
上げていた。
 「ソロル…僕ノ悲願を邪魔するというなら…新しいソロルを作り上ゲて、楽園を目指すとしよう…。」
悲しみを湛えたフラーテルが、一斉に腕振り下ろすと歪んだ空間からSEEDが現れ降り始めた。
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