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Bland New Tea☆Time♪

Bland New Tea☆Time♪

このページは、フィーが書いたPSU小説サブストーリーとなります。
(HP小説の無断転載を禁じます。)
PSU(Phantasy Star Universeの略称)は、SEGAの登録商標です。
作品の著作権は、作者にあります。
なお小説の内容は、ゲームの攻略等を示す物ではありません。
小説はオリジナル要素を、多分に含みます。ご了承の上お読みください。
ご理解頂けない場合は、ブラウザバックでお戻りください。
なお小説内に登場する企業・組織・団体は架空のもので、実在する企業・組織・団体とは無関係です。

PSU小説サブストーリーACT.03(作者:フィー)pso-novel

「箱舟の落とし子」 
――ニューデイズ上空。

 一機のシャトルが航路を外れ、森林へと落ちて行く。
不安定に揺らぐ片羽にはSEEDの素体が取り付いている。
 「くっ……なんだってのよ!?」
 「メインエンジン出力低下、このまま不時着します」
 「チッ、操縦をマニュアルに切り替えて!私はエンジンの出力を上げてくるわ!」
後部に駆け出すフィーの背中にアルベルトの声が飛ぶ。
 「快適さは保障出来ませんよ!」
 「イニシャルGが出来れば簡単よ!」
機関部へと続く扉を蹴破ると、気圧が一気に下がり空気が外へと吐き出される。
飛ばされないように両足に力を入れる。
 内部はフォトンリアクターを制御する機械と動力炉、冷却水を送り込むパイプ等が張り巡らされている。
そして右側に大きく開いた穴から、SEEDの触手が侵入してくる。
獲物として認識したのか、触手は一斉にこちらへ向かって飛んできた。
両手にレールガンを構え触手の先端部分を打ち抜く。
だが触手は怯むだけで、一向に攻撃の手を緩めようとはしない。
 「キリが無いわね……!」
 それなら、とフィーはジャケットの中に手を伸ばす。
 指先に触れる冷たい金属。
先程研究室からこっそりと持ち出した対SEED用試作兵器のサンプルだ。
「新型の威力を試させてもらおうかしら?」
 ハンドガンより幾分か重厚なシルエット。
トリガーを引くと、黒く歪んだフォトンが発射された。
それはSEEDを中心に空間が歪む程の重力場を形成する。
その周囲にはキラキラと瞬くフォトンの渦が流れ、SEEDの一切の行動を封じている。
 「アンチ・ディメンション……!?なるほど、上も随分過激なオモチャを欲しがるじゃない」
 一時的に小型の重力場を形成し周囲のフォトンの反応値を臨界点付近まで高める事により、
重力場の内外からの相互不干渉を可能にする新技術。
非常に強力な檻を作り出す事が出来る為、艦隊のシールドや危険生物の生態を研究する際の
囲いとして応用が期待される技術だったが、多大なエネルギーを消費する事、
形成された重力場が極めて不安定である事から正式採用には至らなかったロストテクノロジーだ。
一部研究者の間ではメルヴォア・エクスプロージョンの引き金になったのではないか、
と推測される程の危険な技術でもある。
 「ギュィィィィィッ!!」
身動きが取れない事に苛立ち触手を打ち付けようとするが、強固な重力場は破れるどころか
SEEDの触手を捻じり切ってしまう。
 「アンタはそこで大人しくしてな」
動きを止められいきり立つSEEDを尻目に部屋の中央に足を進める。
 フィーは制御盤の前に立ち、システムを呼び出す。
モニターに機関部の見取り図が映し出され、無機質な音声アナウンスが響く。
 『メインエンジン出力低下』
 「回路図は……これね。異常発生の箇所は」
 『各エンジンの推力低下。メインエンジン左後部よりエネルギー漏出』
 「よりによってSEEDのくっ付いてる場所じゃない……!」
奥歯を噛み締める。
あの重力場はSEEDを閉じ込めた代わりにこちらの攻撃を完全にシャットアウトしてしまう。
 (裏目に出たわね……!どうにか着陸させないと)
幸いというべきかしばらくSEEDは動けない。
 エンジンの復旧に見切りを付け、フィーはシャトルの操縦席に向かう。
操縦席の扉に辿り着いた時、機内が大きく揺れる。
 「っと、随分荒っぽい運転ねアル!」
 「無茶言わないで下さい、もうエンジンの推力はほとんど無いんですよ?
  格好良く墜ちているだけです」
 アルベルトの言葉通り高度はどんどん下がっていき…
前に進むと言うよりは前方に落下しているに近い。
サブエンジンのエネルギーもそろそろ切れる。
どうやらあのSEEDはエネルギーを取り込むタイプらしい。
部屋を照らしていたライトも切れた。
 「どんな気分、アル?」
 「最低ですよ。そう言う貴女はどうなんです、フィー?」
 「最高よ。どんなテーマパークの絶叫マシーンよりもクールじゃない」
遂にシャトルは雲を突き抜け、地表近くまで落ちてきた。
見事に色付いた紅葉が目に入る。
 「こんな状況じゃなければ一杯傾けるところなんだけどねぇ」
 「フィー、あれは」
その声に視線をずらすとシャトルの落下地点(予定)付近に人がいた。
 「ちょ、なんで人がいるのよ!?」
 「僕だって知りませんよ!」
 「何とか避けなさい!!」
 操縦桿を渾身の力を込めて引き揚げる。
急速に迫る地表。
こちらに気付いた数人が慌てて離れるが、一人の少女が取り残されている。
 「間に合わない……っ!」
ぶつかる、そう思った瞬間フィーの視界は白き光に包まれる。
その光は一瞬だったがシャトルを、そして少女を覆う。
 (っ……一体何が……)
 意識を目の前に戻したのと鈍い音が響くのは同時。
軽い衝撃と共に少女が宙を舞う。
たっぷり十秒、二人は言葉を失った。


――ニューデイズ地上。

 「な……なにしてんのよアルぅぅぅぅ!!」
 「い、いえっ、今のは不可抗力ですって!そもそもSEEDの襲撃すら想定外の事ですし」
 「ってそんな事言ってる場合じゃないわよ!あの子は……!」
 慌ててシャトルから降りると少女の元へ駆け寄る。
信じられない事に、少女はむくりと起き上がり不思議そうにこちらを見ていた。
 (あの衝撃で無傷……?)
いや、とフィーは認識を改める。
よく少女を見れば確かに傷はあるのだ。ただ、それが驚異的なスピードで再生されている。
 「ねぇ、大丈夫?」
少女は私の顔をじっと見つめていたが、ゆっくりと口を開く。
 「お腹が空きました……」
 「……は?」
 何の警戒や脅えも無い純真な瞳でこちらを見上げる。
想定外の言葉に一瞬頭が真っ白になるが、ふと今朝渡された弁当の存在を思い出した。
 ナノトランサーからピンクの包みを取り出す。
美味しそうな匂いが広がると同時、少女の口から大量の涎が滴る。
 「ゆっちゃんが作ったお弁当だけど食べる?」
少女は満面の笑みで弁当箱を受け取ると、凄まじい勢いで中のごはんを食べ始めた。
 (この子は一体何なのかしら?素体の性能から見てG.R.Mが作った新型のようだけど、
一つ一つのパーツは何世代か前の物だし)
 「もぐもぐ……」
 幸せそうにオルアカハンバーグを頬張る少女。
気付けば先程避難していた他の人達も戻ってきた。
 「失礼ですが、貴女方は?」
黒髪の研究者らしき女性が問い掛ける。
 「私達はガーディアンズよ。私はフィー、こっちがアル」
 「アルベルト・マルガノフです」
 一通りの自己紹介を終え、彼女達が何故この場所にいるのかを聞き出そうとした時、
シャトルから響く鳴き声が鼓膜を震わす。
振り向くと、大きな植物を思わせる形態のSEEDが蠢いていた。
 素早く少女を後ろに匿い、ハンドガンを構える。
 「アル、その子をしっかり守りなさい!」
 「了解!」
 マドゥーグから放たれるゾンデと、白いフォトン弾が飛び交う。
次々と迫り来る触手を撃ち落としていくが、その攻勢にフィーは何か違和感を覚えた。
先程シャトル内で対峙した時よりも攻撃の手が緩い。
 眼前の触手を弾いた瞬間、その謎は解けた。
 (なるほど、こっちは囮って訳ね)
 地中に二本の触手を突き刺し、それを視界から隠すような攻撃を仕掛ける。
こちらの意表を突き、一発で勝敗を決めるつもりらしい。
 「でも新ネタを持ってるのは自分だけと思わない事ね」
ニヤリと微笑むのと同時、地面から伸びた二本の触手が一直線にフィーの喉元を狙う。
 「フィー!」
 別方向から飛んでくる触手を相手にしていた為、アルベルトは咄嗟に動く事が出来ない。
フィーの肉体を貫くと思われたそれは、一陣の風によって断ち切られる。
 光波鞭による目にも止まらぬ一撃がSEEDの触手を切り落としていた。
舞踊を思わせる優雅な、それでいて鮮烈な動きに一瞬アルベルトは目を奪われた。
 「気を抜くんじゃないわよ、アル?」
アルベルトが注意を戻すと、死角から少女を狙っていた一本の触手が地面に横たわっていた。
 「あの一瞬でこちらの動きまで……!」
 それはSEEDにとっても予想外だったようで、慌てた様子で地中に潜ろうとしている。
触手が地中を進むのだ、本体も同じように移動出来るのだろう。
だがその逃走を黙って見過ごすフィーではない。
 右腕を一閃させフォトンの鞭でSEEDを絡め取る。
鞭が触れているだけでも相当の苦痛なのか、SEEDは狂ったように奇声を発する。
 「イヤなら解いてあげるわよ?」
 急に呪縛から解放された為、前のめりになる。
態勢を立て直す間も与えず素早い連激を叩き込み、硬い表皮を削り取る。
紺色の肉が見えたところで、フィーは光波鞭を戻す。
満身創痍となり憎しみを赤き瞳に宿すSEEDにフィーは笑い掛け、一言。
 「滅びなさい?」
上半身を捻るようにして繰り出された渾身の一撃がSEEDを薙ぎ払う。
断末魔を上げる事さえ出来ぬままに、SEEDの体は崩れさった。


――1時間後。

 SEEDを撃退し、一先ずの脅威は去った。
皆の現状を聞かせてもらう事にし、その内容に耳を傾けていたフィーだったが
少しばかり顔に疲労が浮かぶ。
 これからSEED掃討作戦に駆り出される方がまだマシと思える程に、状況は込み入っていた。
 「よりによってエンドラム機関ねぇ……」
 軍部の中でも特別な権限を持ち、その実態は我が粛清部同様に全くと言っていい程知られておらず、
何人かのエージェントが潜入を試みたが誰一人として戻って来た者はいない。
実質的な指導者としてレンヴォルト・マガシの名が挙がっている以外、内部の事情は無い。
 「ただ解せないのはイルミナスが介入してる事よね」
 「イルミナス……ヒューマン原理主義を掲げた組織ですね。
これといって目立つ情報は入っていませんが」
 黒髪の女性ヤヨイが話した『Ark』とやらにソロル――シャトルで吹き飛ばした少女――が
何らかの形で深く関わっているのは間違いない。
 そしてレリクスの情報を欲したイルミナスとエンドラム機関。
どうやら粛清課ですら与り知らぬところで、大いなる計画が着々と進行しているようだ。
 「ま、あれこれ考えたって仕方ないわ。それで貴方達の処分だけど」
 「処分って燃やされんのかよベイビー!」
 「燃やしても有害ガスは出ないクリーンな素材だZE☆」
無駄にハイテンションなキャスト二人(まりも&リライズ)を華麗にスルーしつつ、フィーは端的に告げる。
 「貴方達はしばらくガーディアンズの保護下に置くわ。最初の一週間は審問や検査とかで
  忙しくなると思うけど、ある程度の制約さえ守ってくれるなら身の安全は保障するわよ」
 「ぶっちゃけると重要参考人かしら?」
 流石は研究員というかヤヨイは話が早い。
苦笑しながらフィーは答える。
 「ええ、そういう事になるわね。もっとも、ガーディアンズとしてこっちの研究所で働く事も出来るわよ?
  そっちの方が何かと自由だろうし、何よりG.R.Mでのノウハウを持った人材は貴重なのよね」
冗談めかしてそう告げると、ソロルがこちらを見上げているのに気付いた。
 「ん、どうかした?」
 「ガーディアンズ、私もなれる?」
 ソロルの口から出た言葉は少し意外なものだった。
 (確かにその方がより近くでこの子を観察出来そうね)
不思議な能力を備えたシステムに対する興味はもちろん、
この少女自身に娘のような愛しさを覚えているのも事実だった。
 「そうね、ソロルちゃんなら優秀なガーディアンズになれるわよ」
 「ホント?」
 「ええ、もちろん」
 その答えにソロルはぱぁっと笑顔になり、フィーに抱き付いた。
ほんわかとした気分に浸っていると、アルベルトが大きく咳をする。
 「何か忘れていませんか、フィー」
 「ったく……人がいい気分で萌えてるって時に無粋なヤツね。
  アンタは皆を連れてコロニーに戻りなさい。ゲオルギウスには『夕凪が吹いた』って言えば通じるわ」
 「了解」
 言い終えると遠くからエンジン音が近付いてくる。
救出用のシャトルが来たようだ。
 さて、と立ち上がり発煙筒を焚く。
シャトルが降り立ち次々に皆が乗り込んで行く中、ソロルはじっとフィーを見つめている。
 「ん?」
屈んでソロルと同じ高さの目線になり微笑むと、
 「頑張ってね」
それだけ言ってソロルはシャトルへと駆け出した。
 「……癒されるのぅ」
 しみじみと呟きシティへと向かうシャトルを見送る。
 しばらくはシャトルが飛び去った辺りを眺めていたが、
ふっと視線を地上に戻し林の影に言葉を投げ掛ける。
 「さて、今日はお客さんが多いわね。段々相手にするのも面倒になってきたわ」
その声に呼応するかのように、原住生物が姿を現した。
 「グルルルル……」
数は多いがSEEDと比べると雑魚も同然だ。
光波鞭を構え、フィーは妖艶に微笑んだ。
 「さぁ……死にたいヤツから来なさいな」
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