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Bland New Tea☆Time♪

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Phantasy Star Universe Concert 外伝02話pso-novel

「Ark-箱舟の力-」(前編)
惑星パルム…

 SEED襲来により、数多くの死傷者が出る事態となりグラール太陽系最大のコングロマリット
であるGRM本社ビルにある緊急救命施設も使われる事態となっていた。


GRM本社ビル・治療室…

 医者が足らず、グラール教団からの救援を受け治療をあたっていた。
グラール教団第三治癒課から派遣されたシオ・ミサキが大慌てでレスタを唱えている。
 「わわ。大変〜><。PP回復間に合わないよ〜…」
弱音を吐いた時、扉が大きく開き叫び声が聞こえる!
 「急患です!」
ナースの格好をしたココットとNellyが急患として担架に乗せられた2人を運んでいく。
途中で、PPTシャトルがSEEDに撃墜されそうな危機をなんとか乗り越えたランツェとレンゼを
担架で手術室へ急ぐ。
 「俺、無事退院したらNALママにマリモのペンダントを送るんだ…」
 「ちょw父さんwwそれ死亡フラグwww」
父ランツェと娘レンゼが息も絶え絶えに担架の上で喋っていた。
 「マリモのペンダントって…これはひいたな…」
母NALが冷めた目でランツェを見つめる。
 「「はっはっはドンm…ぶほぁあ!!」」
ランツェとレンゼが大声で笑うと、吐血し気を失うのであった。


GRM本社ビル5F・緊急救命治療室前…

 「その患者は、こっちの手術室へ!!」
医師シリアの指示の元、別の手術室へと運ばれていく2人…
本来なら別の人物が、そこに行く予定だったがこの手違いによって生まれた者達がいた…


ランツェとレンゼが手術室に運ばれる、3時間前…

 「ほっほ、このMARIMOシステムを組み込めばいいのね」
技術研究員主任・兼医師ヤヨイ・M・ブルースカイが指示書を読みながら聞き返す。
 「ええ。」
Kumanoko-Jが頷き返答する。
 「ふっふふ…よろしく頼むぞ…」
全身を真っ赤なボディで覆い、髪をオールバックにし顔には大きな傷のようなマークをした男が
ヤヨイとkumanoko-Jの前に立ちながら喋る。
その尋常ならざる鋭い瞳は、見るものを圧倒し恐怖に身を震わせるほどの威圧感を出していた。
 「レンヴォルト=マガシ様…そろそろ次の予定の場所へ行かれないと時間が…」
マガシと呼ばれるキャストの横に立つ、キャストしては小柄な身長の男が語りかける。
 「よかろう…いくぞ!」
 クルリと反転し、ヤヨイ達に背を向け歩き始める。
ガチャガチャと装備している金属質の羽を思わせるマントが閉じ、一旦立ち止まる。
 「無論分かっていると思うが…MARIMOシステムの公開は禁物だ。」
チラリと半面だけ顔を向けたが、その表情に浮かぶは背筋を凍らすような獣の笑み…
 「情報漏えいされれば、貴様らの命は無いモノと思え…」
そういい残し、マガシは立ち去っていく。
 「只者じゃないわね…何者かしら…?」
額に浮き出た冷や汗をぬぐいながら、ヤヨイが呟く。
 「エンドラム機関のキャストとしか分からない、謎の男さ。」
同じく冷や汗をぬぐい、kumanoko-Jが答える。


GRM本社ビル5F・緊急救命治療室…

 ランツェとレンゼの手術成功から3時間経過。
ヤヨイ達がマガシと会話してから実に6時間が経っていた。
 「被験体1096ソロル及び被験体1076フラーテルから、性格等を2体のキャストにダウンロード済みです。
  あとは例のMARIMOシステムを組み込むのみ。」
医師シリアの説明を受け、ヤヨイ・M・ブルースカイと助手kumanoko-Jによって組み込みが始まる。


GRM本社ビル地下10F・実験研究室…

 「BIOS設定完了…内部構成システムの再構築完了…システムオールグリーン…」
ヤヨイ・M・ブルースカイが画面を見ながら2体のキャストの起動準備にかかる。
 「Multi Archve Revival Information Management Operation System(多古文書再生情報管理システム)」
その文章が起動画面全体に大きく映し出される。
 「これは古代遺跡レリクスの研究成果と古代文明の文字列の写真…?」
画像と文章を飛ばし飛ばしで見ていくヤヨイ・M・ブルースカイの後頭部に向けて冷たい物が当てられる。
 「ふっふふ…それ以上の詮索は身を滅ぼす事になるわよ?」
妖艶な人の心をざわつかせる声で喋る女性が、銃を突きつけていた。
 「わかった…了解。」
その声と共に突きつけられた銃は下ろされ数歩下がったのが分かる。
そして顔を半分ほど動かし状況を、横目で確認するヤヨイであった。
 (この実験のために、動員された人数はかなり多いみたいね…)
 銃のセーフティロックを外したまま、冷たい微笑を浮かべる青髪青眼に黒い服を着込んだ女性。
その周辺を固めるのは、特務兵であるアサルト・ヴォビス・カノーネ・ソルダが各2名10人の分隊であった。
 「さて…ヤヨイ先生、kumanoko-J先生さっさと初めてもらえない?」
 システム最終チェックを終え、起動開始の声と共にキャスト内部搭載されてる永久機関フォトンジェネレーター
が大気中フォトン粒子からフォトンエネルギー吸収し、起動用のエネルギーに変換し始める。
なお、グラール太陽系全体に存在するフォトン粒子は、宙域や惑星事の地域によって濃度の違いはあるもの
の質量的に枯渇する事はない。
つまり『フォトンを消費する』という行為は、フォトンの持つエネルギーをプラスの状態からほぼゼロにする…
という事であり、フォトン粒子そのものが消失するわけではない。
ちなみに、いったん消費されたエネルギー値は蓄積限界値まで自然に回復するので恒常的に使える。
 「うはwwやばすww」
シリアが半狂乱になりながら、突如涙目になり焦りだす。
ん?とシリアの異常に気づいたkumanoko-Jが近づき耳打ちでシリアに問いかける。
 「ソロルとフラーテルじゃなくて、さっき手術で救命したランツェとレンゼという人格をインストール…」
kumanoko-Jの顔も青ざめる。
 「これは、ひいたな…」
そうこうしてる間に2体の体にフォトンエネルギーのチャージが終了していたのだった。
 『まぁりも〜♪ま〜りも♪たぁぷりぃ〜♪ま〜りも♪チャージ完了。システム起動開始。』
バシュと空気が抜ける音がし、チャージ用カプセルが開き2体のキャストが動き始める。
 「ふぁああ…よく寝た。NALまま、今日の朝ご飯はなんだい?」
背伸びをしながら、身長1m30cmほどの小柄なキャストまりもが寝起きの声で喋る。
 「ランツェ父さん、さっき食べたばっかじゃないか…」
同じくまりもと同じ身長の黒く角の生えたキャストのリライズが返事する。
 「なんだ?レンゼ…声がおかしいぞ。風邪でもひいたんじゃ…?」
 「そういう父さんだって…」
 『え…?』
2人が目を合わせ、そのまま暫らく硬直し思考が停止する。
 「…レンゼ!父さんは性転換なんて許したおぼえ…ぐほぁ!?」
高速で放たれたツッコミがまりもを激しく吹き飛ばす。
 「そうか!NALままが2人目が欲しいといっていたからその子…ごっぶるふぁああ!!」
きりもみ回転でまりもが特務兵を巻き込んで、入口扉にぶつかり扉が壊れる。
 「ヤヨイ!kumanoko-J!シリア!これはどういう事なの!?」
青い髪をした女性がヤヨイ達に鋭い視線を向ける。
 「ヘルガ様!それよりも大変です!!例のキャスト2体が脱走を開始してます!!!」
そう呼ばれた青い髪の女性ヘルガ=ノイマンがまりもとリライズを睨み付ける。
 「レンゼ?あんな不良と付き合ったらいかんz…あべしっ!」
リライズの放ったボディブローに、まりもの体が空中に浮き気絶する。
 「父さんだって、なんでそうなマリモカラーなキャストに…!って気絶してるし!!」
そうこうしてる間に、倒されていたはずの特務兵が起き上がりまりも達に銃口を向ける。
 「お遊びはそこまでよ…。ヤヨイ、kumanoko-J、シリアお前達には説明してもらうわよ。」
見たものをゾッとさせる冷ややかな瞳でヤヨイ達3人を見つめる。
 「なぜ、ソロルとフラーテルの意思がこの2体が入っていないのか…」
低く獰猛な獣を思わせる笑い声をクククッとあげる。
 「なぁ…俺達ころされるかな…」
kumanoko-Jが絶望したような声で呟く。
 「これはひいたな…私の間違いのせいで…」
シリアが青ざめて答える。
 「はっはっはドンマイ!」
ヤヨイ・M・ブルースカイが笑いながら答えた瞬間!
ドォオン!ゴガガガガッ!
激しい衝撃が地面を揺らし右側の壁と天井が吹き飛び、瓦礫が特務兵とヘルガに覆いかぶさる。
 「あれ?これ逃げれるんじゃない?」
ヤヨイが残りの皆に目配せし、研究室から出て走り出す。
 「くっ!お前達はやく出て奴らをおいなさい!!」
ヘルガが瓦礫の中から這い出ながら叱咤する。
 「まったく、一体何が!?」
 ヘルガの前に覆いかぶさった瓦礫の上に存在した物…それはSEEDであった。
SEEDが開花し、SEED・ヴァンスとなりヘルガ達に襲い掛かる。
 「ちぃ!?邪魔な!」
突如現れたSEED・ヴァンスに対応するため特務兵が5:5に分かれてSEEDとまりも達に向かう。


GRM本社ビル地下30F・実験研究用・地下特別保管室…

 「…迷子だ…orz」
先頭を歩き道先案内人となっていたシリアが、なぜか地下30Fに降りていってしまったのだった。
 「ちょwwシリアさんwwwそれはないわwwww」
kumanoko-Jがもう笑うしかないといった顔で言った。
 『はっはっはっ!ドンマイ!!』
地下30Fに一つしかない扉の前で、全員でそう叫び慰めた。
 「ここの奥は、何があるのかしら?本来私達程度の権限のID権限で入れない扉も開いていてここまで
  これたんだし…」
ここまでこれた経緯を考えながらヤヨイ・M・ブルースカイが答える。
 「そんな立ち入り禁止区域に入るまで気づかんかったんかい!」
リライズがツッコミを入れた威力でヤヨイが扉にぶつかり、激しい音を立てて開く。
 「鋼鉄製の扉5つをあける威力!?」
シリアが驚きの声をあげつつ、全員が中に入りヤヨイの安否を気遣う。
 「ん?なんだここは?」
いつの間にか目を覚ましたまりもがあたりを見回す。
そこはまるで一万千年前に滅んだはずの文明の遺産である遺跡レリクスを思わせた。
 「旧古代文明の遺産も大量にある…あれ?」
ヤヨイが周辺を見ながら一番奥に大量に並ぶカプセル郡を見た。
 「なんでこんなにカプセルが?」
kumanoko-Jが不思議そうに見つめ、1つのカプセルの中に人影があるのを見てとった。
 「あれは…本来実験用に使うはずだったソロルじゃ?」
シリアが目をこらし、確認する。
 「ほぉ…被検体1096ソロル…あそこに被検体1076フラーテルって書いてあるね。」
リライズが見ながら呟く。
 「他にも被験体ナンバーが書いてある所を見ると、ここはレリクス時代の実験室じゃね?」
まりもが周囲を見ながら答える。
 「え?あなた達よめるの!?」
ヤヨイが驚き聞きかえすが、2人がああ、そうだよと答える。
 「は!?キャストボディになった事でIQがあがったか!?」
まりもとリライズがうひょーといいながら小躍りを始めていた。
 『これがMARIMOシステムの力?…あの女、レリクスを研究して何をする気だったの?』
ヤヨイが、考えさらなる思考の奥底に沈みはじめたその時…
ズズン!
という響きと共に、ソロルのカプセルが開き落ちてくる。
 「おおっと!?」
 まりもがソロルを抱きとめようとしてぶつかり倒れる。


彼ら4人とソロルの出会い…それは何を意味し、どこへ向かわせようとするのか…
箱庭を語る檻の中で、彼の…彼女の…壊れ行く哀れな魂を救いしモノは何なのか…
救いたまいしその手は神の御業か…悪魔の所業か…
それとも、それは人による驕れる無能な創造神に成るための心算か…
禁断の海馬に手を加え、彼の…彼女の…手に入れし<Arkと呼ばれる物>
一万二千年の時を超え、再び物語は動き始める…。
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