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Bland New Tea☆Time♪

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このページは、管理人が書いたPSU小説となります。
(HP小説の無断転載を禁じます。)
PSU(Phantasy Star Universeの略称)は、SEGAの登録商標です。
作品の著作権は、作者にあります。
なお小説の内容は、ゲームの攻略等を示す物ではありません。
小説はオリジナル要素を、多分に含みます。ご了承の上お読みください。
ご理解頂けない場合は、ブラウザバックでお戻りください。
なお小説内に登場する企業・組織・団体は架空のもので、実在する企業・組織・団体とは無関係です。

Phantasy Star Universe Concert 本編11話pso-novel

「Sadness of crazy(悲しみの果ての狂気)」
  「ソロルちゃん!?」
 フィーが、肩を掴み必死に呼びかけるのをどこか遠くから眺めているかのように
被検体1096ソロルは感じていた…。
 そして意識は、しだいに追憶の彼方へと遡っていく…。


1万2千年前…Ark研究所…

 だ…れ?誰なの…?私を呼ぶ声は…。 おもい…だせ…ない。
わたしの…知っているヒト…? 
知って…いる。そう、私は、知っている。 
お兄様…?ああ、お兄様…どうして…変わってしまったの…?
私も…お兄様も…SEEDに侵食されたから…?
ねえ…ねえ…どうして…どうして…なの?
あんなにも…あんなにも…愛し合っていたのに…。


 想いに没頭するあまり、自らの犯した過ちにも気づかない…。
兄の驚愕に満ちた顔が苦痛にゆがみ、崩れ行く姿と血塗られた両手を見て初めて己の行いを知った。
  「ああ…あああああ!!」
 幼き少女ソロルは自ら発する叫びにも気づかず、血を吐きながら倒れこむ自らの兄を見つめていた。
その姿を眺める暗く昏く漆黒の闇を湛えたかの様に濁った瞳は、ただ、ただ絶望と狂気と悲しみにのみ
満たされていたのだった。
 そしてソロルは、よろめき逃げ出すように後ずさりはじめた。
駆け上がってきた階段の存在さえも忘れているかの様に呆然として…その幼き体は転げ落ちていく。
その姿はまるで、後悔と自責の念に苛まれ心が地獄に堕ちていく様に見えた。
そこでソロルの記憶が途切れた…はずであったが。
 何の因果か、フラーテルがソロルの記憶を呼び覚まそうとしたおかげでさらなる追憶の扉が開かれる。
この先は、ソロルには無い記憶領域…。
語られることのないフラーテルの想いは、先ほどの<神の記憶>の効果でフラーテルの記憶をも
ソロルの中にも流れていたのだった。
 そして…フラーテル、ソロル2人の兄妹の思い出…記憶…後悔…全ての感情が一つになっていく。
そう、まるでパズルが組みあがっていくかの如くソロルの中で全ての想いはひとつになっていく。


 大量の出血に苦しみながらも、這いずりながら階段下に落ちたソロルを見てフラーテルが涙を流す。
 (ソロル…ソロル…どうして…こんなことに。)
 後悔はすでに遅く…幼き2人の命の灯火は、今にも消えいこうとしていた。
フラーテルの瞳はただ救いを求めてさ迷い、倒れ付すソロルに近づく3人の人間に止まった。
一人の白衣を着た科学者は、フラーテルを一瞥しただけで倒れ付すソロルの脈を計り始めた。
 「…症例番号12.。過剰投影型袋小路の模型…『妄想型箱舟依存症候群アーク』を発症。
 被検体1076…通称フラーテルを刺傷…。と言ったところですね。」
 淡々と答えるその科学者に視線を移すと、被験体1076フラーテルの瞳が驚愕に見開かれた後
氷のように凍てついた。
フラーテルの視線に気づいたのか、その科学者が見つめ返す。
だが、その表情からは何も読み取れる事が出来ぬほどに無表情に、冷徹にフラーテルを一瞥しただけ
で再びソロルに視線を向けたのであった。
 フラーテルを見つめた瞳とはうって変わり、瞳には哀れみと悲しみを湛えていた。
 その瞬間に、被検体1076フラーテルは全ての記憶を取り戻していた。
ヒトは耐えられないほどの絶望と苦しみを味わったとき、自発的にその記憶を抹消するという。
しかし…その苦しみを決して忘れようとせず、受け入れ永劫の絶望の果てにフラーテルは求めた。
そう、希望を求めたのだった。
 亡くした妹…親友…失った文明…
復興させ、元の姿に近づかせるための努力ではなく…全てを元通りに戻す…。
全てが幸せになるための『楽園』を追い求めた。
 彼は…、自らと妹のコピーを被験体として捧げ、全てをやり直すために狂気に染まった科学者と
なったのだった。


 太陽を模した略王冠、真紅のマントと紫のビロードを纏い、ただそこに居るだけで王者としての
威厳と貫禄の雰囲気をもちながらも、冷徹な瞳をした男が興味なさげにソロルを見下していた。
 「フン…また、失敗というわけか。」
その横で倒れ付すソロルの脈を図っていた科学者が、無表情にその男にひざまづき答える。
 「ハッ…もうしわけありません。
  現状での、SEED侵食からのグラール復興プログラム『Ark』にまだ修正が必要ですね。」
 「ミカと貴様が提案した『Ark』を用いたSEED耐性を持つ新人類…デザインヒューマン計画も修正が
  必要なのではないか?」
 男が侮蔑を含めた瞳で、激しく頭をぶつけたのか後頭部からジワリ…と血を流し倒れ付す
被検体1096ソロルの頭部をゴリッと踏みつけた。
 「あなたっ!カムハーン、やめて!」
 声を荒げ、その男の傍に立っていたミカと呼ばれていた金色の髪の女性がその男を咎めた。
それと同時に、科学者もカムハーンと呼ばれた男を睨みつけたのだった。
 「文句があるのだったら、早く『Ark』を完成させることだな。…ハッハッハハッハ。
  いつまでも、貴様達兄妹が殺しあう茶番劇に付き合っている暇はないのだぞ?
  判っているのだろうな?…科学者No.1076フラーテル!!」
 「…判っております。太陽王カムハーン様。」
 フン…と鼻で笑い太陽王カムハーンは倒れ付す被験体1076フラーテルの横をすり抜けようとした瞬間
フラーテルの手が伸び真紅のマントのスソを握り締める。
 その姿を一瞥し、マントを翻そうとしたがありったけの力を込めて握り締め、被験体1076フラーテルが
カムハーンを睨みつける。
 「…その汚らわしい手を離せ。」
 カムハーンは、右足でフラーテルの手首を思いっきり踏みつけると鈍い骨が砕ける音が響いた。
悲鳴と同時に、喉につまった血がカムハーンの頬にかかった。
血をぬぐいカムハーンの瞳から一切の感情が消えたかのように冷酷な瞳でフラーテルを見つめ直し
腹部に向かって放たれた一撃が、フラーテルを吹き飛ばした。
 しかし砕けたはずの手首でしっかりとマントを握り締めていた。
否、それだけにあらず…ソロルが刺した傷が塞がり紫だった髪と瞳が漆黒に染まり始めていた。
 「ほぉ…?」
 その変化に、カムハーンの表情が興味ぶかそうにフラーテルを見つめる。
全身が漆黒に染まり終わると全身の傷が治り、被検体1076フラーテルは膝まづき
正式な王への挨拶を取ったのだった。
 「太陽王カムハーン様…先ほどの無礼をお許しください。
  王に懇願したい事がありましたので無理にでもお留めしなくてはならなかったのです。」
 「ふむ…。何用だ?」
 「先ほど、あそこにいる私のオリジナル…フラーテルにいった『Ark』についてでございます。
  現状において、SEEDウイルスによる汚染が恐るべき速さで侵食していますが…ウイルス抵抗を持つ
  新人類ヒューマンの創生に手間どっていますよね…私が、考える新たなる進化のプロセス。
  SEED抵抗をもつヒューマンではなく、SEEDを体内に取り込みあらゆる環境に適応し進化しうる
  新生命体の創生です。」
 「ほお…。逆転の発想か。面白い…。」
クックック…と、太陽王は笑いオリジナルのフラーテルを見つめる。
 「フラーテル!『Ark研究所』の全権をお前に委ねよう。金はいくらかかっても構わん。
  ただし成果をあげろ。いいな!」
 「はいッ!」
 カムハーンは頷き、歩き始める。
そして、その姿が完全に見えなくなった頃、ミカは2人のフラーテルを見比べある事に気づいた。
彼らは、王への挨拶の姿勢のまま笑いをあげていたのだ。
 「クく…ハは…ウふふ……あははハ!」
 ゆっくりと彼らは立ち上がり、両手を広げ音程のずれた笑い声をあげ続けていた。
その姿に恐怖を覚えたミカが、思わず後ずさった時研究所の壁に立てかけてあった研究機材の
一つがガタンと落ちた。
 ギクリとミカがその落ちた研究機材に眼を向けようとしたが、フラーテルの変貌に視線を外すことが
出来なくなっていたのだった。
 それはなんという変化であったであろうか。眼は大きく見開かれ、口は頬まで裂けんかと
言わんばかりに真横に伸び笑顔だという証を見せ付けていたのだ。
 さらに恐るべき変容が、生身の体である科学者フラーテルに起こり始める。
紫色の瞳が、真紅に光り輝いたと思えば、その次には眼窩がぽっかりと開いたの如く漆黒の闇が広がり
その漆黒の内部には、瞬く星々のごとき煌きが現れ一時として変化が収まる気配がなかった。
フラーテルの全身から黒い煙が湧き出るかのような瘴気が立ち込め始める。
 「フラーテル…あなた…。」
 あまりにの自体に動けなくなったミカが、ようやく呟いた。
その声にようやく気づいたかの様に、フラーテルは非常にゆっくりとした緩慢な動作でミカを見つめ返した。
 「ア…あ…ガガガ…」
 口をパクパクと動かし、まるで操り人形のような不自然極まるカクカクとした動きでミカの方へ体の向きを
変えたかと思えば、突然操りヒモが切れたかのように突然崩れ落ちた。
 「………」
 あまりの事態の変化に、危険を危険と感じことさえも忘れていたミカが自我を取り戻し逃げようと思ったが…
突然、フラーテルは手首を下げたまま両手を前に突き出し、操り人形そのものの如く立ち上がる。
 「ハハハ…!これは失礼。驚かせてしまいましたね。太陽妃ミカ様…。
  ククク…被験体1076フラーテルに仕込んでいた実験が成功し思わず取り乱してしまいました。
  これは素晴らしいことですよ!SEEDに汚染された環境でも生き抜き、適応でき、進化し続ける新生命体
  刺されても傷が瞬時に塞がり、『』とソロルとの再びあの幸せな日々を取り戻せる…。
  ああ、素晴らしい…!もうすぐ…もうすぐだよ…。ソロル…。
  …求めた真の『楽園』の誕生まで、もうすぐなんだ…。ハハは…フハハ…ははハはハ!」
 「………」
 「それでは、ミカ様。この研究の完成のためにさらなる実験が必要ですのでこれで失礼させてもらいます。
  おっと失礼。カムハーン様のところまでエスコートいたしましょう。」
ニヤリと、どこか嘲りを含めた笑みをミカに向けた。
 「いいえ。いりません。…ところで。」
 「…はい?なんでしょう?」
ギリッと奥歯をかみ締め、フラーテルを睨みつける。
 「あなたは、誰?フラーテルは…、『』とは自分の事を言わないわ。」
 その問いに、フラーテルは一瞬目を大きく見開いた後、しだいに顔の表情が消えうせ人形のように
無表情な形で凝り固まった。
 「…なニを、いってイルのデす?わたシはワたシですヨ。」
 腹話術の人形のように、口だけがパクパクと動きミカの両肩を掴もうとするフラーテルから抜け出し
ソロルの側まで避難したのだった。
 そしてフラーテルから噴出す濃厚な瘴気が手のように伸び、ミカの片足を掴み取り転倒させた。
さらに瘴気が強まり、フラーテルの全身を包み込み始め、巨大な禍々しいシルエットに思い当たりを付けた。
 「そう…そうなのね。フラーテル…あなたに取り付いているのは…」
ゴクリと、唾を飲み込み抵抗するように睨みつける。
 「SEED…いえ、違うダーク・ファルス…」
 その呟きに反応するように、瘴気はより濃くなりフラーテルの顔を包み込み漆黒の鱗を持つ
竜頭に変化していた。
 「ハッ!ハハハハ!ご名答と言いたい所だが、我は1つの細胞から産まれでた分身でしかない。」
瘴気が触手のように変化しミカに全身に絡みつこうとし始め嫌悪感からよりソロルの近くまで逃げようとする。
 「逃げても無駄だ。貴様には、我が分身を産み出す母体となってもらうのだからな…クククッ…
  SEEDと同一にして、進化し続ける新生命体。
  貴様が、カムハーンが求めた答えを与えてやろうというのだ。
  悪い話ではあるまい?フフフ…クハハハ!」
 ミカに圧し掛かる様に、ゆっくりと迫ってくるフラーテルから逃れるために半狂乱となって
ナノトランサーから手持ちの武器を取り出そうと焦りだした。
 「離しなさい!」
 とっさにミカが取り出したのは、右手にソロルの記憶が閉じ込めてあるレッドタブレットと呼ばれる
情報端末と左手に構えたハンドガンで、フラーテルの腹部を打ち抜こうと構える。
 ドン!ドン!ドドン!
 立て続けに、ミカが引き金を引いた。
触手が3つまでのフォトン弾を打ち消したが、最後の一発がフラーテルに当たりグラリとよろけ触手が緩む。
その隙をのがさず、触手から抜け出しハンドガンをフラーテルの頭部に銃口を向ける。
 「はぁ…はぁ…フラーテル…。あなた…もう人間をやめてしまったというのなら…。はぁ…はぁ…。」
よろけたのはわずか数瞬でしかなく、傷も即座に治ったフラーテルが余裕を浮かべミカに微笑を浮かべる。
 「やめてしまったと言うのなら…なんです?殺すとでも言うのですか?」
 眉間をトントンと指を指し示し、嘲笑を浮かべジリジリとミカに近づく。
 「さあ、狙うなら頭部を一撃で吹き飛ばすのが一番ですよ。…もっともあなたに『』を殺すことなど
  出来ないでしょうがね!」
 一瞬目を瞑り、覚悟を決めたのかカッと目を見開いた瞬間ミカが引き金を引きかけた瞬間…
すばやく伸びた触手が、ミカの全身に絡みつき左手を激しく締め付けハンドガンを落とさせる。
そして、そのまま押し倒されるミカであった。
 「あ…ぐっ…」
 喉に伸びた触手から、何か黒い種子のようなモノを産み出しミカの体内に埋め込んでいく。
それのもたらす拒絶反応に苦しみ喘ぐミカをフラーテルが満足そうに見つめ圧し掛かってきた。
その時、ミカがとっさに取った行動は今までのフラーテルとの語らい・戦闘記録全てをレッドタブレットに
記憶させ触手が絡まる右手を無理やり伸ばし、ソロルの記憶ソケットに隠した。
 「い…いやーー!」


 ミカの叫びに呼応するように、雷撃の一閃がフラーテルを吹き飛ばした。
 「貴様!ミカに何をしている!」
再びゾンテを打ち出すべき、右手をフラーテルに向けカムハーンが怒りの形相で睨みつけていた。
 「ぐっ…これは、カムハーン様…」
 よろめきながらも立ち上がろうとするフラーテルに、瞬間移動したとしか思えない跳躍力を見せ
距離を詰め右手で襟を掴みあげ壁に叩きつける。
 「貴様は何だ?SEED耐性を持つ新人類か、SEEDを体内に取り込み進化する新人類ならいいが…
  お前のその姿はどういう事だ?貴様は、新人類ではなくダーク・ファルスを増やしたいのか?」
 ググッと襟を締め上げていくと、喉が絞まるのかフラーテルが苦しみだす。
 「ぐっ…嫌だなぁ。『』の姿が、ダーク・ファルスだって?ククク…」
  瘴気が纏わりつき鉤爪のように変化したフラーテルの手が、カムハーンの右手首を掴みとる。
鉤爪が腕に食い込み、恐るべき握力で締め上げた。
右手首から出血が始まり、折られると感じたのか襟からその手を離し距離を取ろうとしたが
フラーテルはその腕を離さなかった。
 「勘違いしないで貰いたいですね。SEEDを取り込み進化する新人類…
  つまり、SEEDそのものとなる事ですよ。
  SEEDに汚染されてしまったのなら、自らもその存在になってしまえばイイのです。
  SEEDになれば全ての存在は、ダーク・ファルスによって意識が共有・統合され一切の悲しみ、
  苦しみも無くなるのです。
  例え、死しても共有・統合された意識からバックアップデータを復元し同じ肉体を復元することも可能です。
  そうすれば…亡くなった『』の妹も、親友も、失われた文明全てを元通りに戻せる。
  人類が、お互いを補完しあい保管することで起こりうる全ての誤解や認識の違いによる争いが無くなる。
  そう、そうすればソロルも私が間違っているとも思わず、『』を刺し殺そうともしないのだ。
  全ての人々が幸せに暮らせる。それこそが真の『楽園』なのですよ。」
 カムハーンと、ミカ2人の表情が凍りつく。
が、みるみるとカムハーンの激怒を押し殺した冷徹な瞳で睨みつけた。
 「…フラーテル。」
 「ククッ…なんですか?」
 「貴様は、間違っている。全ての人間が意識を共有・統合させるなど馬鹿げている。
  全ての人間は膝つき頭を垂れ、我の命令下で幸福を与えてやるのが正しいのだ!
  我が命令通り、SEED抗体を持つ新人類…我の奴隷共を作成すればいいのだ。」
目を大きく瞬きさせ、フラーテルは嘲るように哄笑をあげる。
 「ハッ!ハハハ!!実にあなたらしい回答ですね。
  やっとここまで来たんだ。邪魔はさせませんよ。」
フラーテルから吹き出る瘴気がより濃く、周囲を漆黒の闇で埋め尽くすまでに広がり始める。
 「ぬ…フラーテル。何をする気だ?」
 「あなたにも、SEEDの元型となる『魔の因子』を埋め込んであげてあげましょうか?…
  ククク…」
 カムハーンに触手と化した瘴気が、無理やり押し倒そうと絡みつき始めた。
無数の触手がもつ強靭な力の前に屈することなくあがき続けるカムハーン。
 「…この我を、貴様らSEEDと同じにしようとでも言うのか?
  ふざけるな!我は、全てを支配する王。太陽王カムハーンなのだぞ。
  お前ら下賎な存在と同一にさせるとというのなら、我が誇りが、我が魂がそれを許さぬ。
  我は我のまま自害しよう。
  それでも、我が誇りある死を冒涜し汚れしSEEDそのものと化させるならば…」
 面白そうなモノを見る目で見つめ返すフラーテル。
血に飢えた巨大な猛獣を思わせる殺意を込めた笑みをたたえ、カムハーンが吼えた。
 「全てを紅蓮の炎で焼き尽くし、ダーク・ファルス貴様を食い殺す悪鬼羅刹となろうぞ!」
 「ハッ!さすがですよカムハーン様。安心してください…
  あなたに『魔の因子』を埋め込むことは、ダーク・ファルス様に止められているんですよ。」
 「なに…?」
 「ククク…判りませんか?あなたの持つ闇よりも深く黒い魂が、ダーク・ファルスを呼びよせ復活するのに
  必要なのですよ。」
 「…グッ!?」
 その時、より闇は質量を持ったように重くカムハーンとミカの上に圧し掛かり倒れ付させた。
闇の触手がまるでヒルに全身を撫で回すかのような不快感と共に、思考も体もしびれ始めるのだった。
 (なんだこれは…)
 しだいに声もだせなくなり、脳がしびれ正気が失わされていくのをまざまざと感じさせる。
 (くそ、どうしたんだ…気が、気が遠くなる…。)
 そして、フラーテルの声質が変わっていき深淵なる闇から呼んでいるかのような、虚無の孤独、
宇宙全体を満たす暗黒の恐怖、心の闇を覗きみられ絶望の彼方へ引きづり込もうとするかの如き
声に変わっていた。
 「お前は、自らダーク・ファルスに惹かれているのに気づいていない。
  畏怖と畏敬を呼び起こさせ、この世の全ての才能を凌駕し超越せし者よ…
  汝が、持つ全ては太陽のように黄金に光り輝いてはおらぬ。…その魂の本質が故に。
  …汝は世界を暗黒の光で照らし出す、漆黒の太陽なのだ。」
 周囲の空間が歪み、宇宙空間を思わせる暗黒と煌く星々を思わせる光が映し出される。
否、その輝く光は星にあらず。巨大な瞳の虹彩でしかなかったのだった。
 「あ…ああ…」
そのおぞましき光の正体に気づいたミカは気を失ったが、気丈なカムハーンはそれを睨みつける。
 (そうか…お前か……ダーク・ファルス。)
 「…我が姿を見ても正気を保っているとは、さすがだなカムハーンよ。
  それでいい。貴様だからこそ、我を復活させるにたる新たなる贄…新人類を生み出せるだろう。
  ハッ!ハハハ!!」
 (くっ…意識が…遠くなっていく。)
 「そのまま、眠りにつくがよい。目覚めた時、貴様らは先ほどの記憶は消え去っているだろう。
  …そして、カムハーンよ。ミカに我が埋め込んだ『魔の因子』から、
  SEED抗体を持つ新人類を生み出せるだろう。
  自らの妃をバラバラに分解してでも実験は成功させるだろう。」
 (………)
 意識を失いかけるカムハーンを見つめ、嘲笑を浮かべる。
 「期待しているぞ。闇に導かれ、闇に選ばれし運命の子カムハーンよ…
  …貴様の魂に巣くう闇の種子と、『魔の因子』が結び合い新人類が誕生すれば、
  我が望み…封印を解きはなち復活させる事ができるのだ。
  ハハッ!ハァーハッハハハ!!」
 そしてカムハーンが完全に意識が失うと同時に闇が、しだいに歪んだ空間に引き込まれ
何事もなかったかのように静まり返り元どおりの背景に戻っていく。
 しかし、一部だけダーク・ファルスにも誤算があった。
ミカがソロルに差し込んだレッドタブレットが、その一部始終を記録していたのだった。
そして、ダーク・ファルスが完全に消え去ると同時にレッド・タブレットは記録を停止し沈黙した。
そこで完全に、ソロルの記憶されていた全データが終わった。


同時刻…ガーディアンズコロニー圏内…宇宙航路…

 「ガーディアンズコロニーまで距離15000まで接近。有効射程距離まで、残り9000ですにゃ!」
 重装備に固められた大型PPTシャトルを操る神条摩樹奈(かみじょうまきな)が告げる。
 「間に合った!」
 拳を握り締め、エリス・シンフォニアが叫ぶ。
果たしてフィー、エリス達は、ガーディアンズ・コロニーを無事守り通せることができるのだろうか?
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